ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第26節 ヴァンフォーレ甲府vsギラヴァンツ北九州

2020-10-17 09:02:33 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(23節・ヴェルディ戦)
※前回の北九州の記事はこちら(24節・福岡戦)

後半戦に入り、やはりというべきか、対策を採られつつある北九州。
得点力不足に陥ってしまい5戦未勝利な現状で、前節・群馬戦は、相手の固い守備を最後まで破る事が出来ずのスコアレスドロー。
昇格争いの渦中にあって苦しい状況となって来ました。

前節からゴールゲッターのディサロ燦シルヴァーノが復帰、スタメンを張ったものの、状況は変わらず。
それよりもボランチが加藤から川上へと変更され(詳細は不明)た事で、従来の攻撃の組み立てを変える必要を強いられています。

この日の立ち上がり、北九州はロングパス・スルーパスを多用する攻撃を見せていきます。
ディサロをスペースに走らせる、従来とは一線をなす攻撃を敢行。
一見ポゼッションを捨てたかのような振る舞いですが、一方で意図的に行っている風でもあり。

一方の甲府の攻撃も、従来とは違った組み立て。
3-4-2-1のフォーメーションから、4バックへと可変してのビルドアップが基本戦術の甲府。
普段は3バックの中央(新井か山本)がボランチの位置に上がって行われる所、この日は右センターバックの小柳が右へと張り出し、サイドバックの位置へと可変。
そして右ウイングバックの宮崎にかなり高い位置を取らせ、その宮崎にサイドチェンジのパスを送るのが目立った序盤の入りでした。

しかしどちらのチームも、慣れない事を試しているかの如く、シュートには結び付けられずに試合が推移。
ファーストシュートは北九州で前半14分、右サイドバック・藤原がドリブル突破からクロスを上げるもクリアされ、今度は左SB・福森が左からグラウンダーでクロス。
高橋大悟が合わせにいくもこぼされ、これを川上が後方からミドルシュート。(ブロック)
ここから堰を切ったかのように、パスワークからの多彩な攻撃を見せる姿勢を取る北九州。

そして甲府サイドも、徐々に左サイドで泉澤が突破力を見せる普段の攻撃を展開するようになります。
18分泉澤・内田のコンビと、山田・武田のボランチでのパスワークから、内田のミドルパスに走り込んで受けた泉澤がクロス。
これが高く上がるボールとなり、太田がヘディングシュートを放ちますがGK永井がキャッチ。
次第に普段着の姿が露わになる両チーム。

飲水タイムを挟み、最初に攻撃権を得た甲府が26分にスコアを動かします。
ここも左サイドからで、今津縦パス→泉澤フリック→ラファエル→泉澤ドリブルという流れで奥まで進入、そして泉澤のクロスがエリア中央へ。
右から走り込んでいたのは宮崎で、強烈なヘディングシュートがゴール左へと突き刺さります。
高い位置を取らせていた効果がここで現れるという、従来のサッカーと新たな試みとの融合が果たされたかのような先制点でした。

リードを許した北九州ですが、早めに反撃の流れを掴みます。
従来のポゼッションを高めるサッカーで、相手を押し込んで攻撃。
全員が敵陣に入るシーンも多々見せていきます。

そして32分、崩した切欠はディサロ・鈴木2人のポストワークでした。
岡村の縦パスを鈴木がフリック、受けた藤原がキープして全体を押し上げたのち國分へ。
國分が再び縦パス、これをディサロがポストプレイ、受けた鈴木が右へ展開して藤原からのクロスが入ります。
クリアされたボールが甲府・武田に当たって跳ね返り、エリア内右の高橋大の前方へ転がる絶好機となり、すかさず高橋大がシュート。
ブロックされるも再度シュートを放った高橋大、ゴール左へと突き刺して同点に。

これで流れを掴んだかに見えた北九州ですが、そうは問屋が卸さず。
37分、甲府が中盤で武田のボール奪取からカウンターを展開。
泉澤が中央をドリブルで進み、エリア手前で北九州ディフェンスを引き付けたのちエリア内右へラストパスを送ると、走り込んだ太田がワントラップからシュート。
GK永井の左を抜いてゴールに入れ、前半のうちに再びリードを奪いました。

反撃したい北九州ですが、前半は以降シュートを放てず。
ビルドアップから攻撃しようとしますが、そのビルドアップは加藤不在なためか、従来の「丁の字型」の基本形が採られる事は少なく。
ボックス型を軸に、ボランチがボールを持つと岡村がその横へと上がって来るという、この試合で見せていた動きを頻繁に取ります。
そしてサイドへとボールを送るのを円滑にしつつ、クロスの山を築いていくものの、前半のうちは結果に結び付く事はありませんでした。
2-1と甲府リードのまま、後半に突入します。

そのリードしている甲府が、ハーフタイムでラファエル→ドゥドゥへ交代と動きます。
戦術的というよりは、ラファエルとドゥドゥを1セットにしてという起用法で、大ベテランの域であるラファエルにはフルタイムの守備は酷なのでしょう。

後半立ち上がりは、早めに追い付きたい北九州のペースに。
ここでも前半と同様、ロングパスでディサロないしは鈴木を走らせる攻撃を仕掛けていきます。
違ったのは相手の甲府に攻撃権を殆ど与えなかった事で、セカンドボールの奪取が光っていました。

そして後半7分、ここも1点目と同様に鈴木のポストプレイから、右サイドに展開してのクロス攻撃。
最初の高橋のクロスがブロックされた後、ボールを繋いだのち高橋のスルーパスを奥で受けた藤原から再度クロス。
これがディサロのヘディングシュートに繋がり、ストライカーの面目躍如となるゴール。
ロングパス攻勢はまるでデコイであるかのような流れですが、再びの同点弾を生みました。

