88グリーンビートル

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庭師のブログ(2)スズメバチ

2016年03月03日 | 日記
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第2話 スズメバチ

タランチュラと違って、スズメバチは恐ろしい、毎年何人もの人たちが、スズメバチに刺されて、命を落としている。その割には、だれも取り締まろうとしない。

それをいいことに、スズメバチは、あちこち好き勝手に巣をつくっている。

昨年の夏、女性の声で電話があった。自宅の軒下にスズメバチが大きな巣を二つつくっている。怖いので取り除いてもらえないかという依頼であった。

私は言った。二つも巣をつくっているのなら、それはスズメバチではなく、アシナガバチという、恐ろしくもなんともない、おとなしいハチですよ。でも刺されると、痛いのでこれから伺います。

家に着いて、さっそく巣があるという軒下を案内してもらった。そこにはなんと、直径15センチほどのスズメバチの巣が軒の両端に、二つ並んでくっついていた。それぞれの巣には、何匹かのハチが盛んに出入りしている。こんなこともあるのだなと思い、しばらく眺めていた。

ハチの巣の除去を業者に頼むと、結構高い料金が請求されるように聞いている。スズメバチの巣の除去、8万円というのもあって、さすがにびっくりしたが、こどもが刺されでもしたら大変と思って、払う人もいるのだろう。そのためでもあるまいが、料金に見合うよう、宇宙飛行士みたいないでたちで、おもむろに巣を取り除くシーンがテレビで紹介されていた。

私の場合は、いとも簡単である。巣まで届く水道ホースがあればよい。見張りのハチの動きが止ったその瞬間をのがさず、ホースの水を勢いよく巣に叩きつける。巣は次第にバラバラになり、翅の濡れた八チや、幼虫がポタポタ地面に落ちてくる。それで一巻の終わりである。やがて、翅の乾いたハチから順に、ブーンと遠くに飛び去って行く。また、どこかで巣をつくるのだろうけれど、夏を越してからでは、もう大きな巣は作れない。

小さな問題が、まだ残っている。その場にいなかったハチが、巣が壊れたことを知らずに、餌をくわえて帰ってくる。それをみた人間は、仕返しに刺されないかと思い、あわてて家の中に逃げ込むが、ハチはただ、巣がなくなったことがよくわからないまま、2、3日うろうろしているだけである。

けれど、これを読んだからといって、決して自分でやってみようと思わないでほしい。手順を間違えば、ほんとうに命取りになるからだ。スズメバチの巣を見つけたら、そのまま何もせず、ほかっておくのが一番だが、気になるようだったら、グリーンビートルに電話すると、セコムのように、たちまち庭師が駆けつけてくる。私のことですけどね。


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庭師のブログ(1)タランチュラ

2016年03月03日 | 日記
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第1話 タランチュラ

10年以上前の、ある夏の出来事である。

名東区の路上を、一匹の大きなクモが歩いていた。ずんぐりした身体で、熱く焼けたアスファルトの上を、のしのしと歩いていた。

毒グモだ。造園作業中の一人が叫んだ。見たことのないクモだった。私は、小枝でクモの行く手をさえぎってみた。たいていのムシや、クモのたぐいは、スピードをあげて逃げていくが、このクモは、キッと肩をいからし、威嚇した。これは、タランチュラだな、と直感した。

当時は、地球温暖化が叫ばれ始め、名古屋港にも、セアカゴケグモという、噛まれたら死に至らしめる猛毒をもったクモが、積荷に紛れて上陸しているというニュースが流れていた。民家の庭の植木鉢や、コンクリートブロックの下に潜んでいるという。

タランチュラだったら、またまた新聞を賑わすかな、でもその前にタランチュラかどうか確かめてからと思い、家にもちかえって、調べてみることにした。

タランチュラだった。

しかし、タランチュラは世界中にいて、なんと沖縄にもちゃんといるのであった。しかも、驚いたことに、日本には、タランチュラ愛好協会なる組織があって、珍しいタランチュラは高値で売買されているとのことである。よく知られている、あの黄色と黒の縞の、ふさふさしたタランチュラは、6000円の値がついている。私の持ち帰ったタランチュラは、4センチほどのちいさな、ただの茶色のクモで、どうも3円くらいの値打ちしかなさそうだった。どこからどうやって来たのか知らないけれど、この見栄えのしない3円のタランチュラがあわれに思えた。余談ながら、タランチュラに噛まれて死んだ人はいないということである。


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