のあ いちい ワールド

ここは、物書き「のあ いちい」の、人間世界とそれ以外の宇宙人について多くふれるブログです。

芥川賞作家 楊逸さんに聞く

2010-01-08 21:34:52 | 自作を語る
◇楊逸さんに聞く (インタビュー記事より抜粋)

・日本語を母語としない初めての外国人として2008年に芥川賞を受賞した楊逸さんの最新作は『すき・やき』!

21歳の中国人留学生、梅虹智は高級すきやき店でアルバイトを始める。慣れない着物を着、あいさつの発声や客の注文に緊張の日々を送る。
 「テーマは交流。交流をテーマにしたかった。日本に来て22年経っているが、よく聞かれるのは、『来たばかりのときはことばもできなくて大変だったでしょう』。要するに、ことばができなくて交流できなかったでしょう。だけどそれは関係ないと思った。体験してきた出来事の中では、ことばができなかったから交流できなかったという記憶はない。顔を読めるわけですから、表情とかで、相手が好意なのか、悪意なのかわかる。ことばが無くても笑顔一つで関係は縮めることができる。だけど、ことばができても、いくら言っても通じない場合もたくさんある。ことばができてからすごく交流がうまくなったかというと、また別なんですね。そこは違う。みんなの勘違いがあるのではないかと思って、それを書きたかった」
 虹智は大学でコミュニケーション学を専攻する。虹智に猛烈にアタックする韓国人留学生との日本語でのやり取りもほほえましい。

――「どこのシキヤキ屋ですか?」
「家の近いところ、渋谷から電車で十五分ですか」
「ジカレますか」
「着物だから疲れます。しかしもう慣れました」
「着物? ええ、コウチさんの着物の形を見たいだよ」
「駄目ですよ。着物は難しいはずかしい」
「ハジカシイも見たいよ」
「ヤダァですよ」――

◇小説のタネは思いつき

『すき・やき』では、虹智が憧(あこが)れる若い店長や、客の中年紳士と水商売の若い女性、そして老夫婦など、ちょっとした描写の中に存在感を持って現れる。しかし小説を書くきっかけは、人ではなく題材だという。
 「題材が面白そうだというときに人を設定する。こういうストーリーだと面白そうだと書きはじめて、人がだんだん出来ていく」
 テーマの題材は、第1作の「ワンちゃん」では、日本の農村の独身男性の中国での集団お見合いツアー。『すき・やき』では、2,3年前に初めて連れて行かれたすきやき店だったという。
 「それまですきやき店に入ったことがなくて、入ったら個室になっていてびっくりした。すごい怪しい感じで、女性の方が来ていろいろやってくれるでしょ。こういうところもあるんだなと。男性に連れられて行って、オープンなら二人きりでも気にならないが、個室で二人きりになると気遣ってしまいますよね、気分がおかしくなる。親しい関係なら喜ぶけど」
 その頃は、小説家になる気などまったくなかったが、「こんな怪しいところは絶対小説になる」と思ったという。
 聞いてもっとびっくりしたのは、『金魚生活』の執筆のきっかけだった。
 「『時が滲(にじ)む朝』の原稿を集中して書いていたとき金魚を一匹だけ飼っていた。書いている間は餌もあげなかったし水も変えなかった。原稿を書き上げてメールで送信した後に、こっちの部屋に来て、はぁー終わった、と思って椅子に座って、そのときそこに水槽があった。そしたらうちの金魚、浮いていたんですよ。エッ、ウソォ、どうしたの、と思ったら死んでいた。申しわけないことをしたと思って、この金魚のために小説を書かなくてはと、うちの金魚の記念として書いた」
 それが、改革開放後の中国のレストランで金魚の世話をする玉玲(ユイリン)を主人公とする小説になった。玉玲は女性としての魅力を失っていない50歳の独身女性で、日本で結婚した娘の出産を手伝うため日本に行き、娘から日本人との再婚を勧められてお見合いもするが、実は中国で亡夫の仕事の助手だった人が良いだけの男と同棲していた……。水槽に浮いた一匹の金魚から原稿用紙200枚の傑作が生まれた。
 「思いつきなんです。何か計画して書くというのが無いから、思いつきがないと書けない。思いつくと楽しくなる。小説だけが思いつきではなくて、私、基本的に思いつき人生ですね。本気で向かうというのは苦手なんです。私はこれを言いたくてしょうがないというのは面白くない。テレビで、気合い気合いと叫んでいるのを見ると、この娘、絶対にチャンピオンになれないと思う。プレッシャーしかない。私から見ると、何が面白いのか。気合い気合いと言っても、かちかちになって力が入らないですよね」
                (インタビュー:高橋誠 より抜粋)


すき・やき

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★10万円のお年玉

◆のあいちい(文芸と資格)

☆新作 (*^。^*) 『メール』

2007-05-22 22:54:57 | 自作を語る
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☆『桜色の恋』に続き、 ☆新作『メール』出展!
作家の街 9棟047号室。
出会い系サイトがテーマですが、意外な結末に?? 

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