その後は甲府が反撃を行うもシュートは生まれず。
そして15分が過ぎると、再び北九州のペースに。
しかも今度は従来のパスワークをふんだんに使った攻撃で、一方的に攻撃権を支配していきます。
16分には攻撃終了して相手ボールになった直後、すかさず高橋が敵陣でパスカット、そのままエリア内右に進入して藤原へスルーパス。
これを藤原はクロス気味にシュートを狙いますがGK河田がキャッチ。
22分、ここも縦パスからのフリック・サイドチェンジなどを多彩に絡め、右サイドから藤原が中央へパス。
高橋がスルーし、その奥でディサロがシュートするもブロックに阻まれます。

この日は2点を取ったものの、追い付かれたうえ尚も守勢を強いられる甲府。
5戦連続引き分けの後は連敗と、とうとう下割れしてしまったか如く最近の成績を描いています。

7戦未勝利の間の得点は僅か3と、ひたすら守備重視の負けないサッカーを貫いてきたかのような数字。
やはり得点を狙わない事には勝ち点3は取れない、という事を示しているのは明白ですが、得点を挙げたこの日は逆に失点も膨らんでしまっています。
攻守のバランスは非常に良く出来ている、と感心したりもしますが、そんな余裕は全く無い状況です。
特に北九州のパスワークに守備が全く嵌らなくなり、良い様に繋がれるのを何とかしなければ敗戦すらありえるこの試合。

飲水タイムを経て、太田・内田→松田・荒木と2枚替えを敢行した甲府。
松田を入れた事で前線からの守備も強度が上がり、その後は流れを押し返す事に成功します。
28分、左サイドで武田がボールを奪ったのちパスワークを展開。
北九州のお株を奪うように細かく繋いでいき、今津の縦パスを武田がポストプレイで落とし、松田がエリアへ向かおうとした所を北九州・國分に倒されて反則・フリーキックを得ます。
左ハーフレーン・エリアからすぐ手前という絶好の位置でしたが、キッカーはドゥドゥ(ちょっと意外)で直接狙うも壁を直撃。
こぼれ球を今津が落とし、泉澤がシュートするも枠外に。
続く31分にはGK河田の縦パスから、松田が右サイドを抜け出してドリブル。
アーリー気味にグラウンダーでクロスを入れ、泉澤が合わせにいくもこぼれ球となり、これを後方からドゥドゥがシュートするも北九州・藤原のブロックに防がれモノに出来ません。

その後再度北九州はパスワークを盾に試合を支配していきますが、35分に双方選手交代したのが勝敗の分かれ道となったでしょうか。
北九州は國分・岡村→永野・河野と2枚替え。
甲府は泉澤→ジュニオール・バホス。
甲府は、この日ベンチに復帰したバホスをジョーカーとして起用してきました。
それに対し北九州は、どちらかというとレギュラークラスの選手を退かせるという、運動量の補填の域を出ないかのような交代だった気がします。

以降は北九州の展開力もガタ落ちとなり、逆に甲府がそれを突き攻撃権を独占します。
バホスは投入直後こそ、ボールが収まらない等試合勘の無さを露呈するシーンが目立ちましたが、次第に流れに乗っていきます。
42分、バホスの右サイドでのキープから中央→左へとパスが渡り、荒木のクロスをドゥドゥがヘディングシュート。(GK永井キャッチ)
そして43分、バホスが右サイドから山田とのパス交換を経てエリア手前で絶好のシュートチャンスに持ち込み、左足を振り抜きます。
これがアウトサイドに当たるミスキックとなりますが、逆に奏功してエリア内左の武田の頭へドンピシャに。
北九州サイドが虚を突かれた格好となった武田のヘディングシュート、これがゴールとなり三度勝ち越した甲府。

その後は当然、ボール支配に徹する甲府の攻撃。
小柳がドリブルで一気にコーナー付近に持ち込みキープするといったシーンも見られ、逃げ切り体勢を取り続けます。
それでも最後にコーナーキックを得た北九州、GK永井が前線に上がり同点を狙うも、キッカー福森のクロスは直接GK河田が抑えて万事休す。
お互い得点力不足という近況が嘘のような、3-2という点の獲り合いを制したのは甲府となりました。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第26節 FC町田ゼルビアvs京都サンガFC

2020-10-16 18:21:55 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の町田の記事はこちら(21節・長崎戦)
※前回の京都の記事はこちら(24節・磐田戦)

5位以下の上位クラブは、昇格争いに何としても喰らい付きたいという一心で目の前の試合に挑む状況となっています。
しかし最近は、5位に上がった途端に勝てなくなる現象が多発し、どうしても上位集団との差を詰められず。
甲府も京都も蹴落とされ、現在の5位は新潟。

多少毛色が違うとはいえ、町田も17節の時点では6位でしたが、18節から現在まで未勝利が続きこの試合前は16位までダウンしています。
上位定着を目指す段階で躓いてしまい、前回の5連戦の最後である24節・新潟戦で大敗(0-4)を喫し、再び立て直さなければならない現状。
それでもレギュラーの入れ替えは小規模で、安藤瑞季の出場停止(前節)に伴ってぐらいと、あくまでレギュラー固定の方策は崩さないランコ・ポポヴィッチ監督。

試合が始まり、あくまで今季の昇格を狙う立場であるはずの京都、その立ち上がりが重い。
過密日程故、ペースをいくらか落としての入りは常套手段ですが、それには早い段階での失点を避けるような戦いが欲しい所です。
しかしこの日は早々に先制を許す事に。
前半4分、右サイド奥のスローインから一旦戻されると、高江が再び縦に送り平戸→酒井とエリア内右で渡ってクロスが入ります。
このボールを、必死で戻った京都・庄司がゴールに蹴り入れてしまい、あろう事かオウンゴールで得点を与えてしまいました。

