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技術の限界と価格崩壊が同時に到来 一眼レフデジカメの“買い時”は今だ!
「100年に1度の不況」と言われる昨今、あらゆる商品が売れていない。だが、そんな消費不振の影響を割り引いて考えたとしても、これまでとはちょっと様相が変わって来ているのが、デジタルカメラだ。
700~1000万画素程度のデジタルカメラを持っている方は、最近“買い換え”のマインドになっているだろうか? 僕がヒアリングした限りでは、デジタルカメラを買い換えようと考えている方は減っている。
また、データもそれを裏付けている。ちょっと衝撃的な数値を紹介しよう。数値は全て1月の対前年同月比だ。
・デジタルカメラの国内向けの総出荷台数/81.1%
・一眼レフタイプの国内向け出荷台数/62.4%
・デジタルカメラの北米州向け総出荷台数/56.3%
・一眼レフタイプの北米州向け出荷台数/7.3%
どれも非常に悪い数値だ。なかでも一眼レフの落ち込みが大きく、特にアメリカでは、恐ろしいほど売れていない。ただし、北米州向けの一眼レフは出荷台数が7.3%なのに、金額は17.8%とこれを上回っている。つまりさっぱり売れていないが、単価は上がっていると推測できる。
ところが、日本や欧州向けでは、台数の割合を金額の割合が下回っているのだ。つまり、売れないことにより、単価がさらに下がっているのだろう。
僕はその理由を、「日本では一般ユーザー向けの安価な一眼レフの需要があるのに対し、アメリカではプロに近い層しか一眼レフを買っていないからだ」と推測する。
試しに、金額を台数で割ってみると、アメリカは15万円ほどになり、日本は6万円台半ばだ。単価が大幅に違うのである。
なぜか、アメリカでは大きな製品がよく売れている傾向がある。PCも大型のノートが売れ、テレビや家電もサイズが大きい。だが、コンシューマは一眼レフに興味を抱いていないようだ。
日本では、キヤノンの「EOS Kiss」がフィルムカメラの時代にヒットし、普通のユーザーが一眼レフを買う流れができあがった。「一眼レフはカッコイイ」という意識もあるだろうが、基本的には写真を美しく撮りたい、撮影を楽しみたいというユーザーが買っているのだろう。
ところが、大型のレンズ一体型デジタルカメラで撮影しても、一眼レフと同レベルの写真は撮れる。普通のユーザーが見ても、その違いはほとんどわからない。アメリカでは、「格好のよさよりも画質や持ち歩き易さを重視した合理的な選択がされている」と考えるのが妥当だろう。
今こそ、驚くほど安くなった 一眼レフデジカメに注目だ!
EOS Kissは、レンズとセットになったタイプが、実売で4万円台から購入できる。もはや、高級なコンパクトデジカメと大差のない価格なのだ。このクラスのカメラを買うユーザーが、高い交換レンズを買うとは想像しにくい。つまり、コンパクトデジカメの延長で買っているとしか思えない。
1000万画素を超えるデジカメの画像データは、ファイルサイズが大きいため、扱いが大変だ。特に、RAWで撮影して現像するようなプロっぽい使い方は、カメラだけ高級品を揃えても、PC側が追いつかないのだ。
繰り返し書いているが、もう10年近く前にフィルムメーカーを取材した時に言われたことを、いまだに思い出す。「35ミリフィルムをデジタルにするなら約1300万画素であり、コンシューマはその画質で十分なのだ」と――。
とはいえ、当時は夢のような高画素だったのだが、今や2万円のコンパクトデジカメでも1000万画素を超えているのが実情だ。
レンズ込みで4~5万円の一眼レフも、当然1000万画素以上だ。いよいよデジタルカメラが“技術の果て”に行き着いたように思えてならない。だからこそ、メーカーも半ば苦し紛れに“動画撮影機能”を盛り込んだりしているのだろう。
もちろん、これは悪いことではない。少なくとも画素数に関しては、低価格で満足できるカメラを手に入れられる時代になったわけだからだ。プロはさらに高画質を求めるかもしれないが、それはコンシューマとは別の次元の話である。
一眼レフデジカメは、一度買えば末永く愛用できる。現状を考えれば、新機種は毎年のように登場するだろうが、画期的な進化は当面ないだろう。しかも不況で売れていないから、値下がりしている。まさに、“買い時”が到来していると言えるのではないだろうか。
逆に言うなら、メーカーにとっての“恐怖”はこれから訪れるのかもしれない。コンシューマのニーズが一巡すると、アメリカのようにプロしか買わない状況がやってくる可能性も、十分に考えられるからだ。
戸田 覚
(以上、ダイヤモンドより引用)
見ず知らずのビジネスライター戸田さんに突然言い掛りをつけるのもナンだが、毒を吐くのが唯一の健康法だから仕方がない。といっても、誤解を招くとイケないので最初に戸田さんを擁護しておけば、書店に置いてあるビジネス書のほんとんどは役に立たない。なぜなら、役に立つビジネスマンはビジネス書を買う必要はなく、役に立たないビジネスマンが買うからである。したがってビジネスライターは、役に立たないビジネスマンに向け、役に立たない情報をあたかも役立つように執筆しなければならい。これは至難のワザだ。会社の上司に「そんなこともわからないのか、バカ」と言われるバカなサラリーマンに「あなたはバカじゃない」と丁寧に説明するワケだから忍耐力も必要だろう。いずれにしてもビジネスライターとは大変な仕事だ。さて、そんな論理から上記の「世界不況で価格崩壊、しかも技術は限界だからデジタル一眼レフは今が買い時か」を考えてみると、当然、逆説として「今が買い時ではない」となる。けれども、果たしてそうなのか。結論を言えば、商品の「買い時か否か」の最終的な判断は個々の消費者に委ねられる。だから昔から言われるように「欲しい時が買い時」なんだろう、市場の問題ではない。ただ、お客様次第では商売にならない。特に倒産寸前のビックカメラは戸田さんの記事をよく読んでデジタル一眼レフのセールストークを磨いてくれ。その努力が世界不況を克服するのだ。