酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

休暇分散化という愚策

2010-03-03 06:21:04 | Weblog
政府の観光立国推進本部分科会が大型連休を全国5分割する休暇改革の原案をまとめた。

 《5月の大型連休は九州が第2週、北海道は月末―。政府の観光立国推進本部(本部長・前原誠司国土交通相)の分科会がまとめた休暇改革の原案が1日、明らかになった。

 春と秋の2回、土曜と日曜を含む5連休を創設。全国を5ブロックに分割し、時期をずらして取得する。ゴールデンウイークやお盆に集中している休暇を分散化することで、観光需要の掘り起こしや混雑の緩和、関連業界の雇用安定を図るのが狙いだ。

 同本部は2011年以降の導入を検討しており、今秋の臨時国会にも国民祝日法改正案を提出したい考え。3日の分科会で日本経団連など産業界から意見を求める。

 ブロック分けは(1)北海道・東北・北関東(2)南関東(3)中部・北陸信越(4)近畿(5)中国・四国・九州・沖縄―が有力になっている。春の大型連休は「行楽日和」に当たりやすいよう、気温上昇と梅雨入りの時期などを考慮して南からスタート。秋は「紅葉前線」の南下に合わせるように北から順に取得する。

 年間の休日数は増やさず、計6日の祝日を春と秋に3日ずつ振り替える。国民祝日法は祝日を休日とするよう定めているため、法改正が必要になる》=共同=。

 この分科会の座長は辻本清美センセイである。メンバーは国交省、内閣府、総務省、文科省、厚労省、経産省の政務官や副大臣と内閣官房審議官。これに逢坂首相補佐官、星野国交省成長戦略会議委員がオブザーバーとして加わる。

 観光や休日の専門家といえるのはオブザーバーの星野だけ。5分割の原案にも星野の考えが色濃く反映されているのは間違いない。

 机上の空論とはこういうたぐいのプランをいうのだ。全国を五つのブロックに分けて連休を導入することなど実際上不可能だ。以前ほどではないにせよ、盆や正月の移動は帰省が中心だ。故郷と居住地の休みが食い違ってしまえば、田舎に帰っても邪魔にされるだけである。

 確かに民族大移動のごとく年に2、3回ひしめき合って動き回るのは問題が多い。だからといって、政府が祝日法などを改正してこの分散化に努めるなど筋が悪すぎる。

 問題は連続休暇が少ない点にある。これは雇用政策として解決すべき課題だ。有給教化の消化率は相変わらず50%に満たない。地方によっては2、3割というところも珍しくはない。法定の有給休暇日数を増やした上、最低でも70%取得を義務づける。こうした政策を推進することが先決だろう。

 企業に休暇取得を義務づければ、雇用者を増やす必要が生じる。労働コストが上がることになるが、そこは賃金の縮減で乗り切るしかない。労働組合などからは反発の声が上がるだろう。公務員や大企業の労働組合は既得権擁護を至上命題としているからだ。

 ワークシェアを本気で考えている組合などごく少数だ。しかし、非正規労働者問題に先進的に取り組んでいる広島電鉄などの例もある。休日増は雇用問題を結びつけて論議しなければ意味がない。

 
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