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庭師のブログ(40) ロンドンの下町

2019年11月30日 | 日記
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第40話 ロンドンの下町

私の宿泊先は、地下鉄セブンシスターズ駅から歩いて、10分くらいのところにある。


(写真)どこの家の屋根にも煙突がある。たくさんの煙突が並んでいるのは、暖炉がある部屋の数だけ煙突があるらしい。

右見ても、左見ても、レンガばっかりの街である。

朝、適当に起きて、宿の近くを散歩する。朝を迎えた町の表情は、いずこも同じで、毎日同じようにドアが開いて、職場に、学校にと、一日が始まる。
中学生はみんな歩いておしゃべりしながら、歩いている。名古屋でも、おなじみの風景だ。




(写真)通りに一本電柱が立っていて、そこから蜘蛛の巣のように八方に電線を伸ばしている。


道路はまあまあ広いので、車のある人は家の前に駐車している。敷地の間口は狭いので、せいぜい一台分であるが、申請すれば、自分の駐車場になるみたいで、他の人は停められない。

両側にそんな車がずらっと駐車しているので、広いと思っていた道路も、結局細い道路になる。


(写真)レンガ塀を解体していた。日本では古いレンガを売っているが、こんなところから仕入れていたのかと思った。

この時間は、ムーミンパパのような帽子をかぶり、黒いコートをきた男性が、あちらこちらでみかける。何か、近くにユダヤ教の施設があるようだ。

このあたり一帯は、ユダヤ人家庭が多く住んでいるとのこと。どこの家庭も、こどもがいっぱいいて、家の前の道路でにぎやかに遊んでいた。

30数年前に、エリオットさんもこの地に家を買い、こどもたちを育てたが、今はみんな独立して、現在は奥さんと二人で住んでいる。部屋も空いているので、しきりと家に泊まるよう勧められたが、ていねいに辞退した。そういう旅行の楽しみ方があるのは知っているが、今は庭や、植物のことを一番に考えて、少ない滞在時間はそのために使いたい。

ロンドンの家の価格は、年々上がり続け、決して下がることはない。家の内装にお金をかけても、売るときは、それも含めて価値がつくので、安心して、家の売買ができる。

土曜日の朝、エリオットさんを頂点にした大家族の中に、小学生の女の子がいて、近所の教会を案内してくれた。教会の掃除をする日らしい。下町の教会のひとつにしては、大きな立派な教会だった。こどもたちの日曜学校みたいな教室もあった。聖歌隊の場所もあった。







エリオットさんが、世界一周旅行に出かけた時(その途中のタイで私と出会った)は、下町も清潔できれいだった。長い旅を終えて、戻って来ると、下町の通りに、あろうことか、今でいうホームレスと呼ばれる人たちがいた。

彼らは、教会の敷地内で寝泊まりしはじめたので、裏口の庇の下を、夜だけ使ってもよいという暗黙の了解ができた。ちゃんと横になれるような長い板も用意してあった。ジャンバルジャンのように食事をもらい、ベッドで寝せてもらうようなところまではいかないが、まあ、教会らしいことはしているのである。

教会の敷地には花が咲いていた。ガーデンというより、ただ花がそこかしこに咲いているだけなのだが、そこに黄色いチョウが一匹飛んできて、私の目の前の花にとまった。ヤマキチョウの仲間で、日本では山地に行かないとみられない、昆虫少年にはあこがれの蝶であった。

イギリスではチョウは、貴重である。だから、大事にしている。そんなことを思い出して、簡単につかめそうだったが、伸ばしかけた手を引っ込めた。

一方、イギリスで人々から親しまれているのが、バンブルビーというハチである。花壇をつくるとさっそく飛んできて受粉の手伝いをしてくれるいい虫である。ヨーローッパの国々では、誰でもバンブルビーと親しみを込めて口にする。日本語では、バンブルビーのことを、マルハナバチというが、だれも、「あっ、マルハナバチだ」と言う人はいない。

ロンドンの家はみんなくっついている。歩道から2,3メートルのところに家屋があって、3,4坪の敷地が庭のスペースになるのだが、生ごみと、リサイクルごみをいれる大きな容器が二つ、どこの家にもデンと置かれていて、ガーデニングを楽しむ人は少ない。


イングリッシュガーデンというから、ロンドンではどこの家も花でいっぱいにしているのかと思っていたら、全くそうではなかった。私に任せてもらえば、3,4坪の敷地に合った、庭をデザインするのだが・・・

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