…………………………(教え方 3)………………
「福本さんの現場なら続いていたと思います」
とK君から会社を辞める相談を受けた時に聞いたが、手を差し伸べるには力不足だった。
(俺も皆も、耐えているのだから、この現場限りのヒトで次ぎの現場は違う上司だから)
との、かすかな救いの光も届かず、彼はもうこの業界から去って行ってしまった。
若者に現場の夢を教えたい私には、耐え難いショックを受けたものだった。
若手を育てるのは上司の努めであるが、教える方法によって枯れもするのである。
設計監理者に提出する文書、工事報告書、協力業者への指示書等の記入にしても、何をどのように書くのかを教えないで、すぐに書けと言うのは上司の驕りである。
一から十まで教えろと誰も言わないし、見て覚えるのが嫌だと言っているのでもない。
必要な事だけ教えればいいのであるが、教える方も十分理解していないのが問題だ。
教えるという言葉は私には向いてなく、私は《応援する》というスタンスである。
私はJV現場所長の時には、特に先方からの出向技術者に対して、自分の会社の部下と同じように分け隔てなく、本気で応援する為には、本心から怒り、叱る。
意思の疎通には遠慮は無用で、私が強く打てば、鐘の響きが遠くまで伝わるように、相手に届き、私にリアクションを示してくれるのだ。
本気で叱るほど相手には真意が伝わるもので、相手も本気で私にモノが言えるようになる。
《しのぎを削る》までは行かないが、腹の探り合いが消えればJV出向の気分も消えるだろう。
私の雷が落ちる迄の最初の間は、ここの現場の仕事には関係ない話から、
「この前のJV現場の人でね……」
ほとんどが誰でもするような失敗談を、少しオーバーに話す。
そのうち思い当たる事もあるのだろうか、
「私の時は・・・」
となれば、肩に背負っている自分の会社の看板が軽くなった証である。
「ここでも繰り返してアンタ失敗するよ、きっと」
『失敗するな』と言うよりも、相手に響く言葉である。
失敗がなければ万万歳であるが、失敗を覚悟しておくのも所長の腹の一つである。
私自身も似たり寄ったりの、同じ失敗の繰り返しをして来ている。
今度こそは…、次ぎの現場は、この現場こそは!と意気込むほど、ミスをするものだ。
それが若手現場マンの成長の糧なのだから、
「若手に失敗をしないように望むのは間違っている」
と言うのを自論としている。
私の現場の若手職員に失敗を認めたり求めているように思われるが、失敗しそうな状況になる前日には、私の失敗談をワザと囁いて失敗を防ぐ方法を考えさせている。
彼達が一端の現場所長になる為には失敗も経験であり学習である、そう私は応援してい
る。
《続く》…コメント待ってるからね~
《建設現場の玉手箱》 名古屋丸善:自費出版コーナーにて発売中。
「福本さんの現場なら続いていたと思います」
とK君から会社を辞める相談を受けた時に聞いたが、手を差し伸べるには力不足だった。
(俺も皆も、耐えているのだから、この現場限りのヒトで次ぎの現場は違う上司だから)
との、かすかな救いの光も届かず、彼はもうこの業界から去って行ってしまった。
若者に現場の夢を教えたい私には、耐え難いショックを受けたものだった。
若手を育てるのは上司の努めであるが、教える方法によって枯れもするのである。
設計監理者に提出する文書、工事報告書、協力業者への指示書等の記入にしても、何をどのように書くのかを教えないで、すぐに書けと言うのは上司の驕りである。
一から十まで教えろと誰も言わないし、見て覚えるのが嫌だと言っているのでもない。
必要な事だけ教えればいいのであるが、教える方も十分理解していないのが問題だ。
教えるという言葉は私には向いてなく、私は《応援する》というスタンスである。
私はJV現場所長の時には、特に先方からの出向技術者に対して、自分の会社の部下と同じように分け隔てなく、本気で応援する為には、本心から怒り、叱る。
意思の疎通には遠慮は無用で、私が強く打てば、鐘の響きが遠くまで伝わるように、相手に届き、私にリアクションを示してくれるのだ。
本気で叱るほど相手には真意が伝わるもので、相手も本気で私にモノが言えるようになる。
《しのぎを削る》までは行かないが、腹の探り合いが消えればJV出向の気分も消えるだろう。
私の雷が落ちる迄の最初の間は、ここの現場の仕事には関係ない話から、
「この前のJV現場の人でね……」
ほとんどが誰でもするような失敗談を、少しオーバーに話す。
そのうち思い当たる事もあるのだろうか、
「私の時は・・・」
となれば、肩に背負っている自分の会社の看板が軽くなった証である。
「ここでも繰り返してアンタ失敗するよ、きっと」
『失敗するな』と言うよりも、相手に響く言葉である。
失敗がなければ万万歳であるが、失敗を覚悟しておくのも所長の腹の一つである。
私自身も似たり寄ったりの、同じ失敗の繰り返しをして来ている。
今度こそは…、次ぎの現場は、この現場こそは!と意気込むほど、ミスをするものだ。
それが若手現場マンの成長の糧なのだから、
「若手に失敗をしないように望むのは間違っている」
と言うのを自論としている。
私の現場の若手職員に失敗を認めたり求めているように思われるが、失敗しそうな状況になる前日には、私の失敗談をワザと囁いて失敗を防ぐ方法を考えさせている。
彼達が一端の現場所長になる為には失敗も経験であり学習である、そう私は応援してい
る。
《続く》…コメント待ってるからね~
《建設現場の玉手箱》 名古屋丸善:自費出版コーナーにて発売中。