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庭師のブログ(6) シロアリ

2016年03月28日 | 日記
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(第6話)シロアリ


仕事をしていると、白アリの話がよく出る。垣根に使う杭や丸太に、シロアリが発生して、家に移ってこないだろうかという心配をされているようだ。

私もシロアリに関しては、無知に等しいが、みなさんのお話を聞いていると、庭仕事に携わっているせいか少しはお話できるのではないかと思い、私のシロアリ感を書いてみた。多少まちがっているかもしれないけれど、大筋では正しいのではと、自分では思っている。

まず、シロアリは、白い色をしたアリだと思っている人がいるが、実はアリではなく、別の虫である。アリは、主に動物性のタンパク質を食べるが、シロアリは、枯れた木材を食べる。

シロアリには女王がいて、一族を取り仕切っている。女王の棲家は、庭の竹垣支柱や杭のような、そんなしょぼいところに居を構えない。10年くらい安定した食べ物が確保できる、木造の家が彼らにとって格好の場所である。これなら日本中いたるところにあるし、家ならいまもどんどん増え続けている。シロアリにとっては天国のような日本である。

毎年若い王女が誕生して、巣立ちする。そして、そろそろ防虫剤の効果が切れたような家を探して潜り込み、そこで晴れて新しい国をつくり、新女王となる。

そんなある日のこと、庭師がやってきて、庭に木の杭を打っている。それを見ていたシロアリは、家の中から地面をくぐって杭にたどりつき、さっそく食べ始める、とまあこういう仕組みである。

シロアリで家がとつぜん倒れたという話は、あまり耳にしない。江戸時代に建てられた小さな建物を知っているが、毎年おびただしいシロアリの羽アリが一斉に柱から湧き出してくるものの、これまでの台風や地震にも持ちこたえたのだから、まあ、シロアリで家が倒れることは稀なのだろう。


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