その後も町田の前線からのプレスを受け、ギアを上げる事がままならない京都。
ちょっと前の良いサッカーの匂いは完全に失われ、ヨルディ・バイスや森脇、安藤淳がロングボールを放り込む攻撃を強いられます。
何とかサイドでボールを運んでも、結局戻されて作り直すシーンも数多と、積極性はまるで感じられず。

守備でも反応が鈍く感じられ、19分の町田の直接フリーキックのシーン。
絶好の位置で平戸が直接シュートを放ち、壁に当たったボールがエリア内右へ浮かびます。
高江がダイレクトで小さくロブを上げると、壁の後ろで安藤瑞がボレーシュート。
この一連の動きに京都選手は安藤瑞のシュートを成す術無く見送る始末で、安藤瑞がミート出来なかったため救われたというシーンでした。
さらに32分には、高江が左サイド裏へロングパスを送って町田の攻撃。
安藤瑞が受け、そのままカットインでエリア内に入ってシュートしますが、対面の京都・森脇のブロックでこぼれ球に。
GKの前に転がったボールを、エリア外から吉尾が猛ダッシュでプッシュするシュートを放ち(GK若原が身体で防ぐ)ヒヤリとします。

また、この日はピーター・ウタカとの2トップの片割れに、殆ど起用されていなかった李を起用したのも流れに乗れない一因だったかもしれません。
李は中央に張りたがるタイプ(しかしポストプレイは余り上手くない)で、野田や仙頭のようなサポートを中々受けられないウタカですが、李を活かさんと中央の狭い局面でのパスワークに加わるシーンが目立ちました。
それに神経を費やしていたのか、あるいは町田のガツガツとしたディフェンスに苦戦していたのか、ボールキープという面では普段より冴えず。
前半の終盤には李がサイドに流れるシーンが幾つか見られたものの、有効打とはならず。
町田は何度も攻撃チャンスを得てシュートも多く放ちますが、カウンターの精度の悪さも相成って追加点を奪えず。
そんな状態のまま試合は推移していきます。

閉塞感を抱えたまま、終盤は飯田のロングスローの連発も絡めて何とか町田守備を崩さんとする京都。
アディショナルタイムには、エリアライン際中央の狭い空間で李・ウタカ・金久保がパスを繋ぎ、ウタカがエリア内左へと抜けてシュートするもブロックに阻まれます。
何とか後半に繋げるシュートを放つも、1-0のまま前半が終了。

そして後半を迎えるに辺り、京都は金久保・庄司→谷内田・福岡と2枚替えを敢行。
選手交代も絡めて打開を図らんとしますが、コントロールタワーともいえる庄司が退いたのが逆にいけなかったのか。
あるいはオウンゴールのシーンに象徴されるような、不振が深刻故の措置だったのか。

後半立ち上がりも町田ペースで入る、京都にとって苦しい展開。
しかもそれだけに止まらず、早々に失点してしまうという前半の焼き直しを演じてしまいます。
後半3分、繋ごうとしたGK若原の縦パスが高江にカットされてしまい、そのままロングシュートを許す事に。
このシュートが無情にも無人のゴールに吸い込まれ、京都にとっては痛すぎる2点目となってしまいます。

重い動きを象徴するかのように、アフターチャージで警告を受ける場面も目立ったこの日の京都。
前半ATの安藤淳に続き、5分には飯田が町田・平戸の足を削ってしまい警告に。

悪い流れのまま攻めなければならないという状況ですが、ここから町田の攻撃はカウンター主体となり、攻撃権は京都が独占状態となります。
11分には再び後方からのビルドアップ、町田に激しいプレスを受けるも、早いパスワークでいなして無事切り抜けた京都。(シュートまでは持ち込めず)
これで少しは暗雲も晴れたか、15分に決定機が。(14分に李→野田に交代)
右サイドからの森脇の縦パスが中央へ入ると、そのままパスワークで中央を進み、仙頭がペナルティアークからシュート。
町田・水本にブロックされるも、左サイドで拾った黒木がカットインからシュート。
豪快なシュートが町田ゴールを襲うも、ゴールバーを直撃してしまい惜しくも得点ならず。
ここで決まらなかったのがこの試合の分岐点だったでしょうか。

2点リードの町田は、ブロックを組んでの守備だけで無く、要所でのパスカットも冴え渡り。
そこからカウンターも展開しようとするも、前述の通り精度が悪く、シュートで終わる事が出来ず。
26分には佐野のボール奪取から、吉尾のスルーパスを安藤瑞が受けてエリア内に進入するも、コントロールをミスしてしまいシュート出来ず。
シュートを撃ちまくっていた前半とはうって変わってしまったのが、京都に攻撃権を奪われていた要因となっていました。
それでも粘り強い守備でリードを守ります。

30分に町田は2枚替えを敢行、ジョンチュングン・吉尾に代わり、マソビッチ・岡田を投入します。
レギュラーの固定化とともに、助っ人のマソビッチやステファンが殆どチョイ役と化しつつありますが、反対に故障から復帰してきたジョンチュングンは盛んに起用されています。
背番号6~9までに助っ人が固まっている町田の選手編成(6番は李漢宰(リハンジェ))ですが、果たしてここからレギュラー定着はなるでしょうか。

守備を固める町田に対し、京都は完全に「ボールを持たされている」状態に。
パスワークで打開しようにも、狭い局面でのパスの連続を強いられ中々アタッキングサードにボールを運べず。
35分からは安藤淳が盛んに縦パスを入れるものの、これもシュートには結び付きません。
とうとう38分、ウタカを諦める事となります。(宮吉と交代)

40分も過ぎ、最後の手段であるバイスを上げてのパワープレイ体制を採る京都。
しかしその隙を突かれ、最後に町田のカウンターが炸裂します。
45分高江のパスカットから、マソビッチの落としを高江が裏へとロングパス。
抜け出して受けた平戸がGKと一対一となり、エリア手前でゴール右へとシュートを放ち、GK若原の逆を突くゴール。
決定的な3点目を挙げ、勝利を確実なものとしました。

