あれは、暑い日の夕方だった。
カリンはスーパーで買い物をしてバスに乗った。
徒歩でも家まで30分ほどだったが、夕方になっても30℃を超えていた。
来年も生きていられるかな? 完全に暑さに負けていた。
一つ前のバス停で降りた。暑いし、帰りが遅くなるのになぜか降りたくなった。
樹木でおおわれた道へと入って行った。カリンの住む集合住宅から歩いたら18分位かかるだろうか。人と出会うことはめったになかったが、道幅は2メートル近くあった。その辺りで事件があったというようなことも聞いたことがなく、何より郷里の信州の山道に似た感じがして、そこを歩くと心が落ち着くのだった。
山と言えるほどではなかったが、栗や楢の大木が生えていて、枯葉を踏む感覚が心地よかった。
買い物を入れたリュックを背負っていたが、その日はいつもより少なかった。
夕陽が射していたが、樹木で直射は遮られ、ゆっくり歩けば思ったより暑くはなかった。
セミの鳴き声がつづいていたが、木陰が長い猛暑に負けたカリンの神経を癒してくれるように感じた。
しかし、生まれて初めての経験をすることになるなんて思いもしなかった。
道は大きく迂回してカリンの家に向かう道へつながっている。
しばらくすると、太陽はすっかり樹木に遮られ、辺りは少し暗くなったが、蝉の声だけはつづいていた。
が、次の瞬間カリンの進む方向に何かの光が射し込んでいるような気がした。
カリンは辺りを見回した。しかし、前にも後ろにも車は見えなかった。
カリンは、恐るおそる上空に目をやった。
と同時に、カリンの身体は光の輪のようなものの中を昇っていた。
「もしかして」と恐怖の中でカリンは呟いた。
「そうだ。そのもしかしてだ。だが、心配することはない」
「だ、誰?・・どうして私を?」
意識が戻ったカリンは、窓側の操縦席と思われる場所に座っている存在の方を見て言った。
「あなたが毎日、モナ・リザの絵を見て呟いていたから」
カリンの脳内に直接返事が返ってきた。
「わたしをどこかから見ていたのね」
「そうだ」
「それで、どうして私をここへ?」
「あなたが、あの絵の中で知った世界へ案内してやろうと」
「わたしが知ったこと・・」
「そうだ。あの数字」
「ということは、あれはほんとうだったのね」
「ほんとうだ」
「それでわたしを・・」
「そう、もう到着する」
窓からは赤茶色の大地が見えた。
「我々の基地へ行く前に、あの絵の中に描かれていた風景を見せておこう」
「やっぱり、人間のように星の表面には住んでいないのね」
「もちろん。ヒューマノイドで星の表面に家を建てているのは、人間ぐらいだ」
「それで、あなたたちは、どうやって地下へ?」
「このマシンに乗っていれば、それが分かる」
「このマシンで・・」
「そうだ。人間には出来ないテクノロジーだ」
カリンは窓の外を見つめていたが、次の瞬間、意識が飛んでしまった。
「さあ、着いたよ」
「わたし、どうなった? どこにいるの?」
「われわれの地下基地だ。しかし、今日はここまでだ」
「ここが、あなたが住んでいる所?」
「そうだ」
カリンは、マシンの外へ目をやった。地球の日中よりはずっと暗かったが、通路のような景色が見えた。
「・・私の乗っているマシンは、ほかの人からは見えないんですか?」
「Yes.人間の目には見えない。あなたがこのマシンから外に出れば、あなたの姿は見える」
カリンが小型のマシンから降ろされたのは、住まいのベランダだった。
幸い、窓には鍵が掛っていなかった。カリンがかけていかなかったのか、ETさんが開けたのかは分からなかった。
カリンは、背負っていたリュックがとても重く感じられ、スーパーに買い物に行ったことを思い出した。
「わたし、どうなっちゃったんだろう・・」
背中の荷物を降ろし、リュックの中味を確かめた。腕時計の時間は止まっていた。テーブルの置時計を見た。夕方の6時前。あの星へ行ってきたのに、時間がたっていないのではないかと思う。
「また分からないことが増えた」とカリンはつぶやいた。
モナ・リザの絵の中の数字から、私は火星に案内された。
質問する余裕などなかったが、あの地下基地と言われた所は、文字通りの火星の地下なのか。広い意味で火星の一部かもしれないけれど、いくつもある、別の空間、次元ではないだろうか?
