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庭師のブログ(5) ハト

2016年03月20日 | 日記
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(第5話) ハトの巣

庭木の剪定作業をしていると、ハトの巣によく出くわす。

卵を温めているハトは、かなり早い段階で飛び去ってくれるが、雛がかえった巣のハトは、手ごわい。手が巣の近くまで伸びても、羽をバタバタさせて、攻撃するそぶりをみせる。ハトを怒らせて顔をつつかれるといやなので、いったん下がって、棒のようなもので、ハトをつつくと、やっとバータバタバタと大きく羽ばたいて、巣から離れてくれる。それでも、すぐ近くの屋根のトユなどにとまって、それとなくこちらの様子を見ているのである。

手早く巣の周りの剪定を済ませて、下枝にハサミをいれていると、いつの間にかハトは澄ました顔をして巣の上に乗っている。いつ戻ってきたか気がつかないほどの、静かな帰宅である。

以前、マツを剪定していたときのことである。

どうしても、その巣が邪魔だったので、剪定の済んだ直ぐ上の枝に、こっそり巣を移した。やがて、いつものようにハトは前の枝に戻ってきたが、自分の巣を目の前にして、知らん顔をしている。ヒョロヒョロの雛は口をパクパクさせて母親を求めているが、それでもハトは知らん顔である。そして、あろうことかハトは巣を後にして飛び去ってしまった。

2時間たった。ハトは隣の屋根にとまったり、またいなくなったりしていたが、巣のあるところには戻ってくる気配はない。

ちょ、ちょっと待った。

おや、ヒゲジイに似た人、でてきましたね。

だって、おかしいじゃないですか。 すぐ目の前に自分の巣と雛がいるのでしょう? どうしてわからないのですかねえ。

それはですねえ、ヒゲジイに似た人。

ハイハイ。

私にもよくわからないのですよ。でも、安心してください。思いあまって、私が巣を元の枝にもどしたら、すぐにやってきて、さっそく雛になにやら口移しで与えていましたね。


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