ATに突入した後も、京都はボールを握って攻勢を掛けましたが、それが報われる事は無く。
町田は最終盤、高江が足の異常で交代を強いられた(井上と交代)のが気掛かりとなりましたが、それでも無失点で無事に試合終了まで辿り着きました。
これで実に9試合ぶりの勝利。

京都の現状のような、停滞感が半端無いという状況に陥った際にはどうするか。
良く言われるのが「原点に立ち帰る」という事ですが、それには基盤となるサッカーが必要。
そうして初めて「困ったらここに立ち帰る」のが可能になると思われます。

しかし今季の京都は序盤戦に、戦術的な落とし込みを蔑ろにし、ただ勝ち点を拾う事に趣を置いて過ごしてきた感があり。
こうして行き詰まりを迎えるに辺り、帰るべき所が無いという現象が起こってしまっているのでは無いでしょうか。
仮に立ち帰ろうとしても、浮かび上がるのは「ウタカとバイス頼みのサッカー」というイメージでしか無く。
だとするともはや昇格枠を狙う立場にあらず、想像以上に厳しい状況に置かれているのかもしれません。
J1の埼玉が本拠地の赤いクラブでも似た現象が起きていますね

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DAZN観戦 2020年J1リーグ第22節 ヴィッセル神戸vs大分トリニータ

2020-10-15 16:48:10 | サッカー視聴記(2020年以前)

前年共に同じ勝ち点(47)でフィニッシュしたチーム同士の対戦。
補強費に天と地ほどの差があるクラブにも拘らず……という揶揄の声もありますが、今季もここまで神戸32・大分28とある程度均衡しています。
そんな両クラブの共通点はというと、チーム消滅の危機にまで陥った過去でしょうか。

今でこそ楽天がバックボーンについて前途洋々(成績面は置いておく)な神戸ですが、以前は毎年のように綱渡りのクラブ運営を強いられていました。
母体企業を持たないうえスポンサーも撤退(1999~2002年は胸ユニスポンサーが無しだったらしい)したため、行政に頼りきりの運営に。
それにも拘らず三浦知良(現横浜FC)ら有名選手の補強を敢行したのは、彼らのネームバリューをチームに還元しようという意図が強かったのだと思われます。
しかし結局は民事再生法適用の申請に至ってしまい、ここで楽天が現れた事で、救いの神として現在も慕われているようですが以降はまた別の話。

一方の大分、2003年にJ1昇格を果たしてから、2008年に初タイトル獲得(ナビスコカップ)に至った事で「地方クラブの希望の星」とも言われました。
しかしその実態は、大分のキャパシティを遥かに上回る強化費を投入するという、地方クラブの経営とは懸け離れたものでした。
それを支えるメインスポンサーも、度々問題視され撤退を余儀なくされるの連続で安定せず。(この辺りの話はウィキペディアに詳しい)
そして2009年に成績的にも傾いた(J2降格)結果、辛うじてクラブ消滅だけは避けられたというマイナスからのスタートを強いられる事となります。

そんな漂流の時空を経て、大分がJ1復帰を果たした事で再び相まみえている両クラブ。
前年は2戦とも引き分け、今季も引き分け(4節・1-1)と一歩も譲っていない成績で、この日を迎えました。

この日は完全ターンオーバーで挑む事を強いられた神戸。
前節(柏戦・3-4)が激戦となった事で、平均年齢の高いレギュラー陣のコンディションを考慮する采配が採られました。
今後再開されるACLが、日程面でリーグ戦と被っての開催を余儀なくされた事で、嫌がうえでも2チーム分の戦力を用意せざるを得ないのも苦しい点。

しかしその立ち上がり、出方を窺う大分の隙を突きゲームを支配する神戸。
ビルドアップから攻撃を完成させようとする、普段の姿勢を貫くサブメンバー達。
その姿勢が前半6分に報われ、藤谷の右サイドのドリブルから小川のアーリークロスがエリア内に入ると、藤本が頭で合わせヘディングシュート。
これがループの軌道となってGKムンキョンゴンの伸ばす手を越し、ゴールに吸い込まれます。

先制された大分、その後前線からのプレッシングを上手く嵌めて決定機を作っていきます。
8分、GK吉丸のパスを知念がブロックすると、ボールは左ゴールポストに当たって跳ね返る(そして吉丸が抑える)あわよくばという場面を作ります。
15分には小出が右サイドでボール奪取してドリブル、奥からグラウンダーでクロスを入れると、知念がスライディングで跳び込みますが僅かに合わず。
17分にもGK吉丸に左へフィードを蹴らせたのち、小出が落として回収。
右サイドから小出のグラウンダーのクロスが入ると、ニアサイドで知念が合わせるもGK吉丸がセーブ。
こぼれ球をさらに野村が追撃するも、神戸・菊池のブロックに阻まれ得点ならず。
サブ組・若手中心のビルドアップを執拗に狙っていく大分。

その後は自身の攻撃も嵌るようになり、23分にはロングボール攻勢から渡が強烈なヘディングシュートを放ちますが、ここもGK吉丸のセーブに阻まれます。
この日は1トップに知念・2シャドーに渡と野村をスタメン起用。
前回観た時は1トップで出たものの孤立無援状態となっていた渡ですが、ポストプレイヤーの知念との相性で見せ場を得る事に成功していました。

それでも流石にずっとプレッシングを続ける訳にいかないのがサッカーの常。
次第に大分のペースも落ちていき、リードしている神戸が試合を落ち着かせる状況となります。
その中で、26分と29分にミドルシュートを放った佐々木。
2年前に初得点も挙げた若武者ですが、前年は海外留学という形でレンタルに出され、今季復帰してきた選手。
この日が3試合目のスタメンであり、少ない出番ながら何とか足跡を付けようという姿勢をアピールしているようです。

