脱力日記

スポーツ、本、映画ときどき仕事。自分の身の回りにある、ふとしたことを書き留めたいと思います。気軽にコメント下さい。

誇り

2012-11-19 01:45:40 | 日記
逆転花園か、敗退か、それとも抽選に身を委ねるのか?

全国切符をかけた、愛知県高校ラグビー決勝戦で究極の選択を見ました。

主役は、三好高校。
0-3のロースコアで迎えた後半終了間際、彼らは自陣から、ミスをしないように、丁寧に丁寧に、ボールをつなぎ初めました。余り長いパスを使わずに、FWにボールを集め一歩一歩。

もし、自分たちがファウルをおかせば、ラインからボールが出れば、その時点で終戦のホイッスルが鳴ってしまう。

ロスタイムに入った時には、ついに相手ゴールライン15メートルまで進みました。

そこで、相手の西陵商がたまらずにファウル。

選択の時です。

ペナルティーゴールを狙うには、十分な位置。決まれば3点が入り、3-3で試合は終了。花園への切符は抽選での勝負になります。

彼らの選択はタッチキックでした。トライを奪えば5点が入り、
逆転勝利がかなう。あくまで攻めを貫いたのです。

そして、ゴールライン5メートルでもう一度ファウル。そこでも、彼らはキックには目も向けずに前へ進みました。

ついにボールは、ゴールライン上まで到達しました。20人を越える大男たちが、ボールに重なりあう。

逆転トライか

審判は密集の周りを、クルクル動きボールを、確認しようとしました。ただなかなか見えない…。



しばらくたって、ついに笛がなりました。

アンプレアブル。

どちらの反則でもなく、ボールが、どうしようもなく動かなくなった時に適用される判定でした。

そして、終了、ノーサイドのホイッスル。

ギリギリの0-3。

耐えに耐えた西陵商が花園切符を手に入れ、初出場を目指した三好はグラウンドにひれ伏しました。

歴史を変えるために、天に身を委ねず、あくまで自分たちの力を信じた三好フィフティーン。

これがラグビーに脈々と受け継がれる精神か。伝統か。誇りか。

頭が下がる選択でした…。