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庭師のブログ(32) ビッグバン

2018年09月07日 | 日記
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庭師のブログ(32) ビッグバン/ 東京国立科学館


その日、台風10号が東京に近づいていた。時間に追われる一日となりそうだった。



上野で降りて、まず東京国立科学館の恐竜常設館に行った。トリケラトプスの写真を撮って、メインの首長竜もみて、その他いろいろ見て、宇宙の始まりのコーナ―で足が止まった。

地球の歴史以前に、宇宙の歴史があることに、気づかされた。

これまでの私の知識では、宇宙は初めから存在していて、そのうちの恒星のひとつである太陽がある日爆発して、その破片が惑星となって、太陽の周りをまわりだした。地球ができたのが47億年前で、恐竜が出現したのが、3億年から1億年前という話は、前回書いた。

ところがここにきて、知ったのであるが、知らない人は、私のようにびっくりするかも知れないが、宇宙ができた年、つまり宇宙の始まりというのがあったのである。

これまで、耳にしたことがある、ビッグバンが起こったのである。何のことかよくわからないが、何かが大爆発して、星がいっぱいできたらしい。

それは137億年前と言われていたが、近年になって、計算し直すと、いやもう一億年前の138億年前に、宇宙は誕生したのだそうだ。それほど正確に宇宙の始まりは、計算できるのだ。

宇宙の歴史がスタートして、90億年かそこらでもう地球ができ、その46億年後に、私たちがいるのである。つい、この間のことのような錯覚を覚える。

ところが宇宙の始まりがあれば、宇宙の終わりもある。それも計算できるらしいのだが、それによると、宇宙の終わりは、10年の70乗という途方もない数値であるらしい。1兆の1兆倍が、まだ10の24乗というから、私たちからみたら、もうそれは無限に近い。

昔、二本松造園にM君という職人がいた。ちょっと変わり者だったが、突飛なことを言っていつも周囲を笑わせていた。

彼は、毎月京都の花園大学で開かれる、山田無文老師の禅の講話を、新幹線を使って、欠かさず聴きに行っていた。

聞いてきた話をよく、私たちにしてくれるのであるが、古代のインドには、時の長さを表す「カルパ」という単位があるというのである。

1カルパとは、例えて言えば、一里四方の土地に、大きな岩がゴロゴロといっぱい転がっていて、それを天上から天女が、1000年に一度地上に舞い降り、まとっている絹の衣の袖で、岩のひとつをサッとひと撫でして、また天に帰っていくのである。

それを1000年ごとに繰り返しているうちに、衣で撫でられてすり減った岩は、やがて一里四方の土地からすっかり消えてしまう時が来る。それが1カルパだそうである。仏教の教えによると、宇宙ではそれが繰り返されていると、彼は言う。

10年の70乗というのは、そういうことだったのかと、今になってやっとわかってきた。

恐竜庭園から、こんなところにたどり着いてしまった。


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