飲水タイム後の大分は決定機を得られず、反撃の足掛かりを掴めないまま前半を終える事に。
劣勢を挽回するべく動きたくなるハーフタイムですが、ここではカードを切らなかった片野坂知宏監督。
相手はサブ組故、ここで動いては選手との信頼関係も希薄になってしまいがちな点を憂慮しての事だったでしょうか。(大分はレギュラー組を大部分起用)

その我慢が実ったか、後半は立ち上がりからペースを掴む大分。
後半5分は後方から攻撃を組み立て、左サイドで三竿の縦パスを野村がフリックして知念の下へ。
こぼれ球を野村が拾い、エリア内でカットインを見せ、中央やや右からシュート。
神戸・山川の股を抜くライナーの弾道も、GK吉丸がここでもナイスセーブ。

次第に神戸も反撃の姿勢を見せ、11分には小田が左サイドをドリブルで疾走したのちシュート。(ブロック)
14分には菊池のスルーパスを右サイド奥で藤本が受け、そこからパスワークで中央へ。
最後は藤本がエリア内に走り込む小川にラストパス、受けた小川が反転シュートをネットに突き刺したもののオフサイドに。
大分時代は裏抜けが持ち味だったはずの藤本ですが、この日の働きはポストプレイヤーとしての印象が強かった。
白糸は何色にでも染められる、という事を表していたのでしょうか。(単にレギュラーのドウグラスと同様の働きをしていただけともいう)

その後17分に奮戦していた佐々木が足を攣らせる事態が。
直後の18分に大分のコーナーキックから、知念のヘディングシュートが炸裂するもGK吉丸がまたもセーブして防ぎます。
そして20分、ベンチに留めておいたアンドレス・イニエスタが佐々木に代わって投入されます。(同時に小田→山口へと交代)
3-4-3(3-4-2-1?)から3-3-2-2へと布陣変更され、対する大分(同じタイミングで渡・小出→伊佐・松本へ交代)はこの出方の変化を見極めるモードとなったのか、以降神戸ペースに。

しかしそれが終わった25分。
三竿→田中達也→知念→岩田とパスを繋いで左から右へサイドが変わると、岩田のスルーパスに松本が走り込みグラウンダーでクロス。
そして知念が跳び込みますが、寸前でGK吉丸に抑えられ合わず。
28分にも左サイドで三竿のエリア内へのスルーパスに知念が走り込みシュート、GK吉丸の右を抜けたものの、威力無くクリアされてゴールならず。
前半から惜しいシーンの連続ながら、無得点のまま時間も進んでいきます。

神戸サイドも追加点のプレッシャーを与えるべく、飲水タイム明けの29分に2枚替え(小川・藤本→古橋・田中順也)
その狙い通りに大分からペースをはぎ取り、終盤を迎えます。
手詰まり感漂う大分も、34分に神戸同様前線の選手を交代(知念・野村→高澤・三平)。

神戸も37分に初瀬→酒井へと交代、双方のベンチワークを経たのち再び大分が攻勢に。
前述の決定機以外にも、何度も良質のクロスが上がりながらもGK吉丸に抑えられる・パンチングされる場面が数多あり、大分の攻撃に立ちはだかってきたこの日の吉丸。

しかし41分、攻め続けた成果が表れます。
ここも大分らしく冷静なビルドアップから、一旦左サイドで組み立てを図るも、戻して逆の右サイドで攻撃。
そして岩田がエリア内右へと進入してグラウンダーのクロスを入れ、高澤が合わせに跳び込んだ所に神戸・酒井がディフェンスに入るも、クリアしきれずオウンゴールに。
最後の最後に、という言葉を使うにはやや早いながらも、執念が結び付いての同点劇となりました。

その後は、交代の駒でレギュラー陣を起用した神戸の本領が。
44分、イニエスタの敵陣でのディフェンスからボールが繋がり、田中順がエリア内左でシュートを放つ決定機。
しかしGKムンキョンゴンが足でセーブし、勝ち越しはならず。
アディショナルタイムも互いに攻め上がり、双方持ち味を発揮する展開となるも、とうとう2点目が生まれる事は無く。
1-1のまま試合終了となり、前年から4度目の引き分けという結果になりました。

経営危機が表面化して以降、巨大なバックボーンを得た神戸はビッグクラブのような立ち振る舞いを演じ、大分は地方クラブとしての再建を余儀なくされ這い上がり。
そんな全く異なるプロセスを描く近年でも、まるでお互い根底は同じかと思わせるような対戦成績となりました。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第25節 V・ファーレン長崎vsレノファ山口FC

2020-10-14 18:16:22 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の長崎の記事はこちら(21節・町田戦)
※前回の山口の記事はこちら(21節・千葉戦)

同節の四国ダービー同様、昇格争いを繰り広げるクラブvs最下位争いに苛まれるクラブの構図。
しかし近況の勝敗は、過去5試合で見てみると長崎の1勝2分2敗に対し、山口は3勝1分1敗。
下位の山口の方が良いという一種のねじれ型となっています。

それに追い打ちをかけるかの如く、前節・栃木戦は勝利した(1-0)ものの、試合終了後にフレイレが蛮行に出てしまい退場処分に。
その後追加処分を受け、この日から4試合出場停止と相成ってしまいました。
二見・角田のセンターバックが最適解なものの、層の薄さに拍車が掛かった状態で休ませる事も儘ならず。
しかしこの日は鹿山を起用。
これが3試合目の出場と、信頼度は前回出場時の結果(23節福岡戦・1-3)から低めと推測出来ますが、果たしてこの日はどうなるか。

立ち上がり、長崎が普段通り強者の振る舞いを見せるかの如くペースを掴みます。
しかしその中身はというと、普段よりもロングボールが多めの攻撃。
またグラウンダーでの繋ぎも、サイドに1トップの富樫を開かせての組み立てを見せていきます。

