7日の東京外国為替市場では円が急伸。米国によるシリア空爆を受け、リスク回避の動きが強まっている。
米国は6日、シリアへの空爆を開始したと発表した。シリアのアサド政権が化学兵器を用いて多数の民間人を殺害したことで国際的非難が巻き起こり、トランプ大統領は「人道とはかけ離れたものだ」と批判していた。
ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨全てに対して上昇。ドル・円は1ドル=111円ちょうど付近で小じっかりとなっていたが、空爆のニュースを受けて一時110円13銭と3月27日以来の水準まで円高に振れた。
IG証券の石川順一シニアFXストラテジストは、今のところそれほどヒステリックな反応はしてないが、「株価動向次第でドル・円は110円トライの可能性を意識せざるを得ない状況」と指摘。「オバマ政権よりも積極的に軍事介入してきたということで、同じことが今後、北東アジアを含めて起こる可能性がある」とし、米中首脳会談を控えて北朝鮮問題をめぐる「米中の思惑は非常に重要なファクターになる」と話す。
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地政学リスクの高まりから、7日午前の東京株式相場はマイナスに転換。日経平均株価は一時79円安まで下げている。また、質への逃避から米債利回りは時間外取引で急低下し、10年債利回りは昨年11月末以降、レンジの下限だった2.3%を割り込んで2.287%まで低下した。
トランプ大統領は6日午前のFOXニュースとのインタビューで、中国の習近平国家主席との会談は「非常に面白くなる」とし、米国は中国に「ボールを投げていく。われわれは非常にうまくできると思う」と話した。大統領は「ずっと以前から、米国の貿易は不公正な扱いを受けてきた」とあらためて言明。「北朝鮮とも大きな問題を抱えている」と述べた。
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円は対オーストラリア・ドルで昨年11月以来初めて1豪ドル=83円を突破し、一時82円80銭前後まで上昇。対ユーロでも1ユーロ=118円台前半から一時117円32銭と同11月以来の高値を更新している。
石川氏は、北朝鮮をめぐる地政学リスクについては、北東アジアに日本も入るので円売りとリスク回避の円買いと2つの議論あるが、円が資金調達通貨として選好されている面は変わらず、「どこでリスク回避の芽が出てこようと借りていた円を返す需要が働きやすい」と指摘。このため、最初の反応は円買いになる可能性が高いとみている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-07/OO0Q0P6JIJUQ01