…………………………(一斉清掃)1 …………
「自分の出したゴミは自分で持って帰りましょう」
と看板はあるが守られたためしがないのが建設現場の常である。
多種多様の職人さんがいて、誰の仕業で場内が汚れたままになるのか
特定出来ない。
ゴミについては《風来坊》で因果関係を話ているので、もう一度見て
ください。
ゴミを片付ける時の話を、これからしよう。
私は毎週金曜日13時から20分間、全員で掃除をする事を、
昔から決めていた。
現場に始めて来た職人さんには「新規入場者教育」を全員に行い、
その時に必ず説明しているし、又、協力業者の社長にも工事契約条件書には記載が無いが
「一斉清掃」
を伝えている。
聞いていないとは言わさないし、掃除をサボる事も許さない。
「俺達は請負仕事だから、掃除は関係ないよ、組(元請)の仕事だよ」
よく言いのがれの口実を聞いたが、私は首を縦に振らないで、
「板を切って両方使えばゴミにはならないが、
鋸(のこ)クソはどうするンだい?」
「仕方ないよそれは…」
「鋸クソを持って帰らないなら、そのゴミ処理を何で俺に掃除させるンだ?」
「そんなあ…どこも組がやってるぜ」
「週に1回、皆で掃除しているのに、あンたの会社だけ廻りの人が
掃除中にも仕事するの?」
「・・・(掃除は嫌だ)」
この会話はまだ現場に一斉清掃の言葉のない時代の出来事の一コマだ。
やんちゃを言っていたのは、私の方だったのかと…今思う。
保護帽は被っていても、朝礼はまだ制度化されていない時代に、強引にも
一斉清掃を強制させていたのであるから、職人さんから
(生意気な若造!)
と言われていたのだろう。
当時の職人さんが、自分の家で箒を持つのは年末の大掃除くらいのもの
だった筈である。
「箒(ほうき)なんて持ったのは何年振りかなあ?」
面白半分で掃除時間に会話が弾むものの、本気で掃除する気分にはなっていない。
それでも掃除時間はダンスミュージックを流し、場内放送では、
「みんなで掃除、掃除。みんなで片付け、片付けよう」
と暗い雰囲気では面白くない作業に元気を植えつける。
とにかく、一人に一本ずつ竹箒を渡して、
「今日も3階の掃除を皆でお願いしま~す」
先週も掃除したのだが、誰が出したとは言い切れないゴミが、又、足元に
散らかっている。
水バケツを持ってきて、手で水をまいて埃が舞わないようにしている職人さんもいた。
何だかんだ言っても、皆でやって作業周辺がキレイになれば、誰だって仕事を
しやすくなり、片付いた場所で仕事をするのが当然だとの気持ちになれば、
イイ仕事が出来る筈である。
20分はあっという間に終わるが、清掃の成果は当てにしていない。
《皆で掃除》の方針をチームワークとして育てたいのである。
掃除終了の頃には缶ジュースを配って廻り、
「来週もお願いしますね」
と一斉清掃の参加品と思えば安いけれど、気持ちの問題だ。
無理矢理やらされたと言う人よりは、やって良かったと言ってくれた人が
多かったのは何よりの支えになったし、昔も今も私の現場の掃除スタイルは
変わっていない。
そんな風評が他の現場にも伝わったのか、一斉清掃の輪は
じんわりと拡がり始めた。
一斉清掃 後半へつづく
(PS)
(トラブルもあり、掃除をサボった奴への対処とか……を)
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