一方の山口、毎試合立ち上がりビルドアップに難儀しているというのが今季の印象。
この日も長崎のポゼッションに後れを取る展開でしたが、田中パウロ淳一を左サイドバックで起用した事で、SBを前に上げる事に迷いが無くなっていたのが救いだったでしょうか。
ヘナン・高のどちらかが最終ラインに落ちるのに躊躇無く、かつ流動的。
これまで観た試合とは一線をなしていたと思いました。

それでもぶつかり合った結果、長崎有利の様相に。
特に敵陣でのボール奪取からチャンスに結び付けるシーンが目立ちます。
11分、一旦はルアンのスルーパスがカットされたものの、山口・ヘニキから奪ったルアンがエリア内に進入してシュート。(DFに当たって枠外に)
19分にはカイオ・セザールのパスカットからルアン→澤田と繋がり、エリア内左から澤田のシュートが炸裂するもGK吉満がセーブ。
防戦一方の節が見られた山口も22分に左サイドをパスワークで前進、高の縦パスを受けた池上が中央へ運び、浮田がペナルティアークからシュート。(枠外)

ここで飲水タイムが挟まれ、ゲームを支配するも得点出来なかった長崎。
最近の勝敗的にも嫌な雰囲気が漂い始める所ですが、27分。
右サイドからのフリーキックで秋野のクロスが跳ね返されるも、その後山口のクリアボールをルアンがバイシクルで跳ね返し、このボールを受けた毎熊が右サイドから低いクロスをゴール前へ。
GK吉満が跳び出すも弾いてしまい、これを富樫が悠々と詰めてゴール。
先制点を挙げ、暗雲を振り払った……と思われましたが、それは試合終了の時点までお預けとなりました。

先制された山口、30分頃から最終ラインでパスを繋ぎます。
一旦はパウロのドリブルによる左から攻撃しかけたものの、戻されてヘニキのロングパスから右サイドで攻撃すると、エリアやや手前で池上が長崎・秋野のバックチャージを受けて反則。
絶好の位置からのフリーキック、キッカー池上はクロスを選択すると、跳んだイウリの頭を越えたボールは走り込むヘニキの頭にドンピシャ。
勢い持って放たれたヘディングシュートがGK高木和の手を弾き、ゴールに突き刺さり同点となります。

これで長崎は浮足立ったか、パスが乱雑になっていき流れを掴めずに推移します。
チャンスエリアで近距離から強いパスを送って収められなかったり、最終ラインでのパスがズレて押し込まれたり、といったシーン。

それを尻目に、39分山口が再び攻め上がり。
最終ラインから高を中心に左サイドで組み立て、高井が奥へ進入してクロスが上がると、中央で浮田がヘディングシュート。
再びのヘディングでゴールを揺らし、短い時間で逆転に成功。
これが順位とは裏腹の、最近の勢いの差だったでしょうか。

その後は一進一退ながら、良い流れを失った長崎はシュートを放てず。
逆にアディショナルタイムに、山口は左からパウロのクロスをファーサイドでイウリがヘディングシュート(右サイドネット)と、ヘディング攻勢は止まず。
1-2で前半を終えます。

このままではいけない長崎は、ハーフタイムでルアン→畑に交代。
ハッキリとした4-4-2へシフト(前半はルアンがトップ下の4-2-3-1)するという意図の下の策でしょうか。

後半の入りも、前半の流れそのままに山口がペースを掴みます。
左サイド奥のエリアすぐ脇でFKを得た後半3分、キッカー池上はシュート気味のクロスを低いボールで入れますがクリアされモノに出来ず。

山口の時間を凌いだ長崎は、4分に二見のロングパスから、途中出場の畑がエリア内左でシュート。
ブロックされてここからコーナーキック攻勢を掛けますが、報われたのは意外な形ででした。
2本目の左CK、ファーサイドへのクロス(キッカーは秋野)が上がると、カイオがボールと無関係な所で山口・ヘナンに倒されたのを反則が採られます。
エリア内の反則で、ヘナンは納得出来ないという表情を見せたものの当然判定は覆らずPKに。
キッカーを務めたカイオがしっかりとGK吉満の逆を突き、ラッキーともいえる形で同点にした長崎。

ところがこの幸運をもってしても、長崎の暗雲は依然として滞在したままだったようです。
9分の山口、左サイドからヘナンが中央へ縦パス、高井のポストプレイを経て受けたイウリは再び左サイドへ展開。
この奥へ出されたボールにパウロが走り込んでクロス、クリアされたボールを高井がダイレクトでミドルシュート。
GK高木和が何とか弾くも、ゴールポストに当たった跳ね返りをイウリが詰めてゴール。
オフサイドとも思われましたが、パウロに憑こうとしていた長崎・毎熊が残っていたため問題無く、これで再び山口がリード。

反撃に出たい長崎、秋野のロングパス攻勢で攻め上がるも今一つ。
その後はサイドバックが躍動を見せ、16分にはカウンターから亀川がエリア内左からシュート(DFに当たり枠外)、18分には毎熊がエリア内右からシュート。(ブロック)
21分には毎熊が、前述と同じぐらいの位置で今度はパスを選択、中央で澤田がダイレクトでシュートするもふかしてしまいます。

好機を連発するもモノに出来ないシーンが続いた所で、名倉・富樫→氣田・玉田へと2枚替えを敢行した長崎。(22分)
当然注目は大ベテランの玉田で、単なる2トップの片割れに留まらない引き出しの多さで、苦境を跳ね返す救世主として期待されます。

その後飲水タイムを挟み、山口に攻撃の隙を与えず一方的に攻め続ける長崎。
玉田は28分、エリア内での畑のポストプレイをダイレクトでミドルシュートしますが枠を捉えられず。
しかし30分、亀川の左サイドの突破により再びシュートチャンス、エリア内左奥からのマイナスのクロスに合わせた玉田。
今度はゴールを捉える事に成功し、期待に見事に応え再び同点とします。