アメリカの女性物理学者、リサ・ランドールや他の科学者が言っている・・。
(^^)日本の○○ちゃんがお迎えするページ
カリンはスーパーで買い物をしてバスに乗った。
徒歩でも家まで30分ほどだったが、夕方になっても30℃を超えていた。
来年も生きていられるかな? 完全に暑さに負けていた。
一つ前のバス停で降りた。暑いし、帰りが遅くなるのになぜか降りたくなった。
樹木でおおわれた道へと入って行った。カリンの住む集合住宅から歩いたら18分位かかるだろうか。人と出会うことはめったになかったが、道幅は2メートル近くあった。その辺りで事件があったというようなことも聞いたことがなく、何より郷里の信州の山道に似た感じがして、そこを歩くと心が落ち着くのだった。
山と言えるほどではなかったが、栗や楢の大木が生えていて、枯葉を踏む感覚が心地よかった。
買い物を入れたリュックを背負っていたが、その日はいつもより少なかった。
夕陽が射していたが、樹木で直射は遮られ、ゆっくり歩けば思ったより暑くはなかった。
セミの鳴き声がつづいていたが、木陰が長い猛暑に負けたカリンの神経を癒してくれるように感じた。
しかし、生まれて初めての経験をすることになるなんて思いもしなかった。
道は大きく迂回してカリンの家に向かう道へつながっている。
しばらくすると、太陽はすっかり樹木に遮られ、辺りは少し暗くなったが、蝉の声だけはつづいていた。
が、次の瞬間カリンの進む方向に何かの光が射し込んでいるような気がした。
カリンは辺りを見回した。しかし、前にも後ろにも車は見えなかった。
カリンは、恐るおそる上空に目をやった。
と同時に、カリンの身体は光の輪のようなものの中を昇っていた。
「もしかして」と恐怖の中でカリンは呟いた。
「そうだ。そのもしかしてだ。だが、心配することはない」
「だ、誰?・・どうして私を?」
意識が戻ったカリンは、窓側の操縦席と思われる場所に座っている存在の方を見て言った。
「あなたが毎日、モナ・リザの絵を見て呟いていたから」
カリンの脳内に直接返事が返ってきた。
「わたしをどこかから見ていたのね」
「そうだ」
「それで、どうして私をここへ?」
「あなたが、あの絵の中で知った世界へ案内してやろうと」
「わたしが知ったこと・・」
「そうだ。あの数字」
「ということは、あれはほんとうだったのね」
「ほんとうだ」
「それでわたしを・・」
「そう、もう到着する」
窓からは赤茶色の大地が見えた。
「我々の基地へ行く前に、あの絵の中に描かれていた風景を見せておこう」
「やっぱり、人間のように星の表面には住んでいないのね」
「もちろん。ヒューマノイドで星の表面に家を建てているのは、人間ぐらいだ」
「それで、あなたたちは、どうやって地下へ?」
「このマシンに乗っていれば、それが分かる」
「このマシンで・・」
「そうだ。人間には出来ないテクノロジーだ」
カリンは窓の外を見つめていたが、次の瞬間、意識が飛んでしまった。
「さあ、着いたよ」
「わたし、どうなった? どこにいるの?」
「われわれの地下基地だ。しかし、今日はここまでだ」
「ここが、あなたが住んでいる所?」
「そうだ」
カリンは、マシンの外へ目をやった。地球の日中よりはずっと暗かったが、通路のような景色が見えた。
「・・私の乗っているマシンは、ほかの人からは見えないんですか?」
「Yes.人間の目には見えない。あなたがこのマシンから外に出れば、あなたの姿は見える」
カリンが小型のマシンから降ろされたのは、住まいのベランダだった。
幸い、窓には鍵が掛っていなかった。カリンがかけていかなかったのか、ETさんが開けたのかは分からなかった。
カリンは、背負っていたリュックがとても重く感じられ、スーパーに買い物に行ったことを思い出した。
「わたし、どうなっちゃったんだろう・・」
背中の荷物を降ろし、リュックの中味を確かめた。腕時計の時間は止まっていた。テーブルの置時計を見た。夕方の6時前。あの星へ行ってきたのに、時間がたっていないのではないかと思う。
「また分からないことが増えた」とカリンはつぶやいた。
モナ・リザの絵の中の数字から、私は火星に案内された。
質問する余裕などなかったが、あの地下基地と言われた所は、文字通りの火星の地下なのか。広い意味で火星の一部かもしれないけれど、いくつもある、別の空間、次元ではないだろうか?
アメリカの女性物理学者、リサ・ランドールや他の科学者が言っている・・。
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