建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

有資格者(2)

2009-07-07 08:41:13 | Weblog
……………………………(有資格者 2)…………

 協力業者の内部事情も分かるが、ゼネコンは見過ごせないモノがある。

「有資格者がいないグループは採用しない」
と厳しい文面だが、一斉に徹底通達しておかなければ、いつまでたっても改善されない。
 この無資格作業がどれだけ悪い作業なのか、身に沁みてないから、見逃しているのだ。

無資格作業について『車の免許』を例にして話をしてみよう。
 自分の息子が18になって車の免許を取りたいと言ったら、
「そうか、現場に行く道中で運転練習しよう」
と自分の車を提供しますか?
「車を動かしてごらん……横で見ているから」      
それで前後に少し車を動かせるようになったのならば、
「職長を見ながらマネしてごらん」
と仮免許もない状態で建設現場に息子を送り出し、運転(作業)させるのと同じ事である。

 資格(免許)がないけれども見よう見まねでも作業(運転)出来るようになったとの判
断から、現場に送り込まれたのでは、品質も安全も危なっかしくて見ていられない。
 車の仮免許が受かったのを聞いてもまだ、
「あっちの現場まで道具を届けに行ってくれ」 
とも言えず、トラックの鍵を渡せないのに、現場には無資格でも送り出すのは何故ですか?

「お父さん、今日、免許証取ったので、明日彼女とドライブするから車貸してよ」
「そうかい、おめでとう」
と新米の息子の運転に対して「免許があるなら」と安心して、早速、鍵を渡せますか? 
 仮免許では鍵は渡せなかったし、正式な免許を取ったにしても、次の日に車を貸す勇気
がないのは親として心配して当然であり、免許があっても不安を抱える人でありながら、
資格の無い職人さんを毎日現場に送り出す事に不安を持たないのでしょうか?
 
 無資格の人が万一事故をしたら、事故に巻き込まれたとしても、無免許運転とか無資格
作業者扱いで処理されて、送り出した人に責任が出るのですよ。
 その時に、その資格のないまま作業を黙認していた現場の所長さんは、事故が起きた場
合にどれだけの責任ミスを追及され、法で罰され裁かれるのか、考えていますか?
《統括安全衛生責任者》とは、どれだけの命の重さを背負っているのか、考えていますか?

 無資格と知りながらの話の中には…。
 作業主任者の他にもう一つ、特別教育の講習が必要な『玉掛け作業』について、無資格
者作業を黙認している現場が多いのも気になるものだ。

 レッカー車で荷物を吊り揚げる時にはロープで縛る《玉掛け作業》というものがある。
 ワイヤーロープが切れたとか、吊り荷のバランスが悪くて吊り揚げる途中で荷が崩れ、
落下したとか、事故が大災害になる可能性が高いにも拘わらず、無資格者作業の黙認があ
る。

 レッカー作業の多い職種の世話役さんは大抵資格を具えているが、一週間に一度だけレ
ッカーを使うような業者さん達には、玉掛けの保有資格者がほとんどいない。

 自分達の資材の荷揚げを資格を持っている人にお願いしても悪くはないが、三度目のお
願いをする頃には無資格者で荷揚げをするようになってしまう。
 慣れも確かにあるが、荷物はだんだんと高い所へ吊り揚げるのだから、万一の場合は相
当大きな被害になるのに、作業主任者もいないまま、無資格者が玉掛けをする場合もある。

 時にはゼネコンの社員が玉掛け作業をしているのを見るが、指導する立場の現場マンと
しては作業が出来ても、これも講習を終了していなければ当然、無資格作業である。
 ゼネコン社員が玉掛けをしたら吊荷は落下しない、とは誰も断言出来ないものであるの
だ。

 資格があると事故が無いのならば、いくらでも資格者を増やせばいいのである。

 実際には資格者が居ても事故が起きているのであるから、資格のない人の黙認作業を見
逃せば、事故を呼び込む行動をしているのと同じで、安全点検を幾ら増やしても事故が起きる。
 法で決められている事は矛盾点もあるが、法を遵守していながら万一事故が起きたとしても、法を遵守していたという信念は貫き通したいものである。

 建設業に事故は多く、安全規則の法も多いなかで、作業前の段階の資格取得・免許取得
は安全作業の基盤である、ともう一度認識して頂きたいものです。

     《続く》・・・コメント待ってるからね~

コメント
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