振り出しに戻した後も奮闘する玉田。
33分はCKから、クロスがエリア内にこぼれた所をカイオ→玉田と渡ってシュート。(ブロック)
34分にはエリア内で受けた澤田の戻しをシュート(ゴール上へ外れる)と、積極的に得点を狙いにいく姿勢を披露。

一方リードを失っての終盤戦となった山口。
最後の力を振り絞るかのようにハイプレスを敢行、ショートカウンターを狙いにいく姿勢を取ります。
37分にプレスを連動させて安在(パウロと交代で出場・19分)がカットに成功するも、その後のパスが繋がらず。

そして39分双方同時に交代、しかもともに2枚替えとなります。
山口は高井・池上→森・清永。
長崎はカイオ・毎熊→加藤・米田。

尚もプレスを掛けにいく山口でしたが、かわされ続け有効打とはならず。
長崎は加藤が秋野らと三角形を作りにいき、パスワークで貢献します。

そして45分。
二見からGK高木和へと戻されると、高木和の縦パスで山口のプレスを打開。
その後は氣田ドリブル→玉田スルーパス→澤田エリア内左へ走り込んでシュート、という流れるような攻撃が炸裂。
澤田のシュートはGK吉満の右を抜き、とうとう勝ち越し点に辿り着きました。

逆に終了間際にビハインドとなった山口。
しかしATでも安易なパワープレイは見せず、パスを繋ぐ事で反撃を試みます。
左サイドのスローインから、浮田がエリア内左へスルーパスを送ると、走り込んだ清永のシュート気味のクロスが襲いますがGK高木和が弾きます。
直後のCKでもヘナンがヘディングシュート(枠外)と、最後まで攻めの姿勢は見せましたが追い付けず。

点の取り合いとなった試合でしたが、最後は逃げ切りに成功した長崎。
上位の貫禄、というよりは、意地を炸裂させての泥臭い勝利という表現が正しいでしょうか。
既に序盤戦でロースコアでの連勝を果たしていた姿は消えかかっていますが、勝利こそが最善の良薬という状況なのは疑いようが無く。
チームを覆う暗雲は完全に晴れたのかはまだ不明ですが、次節で証明する事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第25節 ジェフユナイテッド千葉vs水戸ホーリーホック

2020-10-13 19:28:23 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の千葉の記事はこちら(21節・山口戦)
※前回の水戸の記事はこちら(22節・群馬戦)

各地台風の影響を警戒しつつの開催となった25節。
南方へと逸れたものの、千葉では雨が断続的に強まったりとやや影響があったようで。
そして千葉のチーム自体も少なからず影響を受けてしまったかのような試合になりました。

22節・琉球戦(1-0)で勝利し、そのやり方に少なからず手応えを得たのでしょうか、ここからスタメンを継続。
途中川又の故障もありましたが、守備面はまずまず機能。
ただし琉球戦はリトリート主体、23節・京都戦(0-0)はプレッシングを仕掛けていってと、同じメンバーでも試合毎に方策を変えているのでしょうか。
しかしプレス主体の際でも、FWにクレーベと船山の2トップを据える、というのは前年殆ど機能しなかった形。
果たしてそれは継続して機能させられるのか、という不安が過ってのこの試合。

対する水戸はというと、短いインターバルの間に坊主頭となり、登場した秋葉忠宏監督がまず目を惹きました。
試合前インタビューでは「一層の覚悟を持って」という趣旨が語られていましたが、手始めにそれを披露する舞台が自身の古巣・千葉戦となりました。

立ち上がりの前半2分、千葉が左サイドからチャンスを作り為田のクロスが上がります。
これを矢田がポストプレイでエリア外へ出すと、田口が走り込んでミドルシュート。
枠を捉えられずも、まずまずの流れで入りました。
しかしこれにより左サイドからのクロス攻撃、という形のドツボに嵌り込んだ感がありました。

一方試合毎にフォーメーションを使い分ける印象である今季の水戸、この日は4-2-3-1。
ビルドアップからしっかりとパスを繋ぐサッカーを展開し、立ち上がりこそ受けに回っていましたが7分頃から自分達の流れに持っていきます。
この日はベテランの木村をボランチに起用。
サイドハーフでの出場時はビルドアップの出口役を積極的に務めるなど、流動的な動きで良い形を作る事に定評ある(と個人的に思っている)木村。
この日もその動きで、水戸の最終ラインでの繋ぎは「ボックス型」と「丁の字型」双方を使いこなす形となっていました。
そして敵陣での仕掛けにも顔を出す木村、8分にはクリアボールをダイレクトでミドルシュート。(枠外)
その後もドリブルで中央突破を見せたり、左サイドに流れてクロスを入れたりと、積極的な動きを見せていました。

ペースを握られつつあった千葉は、その後中央突破へと切り替え反撃の姿勢を見せます。
縦パス(主に田口)にクレーベ・船山のポストプレイを絡めて攻め上がらんとしますが、中央の守備の固さの前に、結局最後には左サイドに展開する場面も散見。

この時間帯(17~22分)でシュートを放てず終わった千葉、逆に水戸がチャンスを迎えます。
23分の右コーナーキック、クロスがGK新井章太にパンチングされ、跳ね返ったボールを木村がダイレクトでミドルシュート。
豪快にゴール左に突き刺し(千葉・チャンミンギュがヘッドで触るも及ばず)、先制点をゲットした所で飲水タイムへと入ります。

水戸有利の流れは払拭されず、再開後のファーストチャンス。
左サイドからパスを受けた山口、遠目からミドルシュートを放つと、ドライブ回転が掛かりバウンドしたボールをGK新井章が何とかセーブ。
しかし何処に弾くかという判断をする余裕は無く、跳ね返りを村田が詰め、しっかりとゴールに入れて追加点。
手元でのボールの変化に付いていけなかった新井章でしたが、撃った山口を褒めるべきでしょうか。(そういやこの試合で無回転シュートをキャッチにいって弾かれゴールされた水戸GK牡川がこの日スタメンでしたね)

