七月 十四日(金) 晴れ
昨日が打設予定日だったけれど一部変更が発生して、順延した3階のコンクリート打ちだ。
今回もコンクリート打設中にハプニングが発生してしまった。
10時頃、突然ポンプ車の故障に見舞われたのだ。
車体の中のフレキシブル圧送ホースが裂けてしまって、まさにパンクした恰好になった。
生コンの出荷はストップ出来るけれど、運搬中の車と現場で待機中の一台には困ったものだ。
工場出荷より1時間以内に生コンを打ち込んでしまう原則から外れそうだった。
協力しあえる所は土工も左官も手伝ってポンプ車の応急修理だ。
「昨日の雨で車両の点検はしていたのに………」
今更ボヤいても始まらない。
生コン打設にポンプ車は通常1台であり、予備用のポンプ車を車庫から急遽配送しても1時間
以内に到着は無理な話でもあった。
とにかく現場でこの状況打破するしかないのだ。
手の空いた人は見当たらない。私位のものだった。
皆何かと次の段取りをしている。
バイブレーターの配線ルートを変えたり、型枠を洗ったり、ジュースを配ったり、鉄筋が乱れ
た所を直したり、鉄筋上では通路用の足代板を移動したり・・・何かと仕事をしている。
約45分の中断になってしまったけれど、ポンプ車は再稼働が始まった。
何とか生コンを捨てなくて済んだけれど、ポンプ会社にはキツク叱った。
「スミマセン所長―――お詫(わび)に伺います、今から・・・」
「それより、次回はパワーのある大型ポンプ車を入れてヨ。今日のような小型のポンプ車じゃ
あダメだよ(打設能力限界だ)、約束だよ、いいね牧野さん」
と人が弱みを見せている間に、ダメ押しの一手だ。
これも私の得意の手だ。
今日の打設コンクリート予定数量は110㎥の予定だ。
1~2階の打設実施データからペースをつかむと5時間で打ち終わる。
途中ロスはあったものの、14時にはポンプ圧送は終わっていた。
タイムロスで昔の事を思い出した。
―――昔の事――――――
S倉庫の現場の時、ポンプ車3台で計1100㎥の1階躯体コンクリート打設
だった。
真冬だったけれど、朝の6時から打設開始予定を組んで、生コン工場も
何とか出荷を了承してくれた。
真っ暗で寒い朝の5時に全職員の集合だ。
火炊き場所(残材焼却場)では暖の取れる様に手配したり、照明点灯に
走り廻ったり、土工約20人と打ち合わせをして、グループ毎に打設場所の
確認をした。
リーダーは無線を持って上と下との調整(階高7.5m)も行い準備OKだ
が、生コン車は来たものの肝心のポンプ車がいない。
3台の予定が2台しか今いない。
1台当たり1時間に最高35㎥打設の計算でも10時間はたっぷりかかってしまう
というのに何て事だ。
「3台目はどこだ?」
早朝の5時半に電話をしても呼出し音がリーンリーンと鳴るだけだった。
(どうなってんだ馬鹿野郎!)
早朝出勤している土工も騒ぎ始めたし生コン車は3台のポンプ車用に台数を確保
している(組合からの応援車両もある)ので次から次へと来た。
そもそもラッシュを避けての早朝運行計画だから生コン工場も8時迄には3往復
させると計画していたのがプッツンだ。
早朝にポンプ車は出たのだけれど、途中乗用車のスリップ事故があり、渋滞
に巻き込まれ、動くに動けず7時になってやっと現場に来て、打設開始が7時
半だ。
この1時間半の間に生コン車が道路際に並んだのは言うまでもない。
生コン車運転手も我々も、ポンプ車を待つだけだった。
「話が違う、生コン車を他へ廻すから帰してくれ、今日はもう出せない」
と、かなり生コン工場とモメもしたし、叱られた。(当然だけれどネ)
でも、つぎの2階で1000㎥の打設時は生コン車の姿が見えないと、かなりの
『しっぺ返し』を言ってやった。
「土工の出面(でずら)=日当)待機時間分、請求するぞ!」
へへへ。俺も若かったもんだ。
―――――― ――――――
コンクリート打設には昔から
『現場のドラマ』
が集約されている様に思われてならない。
Kビルは6階建てで今日が3階だからやっと半分終わった事になった。
コンクリート打設完了まで、Kビルもまだまだドラマは続くね。
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