ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 ボラード病 」  吉村 萬壱

2016-03-07 20:02:59 | 
      「 ボラード病 」  吉村 萬壱

     

ボラードって?  初めて聞く名前ですが、調べると「 岸壁に設置して船を繋留する杭。 道路で車などの侵入を防ぐ杭。 」
名前は知らなかったですが、普段よく見るものでした。 
ディストピア小説と書かれていますが、ユートピア( 理想郷 )の反対だそうです。
本を読むたびにいろいろな雑学が増えボケ防止になります。

B県海塚市で母親と2人で暮らしている小学5年生の大栗恭子の目線で書かれています。家は貧しく勉強も得意ではありません。
母親は神経質で、周りで採れた魚貝類や野菜は買ってはきますが食べません。
海塚は数年前に災害に見舞われ、市民は避難していましたが、やっと戻り、学校では市に対する忠誠心や市民の約束について徹底的に叩き込まれています。
ボランティアで市のゴミ拾いに参加したり、日常では、何かあると毎回「 海塚賛歌 」をうたいます。

子供達が次々亡くなっていき、学校からの委託で飼っているウサギには前足がありません。
担任の藤村先生は、或る日、突然来なくなり代わりの先生がきます。 
安全神話に同調する人がしない人たちを排除し隔離していきます。恭子の父親も藤村先生も、、、、。
とうとう、恭子も隔離され、30歳になった恭子の眼で語られます。

原発事故を題材にしているのか?と、作者のインタビューも読みました。
スイスの臨床心理学者で精神分析医のマルグリート・セシュエーの「 分裂病の少女の手記 」が根底にあったと話していました。
文章は小学生の手記形式で読みやすいですが、内容は重かったです。

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