理想国家日本の条件 さんより転載です。
遙 洋子 バックナンバー 2017年2月24日(金
日経ビジネス擁護(´▽`)
「“出家”して何が悪い」
「死なない」。そのことについて、よかったと思う
![](http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213874/022200043/marker.gif?__scale=w:30,h:20&_sh=0790100470)
ご相談
芸能界を騒がしている清水富美加さんの「出家騒動」、遙さんはどう見ましたか。(20代女性)
![](http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213874/022200043/marker_answer.gif?__scale=w:30,h:30&_sh=0605b0b808)
遙から
清水富美加さん、今は千眼美子さんというそうだが、清水さんだった時のことから辿りたいので、
清水さんとお呼びして書くことにする。清水さんの「出家宣言」に対するメディアの反応に、あれこれ
違和感を覚え、そのひとつひとつを自分の言葉で置き換えていきたいと思う。
仕事していて「死にたい」と思う人は清水さんだけだと思わないし、睡眠時間3時間というのも、
安すぎる給料というのも、清水さんだけではないだろう。
「給料5万円」は過去のことと横に置いたとしても、世の中は清水富美加さんだらけではないのか、
という問いがよぎった。
宗教的行為としての「出家」の是非も横に置き、精神的に追い詰められた状況からいかに抜け出すか
という点に目を向ければ、芸能界のみならず、多くの人が向き合う可能性のある問題だと思うからだ。
違和感その1
「死にたいというけれど、仕事で一緒だったときには全然そうは見えなかった」という周囲の発言について。
バカかと思う。死にたいと思うことと、死にたいと見せることは違う。
しんどそうに見せられない立場にあったり、それを許されない環境や職業にあったり。
そうしたこと自体も「死にたい」と感じさせるストレスの一要因になっていることなど普通にある。
「そうは見えなかった」と発言するメディアの奴は、自分の鈍さをさらけ出しているにすぎない。
その問題に気づいていない分、「そういうお前も、ストレス要因なんだよ」と教えてあげたい。
「死にたい」という言葉を本人が口に出した時、それは他者が判断することではなく、
本人がそういうなら、そうなのだ。それ以上でも、それ以下でもない。
先般、娘が過労自死をし「死ぬまで働いてはいけません」と涙ながらにメディアに訴えた母親の姿が重なった。
「死にたい」と思うほどに追い詰められた本人に、冷静な判断を求めるのは酷だ。
本人のいう「死にたい」は悲しいことに本気なのだ。
「そうは見えなかった」という人には「あなたが見ようとしなかっただけではありませんか」と返したい。
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遙 洋子(はるか・ようこ)
タレント・エッセイスト
関西を中心にタレント活動を行う。東京大学大学院の上野千鶴子ゼミでフェミニズム・社会学を学び、『東大で上野千鶴子にケンカを学ぶ』を執筆。これを機に、女性の視点で社会を読み解く記事執筆、講演などを行う。