酔眼独語 

時事問題を中心に、政治、経済、文化、スポーツ、環境問題など今日的なテーマについて語る。
 

さらば稀勢の里!!

2019-01-16 10:05:58 | スポーツ
 横綱稀勢の里がとうとう引退する。≪大相撲の東横綱稀勢の里(32)=本名・萩原寛(ゆたか)、茨城県出身、田子ノ浦部屋=が現役引退を決断した。進退をかけた初場所で初日から3連敗し、一夜明けた16日、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が明らかにした。2年前、19年ぶりに誕生した日本出身横綱として期待されたが、けがから復活できないまま土俵を去る≫=朝日DEGITAL=。

 横綱審議委員会から異例の「激励」決議を突き付けられた初場所で初日から無残な3連敗、もはやこれまででと観念したのだろう。その心中は察するに余りある。当ブログは昨年秋場所中に「頑張ったがここまでだ」と題して引退を勧めている。遅きに失した決断は横綱の権威を傷つけ、稀勢の里の男を下げた格好だ。横綱本人の責任というより親方や周囲の見識のなさ、場当たり的対応がこの悲惨な結末を迎えさせたと思うと残念でならない。

 思えば連続優勝後の5月場所に、怪我を完治させないまま出場したことが悪循環の始まりであった。強行出場を繰り返しては途中で休場する。ようやく全休したのは2017年の秋場所、しかしここでもひと場所だけの休場にとどめ、次の九州、初場所と出ては引っ込む醜態を演じた。昨年の大坂から名古屋まで三場所連続で全休したが時すでに遅しであった。このやり方、戦力の逐次投入という旧日本軍の「戦法」と似ている。じっと体力の回復を待ち、気力、体力が充実したところで一気に勝負をかけるという決断ができなかった。それを許さない事情があったのだろう。稀勢の里自身、自分の力をどこまで把握できていたのか。

 今場所前の稽古では気鋭の貴景勝を圧倒するなど好調ぶりが伝えられていた。しかし、稽古場と本場所は全く違う。再起が懸る横綱の調整に相手力士が本気で挑んでくるなどあり得ない。それなのに稀勢の里は「体は動いているし、いい感じで仕上がっている」などと語っていた。自分の力を測れないようではなにおかいわんやである。元横綱隆の里の鳴門親方が生きていればーと悔やまれる。現在の師匠・田子の浦は弟子の体調、力量、気力などをどこまでつかめていたのか疑問である。

 
 貴乃花来14年間途絶えていた日本出身横綱として相撲ファンの期待を一身に担った稀勢の里。その人気ゆえに引きどころを誤ってしまった。昨年の九州場所、この初場所と1勝もできないまま土俵を去る。これでは「よく頑張った!!」という声も掛けられない。白鵬と正面から渡り合って勝つだけの力があった稀勢の里。ここまでしぼませてしまったのは相撲協会だ。

 白鵬に衰えが見え、鶴竜も引退間近の雰囲気である。次の横綱候補となると高安、御嶽海、貴景勝あたりが浮かぶが稀勢の里の関脇・大関時代に比べれば力的にかなり劣る。横綱不在、さらには大関不在の心配さえしたくなる。外国人と学生出身力士に頼ってきた報いである。たたき上げの星でもあった稀勢の里。無残な末路の悔しさは後進の育成で晴らしてほしい。

 



 

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