「あすかの会」三月の秀句から 兼題「受 離」
◎ 野木桃花主宰句
野遊びの子から受けとる石一つ
水ゆらし離岸のフェリー風光る
☆ 野木桃花主宰特選句
受ける度強くなる球夕長し 市 子
☆ 武良竜彦特選句
花の昼帰りし家の暗さかな さき子
◎ その他の秀句から 【支持・評価の高かった順】
てのひらに落花ことばのやうに受く みどり
初蝶の紛れこんだる車間距離 さき子
受けて立つ青年の論風光る 玲 子
夕暮を軋ませている半仙戯 さき子
蜂蜜に匙沈みゆく花の昼 さき子
春霞離れ孤島のやうに艦 玲 子
糶終る雪解雫の魚市場 悦 子
春灯一休偈文のあばれ文字 かづひろ
誰に告ぐることなく消ゆる春の虹 英 子
草萌や十六歳の地図真白 尚
淡雪や弾かねば琴の立ち通し 英 子
花は葉に子離れそして親離れ 市 子
人と人離れて睦み花筵 みどり
玻璃囲む離れの画室花吹雪 ひとみ
大欅狼煙のやうに芽吹き初む ひとみ
海原や身ぬちに澱む春愁 尚
ゴム風船受けては返す子の胸に 市 子
春の海足元掬ふ離巌流 都 子
五線譜に乱るる書き込み春の雷 悦 子
春昼の夢寝に逢ひし離れ業 かづひろ
光受け跳ねっ返りの藪椿 都子
▽ 武良竜彦の句 (特別参加 参考)
焚刑の栄螺わが身を竃として
囀りも耳鳴りも般若波羅蜜多
「あすかの会」二月の秀句から 兼題「浜 光」
◎ 野木桃花主宰句
積み上げし味読の句集冴え返る
浜千鳥光こぼして着水す
☆ 野木桃花主宰特選句
大仏の体内無音あたたかし かづひろ
☆ 武良竜彦特選句
受験子を朝の光へ送り込む ひとみ
◎ その他の秀句から 【支持・評価の高かった順】
梅を見る静かな距離のありにけり さき子
初蝶の光となりて地鎮祭 悦 子
春愁や海の光を持てあます みどり
虹色に街を閉じ込めしゃぼん玉 みどり
阿武隈川の光に遊ぶ小白鳥 英 子
振り返へりをれば砂浜春時雨 英 子
鳥帰る棒もて詩を砂浜に 市 子
日だまりにぽつねんと寺梅二月 さき子
二ン月のファスナー二ミリ嚙んでゐる 悦 子
大空に一礼をして寒稽古 みどり
如月の光を零す鳥の声 さき子
和布干す浜に媼の通る声 典 子
堅雪を踏んでわらべの登校す 尚
読映の医師の沈黙余寒なほ 尚
春遅々と浄土ヶ浜の海蒼し 典 子
星月夜蒼光りして終ひ風呂 市 子
うららけし浜に小貝の光かな 玲 子
春遅く眼光猛き雲龍図 玲 子
冬の月庇にかかる光の輪 都 子
文男さんの浜つ子言葉春灯し ひとみ
二ン月の水底の鯉光り出す かづひろ
砂浜に彩りこぼす桜貝 みどり
〇 武良竜彦句(ゲスト参考)
行川に父母の名呼べば風光る
Україна駒返る野を装甲車
※ ※
「あすかの会」一月の秀句から
兼題「育 平」
◎ 野木桃花主宰句
大藁屋根しづくのやうにオリオン座
田の神へ地酒振る舞ふ年男
☆ 野木桃花主宰特選句
火を育て炎なだむる浜どんと 典 子
☆ 武良竜彦特選句
野のひかりここに集めて蕗の薹 英 子
◎ その他の秀句から 【支持・評価の高かった順】
観覧車一窓ごとの初明り さき子
歌会始仙台平の畏まる 悦 子
やまびこの戻つてこない枯木山 悦 子
かぶりつく焼藷育ち盛りの子 市 子
熟寝児の育休パパや息白し 尚
埋火や遠くの記憶掻きまはす 尚
一筋の光に迷ふ冬の蝶 玲 子
読み返す育児日記や日脚伸ぶ ひとみ
大寒の茜や合同句集成る ひとみ
引く波を洗ふ波あり虎落笛 かづひろ
平凡の片隅に置くシクラメン さき子
言の葉を育みながら春待てり 英 子
平和への扉を探す初句会 都 子
育メンを地で行く息子冬ぬくし 都 子
手で包むコーヒーカップ寒の朝 みどり
冬麗やふつふつ育つ旅心 玲 子
稲架掛けや大根の音のよく軋む かづひろ
ねんねこや世の中遠く眺めをり みどり
平凡を良しとす生活玉子酒 典 子
大股の昭和育ちに下駄と足袋 市 子
〇 武良竜彦句(参考)
寒木瓜の一歩さがりて色をなす
芙蓉の実枯れてぞ美しき銀の棘
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