スピンオフ として熱中症 完璧防御の為に必要な事を、真夏の安全大会
の資料として活用してください。
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熱中症の『自己防衛』をいかにするか―――私の安全大会時の《熱中症対策》を公開しよう。
安全大会の講演を聞いている元気のいい職人さん達に、
「『熱中症になるかも知れない』と心配な方は手を挙(あ)げて下さい」
と訊(たず)ねると、聞き漏(も)らした訳ではないが、手を挙げる人はマレである。
(俺たち、炎天下で仕事してるから、そんなヤワじゃあ職人は勤まらん!)
と健康なのか強靭(じん)な体力を自慢してなのか、熱中症で倒れるとは思ってもいない。
だから熱中症の予防についての話を誰がしても、馬耳東風って事なのだ。
「じゃあ、人間の体について話をするね」から対策話が始まる―――
人間の体温は一般に36℃です。
子供が風を引いて、熱が出てぐったりしている時が大体39℃だったでしょ?
大人でもたった3度体温が上がっただけで、仕事を休もうか……と思うよね。
体温計の目盛を見ましたか?
体温計は42℃までしか目盛が無くて、それを越えると人間の細胞が止まるって事
です。
つまり、ぐったり状態の人の体温が、それからたった3℃上がると心肺停止状態に
なるのです。(逆に8℃下がって28℃が底限界)
36℃から3℃ほど上がるまでの状態を覚えている人はあまりいなくて、体温を測って
初めて熱が出ているのを納得する人のほうが多いと聞いています。
風を引けば極寒の冬でさえ体温が上がる(熱が出る)のだから、真夏に太陽に照らさ
れながら仕事をしていれば体温はどうなるのでしょうか?
冬、寒い時には手足を動かして、体全体を温める行動を取りますが、夏場でも体を動
かせて仕事をしていれば、同じように体内から熱は発散しているのですよ。
炎天下、直射日光をモロに受けての作業をしていて、体温が36℃のままでしょうか?
健康の為サウナ風呂に入り汗を出している時、体温が36℃のままでしょうか?―――
サウナ風呂の室内は90℃前後であっても、発汗作用によって体温は調節されるから
熱中症のよ うに体温を蓄える事は殆んど無い。
炎天下で作業している人は日射病になる可能性はあるが、汗を大量に出せば、のどの
渇きにより水分を絶えず摂取補給となって、体の温度は上がらず熱中症にはなり難い。
しかし、現場で室内作業をしている場合には、熱中症に罹(かか)る確率が高いのです。
それは、外気温33℃でも工事中の室内にエアコンはなく、埃飛散防止に窓は閉めて
ある中での作業でもあり、風通しの悪いのは慣れているから、
「今日は特に暑いなあ……もう少し頑張って早目に帰宅しよう」
と休憩時間を省略して、キリの良いところまで無理矢理仕事を進めるものだ。
汗をかいて肌着にベトついていても、水分補給があまりなされず、作業を強行する場合
が多い。
発汗作用の機能が発揮されていないまま、水分補給が不足してくれば、体を動かした
熱量が体内に蓄積され始めて、熱中症の症状が徐々に現われて来る。
我が家に帰ってエアコンが効いていればいいのだが、クールビズが家庭でも実行されて
室温はさほど低くないので、蓄積された体温はなかなか下がらない。
夕食前後から体調不調を感じて救急車の世話になる……こういう話が夜中に入って来る
のだ。
ではどこで手を打っていれば《熱中症が防げる》のかがポイントである。
「汗をかくのと水分補給のバランスを理解して下さい」
と私の講義は第二段階に入る―――
人間の体重の60%が水分です。
例えば60㎏の人の場合は36㎏つまり36㍑が水です。
その中から水分を2%失うと喉が渇いた(カラカラ)と感じる状態になります。
2%と言えば720㏄ですから、水分損失量はカップラーメン2個分以下の量なのです。
10%=3.6㍑失うと脱水状況で、12%の4.3㍑(バケツ半分)失うと死亡なのです。
ちなみに寝ている時の発汗量が200㏄と言われていますので、水分の補給は大切な
事なのです
サッカーの試合中、僅(わずか)なブレイクタイム時には、選手がこぞってスポーツ飲料
をガブ飲みしているのを見たり、マラソン競技でも走りながら必ず水分補給をしている
のを 見れば発汗の量は相当あり、水分補給が大切であり、運動エネルギーの源に
なっているのがよく分ると思います―――
話を熱中症に戻して―――
『炎天下で作業する人より現場では室内作業に従事する人こそ《熱中症に罹(かか)り易い》』
という事に気が付いた頃を見計らって、
「やっぱり熱中症になるカモ知れないな……と思われた方は手を挙げて下さい」
ザワザワと音がして、
(多分大丈夫だろうけども…絶対ならないとも言えないから……)
と先程の健康自慢を取り消して、ゆっくり手が上がる……数秒後には半数近くも・・・
手を挙げた人は私の注意事項が琴線に触れて、熱中症対策を素直に理解した顔になって、夏場を乗り切る自信が出来たのが伝わって来る。
安全大会終了後自社に戻り、自分達のグループや仕事仲間にリーダーとして
《熱中症対策の呼びかけ》
の中で人間の体について数値を示してくれる筈であり、7月・8月の厳しい暑さの中でも、元気に頑張って頂ければ、私の役目は終りである。
熱中症に気を付けさせるのか、命の危険を伝えるのか、私の話を活用してください。
『ご安全に・・・』
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