雑記帳(新居)

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前代未聞の世界最終予選

2008-05-27 04:05:43 | バレーボール
この事件についてはすでに静かになりつつあるようだが、今更でも絶対に書かなければならないと思っている。

バレーボール女子北京五輪最終予選の最終日に、突然、五輪出場の条件が次のように「変更」された。もちろん、FIVBは、大会前からこの規則に決められていたと主張しているのだが。以下、この記事では、これを「新規則」と呼ぶ。
  1. 全体の上位3チーム
  2. 1を除くアジア最上位チーム

大会の第6日まで我々が理解していた五輪出場の条件を再掲する。以下、この記事では、これを「旧規則」と呼ぶ。
  1. 全体の第1位のチーム
  2. 1を除くアジア第1位のチーム
  3. 2を除く全体の2,3位のチーム

最終的に、1位から5位までの順位は、ポーランド、セルビア、日本、ドミニカ、カザフスタンの順である。旧規則ならドミニカが出場となるはずのところ、カザフスタンが「棚からぼた餅」(?)の五輪出場を果たした。5連敗スタートからの大逆転である。

いずれにしても、メディアあるいはファンの立場からは、大会最終日になって突然ルールが変更されたように見える。絶対にあってはならない事態、まさに自殺行為だ。
変更がどうのこうのという以前に、4勝3敗のチームが予選落ちで2勝5敗のチームが五輪出場という状況自体、本来あってはならない。一般の観客から見て明らかに矛盾しているあるいは理解不能な状況が生じるのは、スポーツとして致命的だ。
そもそも、変更された後の規則は、アジアのチームに異常に有利な規則であり、まともな競技団体の考えることではない。もし上位3チームともアジアのチームになれば、残り1チームのアジアのチームはたとえ全敗最下位でも五輪に出場できるのだ。もし、前回のアテネ五輪最終予選がこの規則で行われていたら、イタリアが予選落ちで入れ替わりでタイが五輪出場していたことになる。どれほどばかげた規則かわかるだろう。

参考記事:
五輪出場条件を巡って混乱 バレー世界最終予選
日本協会お粗末運営!五輪出場国変更
我々視聴者だけでなく、各チームの選手・スタッフもメディアもこの規則変更には全く気がついていなかった。
第6日までは、放送の冒頭で必ず旧規則が説明された。最終日の第1試合で、突然「ドミニカの五輪出場の望みがなくなった」とアナウンサーが言った。ところが、規則が変更されていることの説明がなかったため、単にアナウンサーが勘違いしているだけと思われた。第2試合の第2セットあたりで、ようやく、大会規則の変更の通知があったと説明された。あまりにも信じられない事態に唖然とするしかなかった。
さらに、最終日の試合が終わった後も、第1試合で試合をしたドミニカはまだ五輪出場の望みがあると信じていた(旧規則に従って、日本がセルビアに負けて首位から転落すれば五輪出場と思っていた)し、第2試合のカザフスタンも記者会見の開始時点では五輪出場確定を知らなかった。カザフは、試合後の記者会見中に五輪出場決定を知らされ、主将のパブロワが会見中に泣きながら飛び出していってしまうなど狂喜乱舞。一方、ドミニカは大会最終戦の日本対セルビアが終わるまで規則変更を知らず、その試合が終わった直後、関係者から五輪出場できないと知らされたという情報がある(?)これが本当だとすれば残酷すぎる。(インターネットでの情報しかないからあまり定かでない)

FIVBの刊行物を振り返ってみると、どうやら2008年の2月頃にこの規則の変更をしたようだ。ところが、3月に日本側が大会の実施要項をFIVBに提出したところ(もちろん旧規則のまま)、それが承認されてしまう。そして大会の実行委員会・選手やスタッフ・メディア・視聴者とも、旧規則で大会が実施されるものと理解していた。
# しかし、4月2日付のプレスリリースでは新規則で実施されることが明記されていたのに、それに誰も気がつかなかったのは、うかつである

規則を変更したのならそれを広報する機会はこのおよそ3ヶ月の間に何度でもあったはずであり、変更された規則を誰も知らないとはあり得ない。
また、このような不公平な規則を、通常のやり方で決めて広報しようとしても、他の大陸のチームが一致団結して猛反対するはずで、とうていまともなやり方でこのような代物が通るはずはない。

FIVBは、規則を変更したという口実を作りつつ、実際は誰にも知られないうちにこっそりと規則を変更してしまおうという意図を持っていたとしか思えない。そうでもなければ、このようなことが起こるとは思えない。

とすれば次の疑問は、いったい何者がこのようなたくらみをしたかである。
単純に考えれば、アジアの3番手以下のチーム、韓国・タイ・カザフのいずれかがという説がある。特に某国は、スポーツに関して、審判を買収して判定を自国有利に歪曲させ、あるいは自国さえよければ何でもありという大会運営、観客の異常さなど、前科何犯の札付きである。○ちゃんねるなどでは、必然的に真っ先に疑いをかけられる。しかし、その某国とて、その国で人気の高い競技か世界一を見込める競技にしかお金は出さず、選択と集中ははっきりしている。そのどちらでもないバレーで某国がそのような工作をするとは考えにくいし、ましてほかのアジアのチームがこのようなことを仕掛けるとはさらに考えにくい。

別の説を唱える人もいる。アコスタ政権下で優遇されていた国に対して追い落としが続いているというのだ。
今回の直接の被害者であるドミニカも、アコスタ会長時代はその側近にドミニカ人理事がいたこともあり、優遇された。ワイルドカードを受け取ることも極端に多く毎回世界大会に出場してきたし、アテネ五輪予選ではなぜか南米予選に回してもらい容易に五輪出場を決めた。
従来優遇されてきた立場だけに、ドミニカとしては訴訟などの強硬措置には出づらいという見方がある。下手に訴訟などすれば逆に藪蛇になる?

そして、「五輪出場条件の変更が広報されておらず、大会最終日に新しい規則が突然通知される」という前代未聞の失態を日本の大会主催者がしでかしたように見せて、日本の評価を大きく落とすという画策である。

これがもしアコスタ会長退任から続く動きの一環だとすれば、その背後には、やはり、相当大きな勢力が結集して動いていると考えられる。