飲水タイム前後で失点に結び付けられてしまった千葉。
ビハインドを跳ね返さんと怒涛の攻撃を見せます。
最初はスルーパスや右サイドからの攻撃を見せたものの、それが悉くシュートに繋がらず。
逆に34分為田のカットインからのグラウンダーのクロスに船山が合わせるシュート(枠外)、35分安田がドリブルで奥へ進んでクロスを上げ為田がヘディングシュート(GK牡川キャッチ)、と左サイドでの攻撃からシュートを生んでいました。
これで完全に流れが固定されてしまった感があり。
42分には為田クロス→クレーベヘディングシュートと、定型ながらここも左サイドアタックから好機。
しかしGK牡川のセーブに阻まれ、反撃の狼煙を上げられず。

そのままアディショナルタイムに突入すると、ラストプレーの落とし穴が待ち受けていました。
千葉の攻撃でラストプレーかと思いきや、水戸・木村がカットしてカウンター。
安東→アレフ・ピットブルと渡りエリア内左に進入、ピットブルはクロスを選択すると、ブロックに入った田口の手に当たりハンドを採られPKに。
千葉にとっては痛恨というPKで、キッカー山口がしっかりGK新井章の逆を突きゴールするとともに前半終了。

3点のリードを持ってベンチに帰ってきた水戸。
しかし手を緩める事無く、ハーフタイムでピットブル→中山へと交代します。

反撃したい千葉ですが、気ばかりが焦っていたのか、後半2分に水戸・安東を倒してしまった見木に警告。
4分、水戸のCKから瀧澤がヘディングシュート(枠外)。
5分には敵陣でのボール奪取から、山口の左サイド手前からのクロスを中山が収め、その後逆サイドへ展開して岸田から再びクロス。
これを収めた山口がエリア内左からシュート(GK新井章セーブ)と、水戸の攻撃の跳梁を許し続けます。

何とかその後ペースをはぎ取ったものの、やはり左サイドからのクロス一辺倒に終始。
左サイドバック・安田がしきりにクロスを上げ続けるその姿は、さながら千本ノックのようでもあり。
結局直ぐに千葉の攻勢は止み、水戸がセットプレー中心になおも追加点を狙いにいきます。

12分、安東の右→左へのサイドチェンジから、山口がカットインの姿勢からまたもサイドチェンジ。
岸田が奥で受けてクロスを上げると、村田が頭で合わせたシュートはループの軌道を描き、GK新井章がセーブでゴール上へ逃れます。
これでCKとなり、その二次攻撃で右サイドから山口がクロスを上げると、前残りしていたンドカ・ボニフェイスがヘディングシュート。
止めを刺す4点目を挙げましたが、さらに止む事無く。

17分に流れを変えるべく3枚替えを敢行した千葉(為田・船山・矢田→アラン・ピニェイロ、山下、堀米)ですが、水戸のCK攻勢の最中であり攻撃に出れず。
そして20分、木村の左サイドでのパスカットから、サイドを揺さぶるパスワークを続けたのち左サイドで前嶋がスルーパスに抜け出し。
そしてマイナスのクロスが入り、ニアサイドで山口が合わせてシュート、グラウンダーのボールが右サイドネットへと突き刺さり5点目。
千葉とは対照的な、両サイドを満遍なく使う攻撃を悉く得点に結び付け続けました。

直後に木村・村田→平塚・山田へと交代、早くも試合を閉じ始めるような采配を見せる水戸。
しかし22分、ここも千葉が左サイドながら、安田の後方からのロングパスをクレーベが収めにいくという毛色の違う攻撃。
こぼれ球となるも繋がり、アランのクロスがクリアされたボールを堀米が右サイドで拾い、カットインからエリア右角でシュート。
左ゴールポストを叩いて見事に決まり、千葉が1点を返します。

その後の千葉はようやくプレスが機能し始めたか、敵陣でボール奪取する場面を作り続けるも、シュートに結び付ける事は出来ず。
事態を重く見た水戸サイドは、26分に安東→森へ(山田がボランチへシフト)、31分に山口→細川へと交代(3-4-2-1へシフト)。
早めにカードを切っていき、かつ布陣変更も交え逃げ切り体勢を築きます。

一方の千葉も、36分にクレーベ→増嶋へと交代。
最初は「増嶋FWのパワープレイか?」と思いましたがそんな事は無く、こちらも3-4-2-1へとシフトしてミラーゲームに。

その後は両チーム好機を作るも膠着状態でしたが、43分に千葉が決定機。
プレッシングを成功させて敵陣深めでアランがボール奪取、拾った山下がシュートするも、GK牡川のファインセーブに阻まれ得点は奪えず。
この理想のシーンを見るや、やはりプレッシングサッカーを展開するならばFWは山下を軸にしつつ、助っ人ながら頑張れるアランももっと出場時間を増やすべきだと思うのですが……。

45分にはンドカが山下に反則を犯すと、試合が止まった状態で山下が蹴り返したボールがンドカに直撃、両名ヒートアップする珍妙なシーンが。
両者に警告が与えられ、そのままATに突入。
その後も中山のセンターサークルからのロングシュート(GK新井章キャッチ)など、やや可笑しなシーンが印象に残ったのは見所を失いつつあったからでしょうか。

そのまま1-5で試合終了と、秋葉監督ならびに水戸の覚悟が綺麗に現れたスコアとなりました。
現状の千葉のような、生半端な立ち位置のチームだと簡単に呑まれてしまいそうなその結果。
但し元から今季の水戸は得失点の出入りが激しいチームで、この日の5得点でリーグ単独1位に躍り出た(43得点)ものの、失点数36も5番目に多い数字です。
果たして「覚悟」が今後この数字をどう推移させていくでしょうか。

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