いつまでもぼちぼち

食べ物とか読書録です
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「ORKの口伝」はフィクションです
実在する全てと無関係です

ORKの口伝133

2010-10-30 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝133」

カンシュウミカン

非常に厳しい寒さの中にこそ生育する、
柑橘類の一種である。
他の柑橘類とは樹形からして違っており、
手入れをしなければ円錐形に生長していくため、
柑橘類として分類していいのかどうか議論が活発に行われている、
植物学会注目の植物である。
この名前は和名であり、
商用に輸出するために名づけられた物である。
原産地では「リョート・リモーン」と呼ばれているのである。

この種の特徴は先に述べた樹形・樹冠の形のほかに、
寒冷地に適応した葉の形にあるのである。
その葉は寒さと積雪による枝折れを緩和するために、
針葉樹のように細く鋭くなっており、
この点でも分類学的に見て紛糾の種である。
また樹高に比べて根の入り込む深さが大変深く、
地上部が寒さの限界で枯死してしまったとしても、
地下の根から再び芽を出すのである。
この時新しい芽は、
枯死した幹の中を通り地上の幹を割って生えてくるのである。

他にも寒さに強い理由があり、
それは樹皮のコルク質層の厚みと樹液の濃度にあるのである。
幹の直径が10cmとすると、
大体コルク質層は1.5倍の15cmほどにもなり、
外気の進入を寄せ付けない。
そして氷点-16度の樹液によって厳しい寒さをしのぎ、
現在まで生き残ってきたのである。

昨今、
地球温暖化が世界で叫ばれているが、
多くの温暖化に悩む地域と正反対に、
寒冷化が進行している地域があることは、
あまり知られていない事実である。
海流と気流の吹き溜まりのようなごく限られた局地で、
この様な現象が起きているようである。
この様な非常に稀な地域でこの植物が発見されていると言う、
調査報告が研究機関に寄せられているのである。

さて、
この様な厳しい気候に特化した植物だが、
人間が利用している歴史は非常に古いようである。
原産地では古くから、
この植物の果汁を体表にワックスのように塗りつけて、
厳しい冬場を乗り越えてきたそうである。
科学的にこの果汁の成分を分析した結果、
この果汁にのみ含まれる保温・保湿成分が新たに発見された。
成分にはホカポカミンという名がつけられ、
天然の保湿・保温成分として自然派の方たちには人気があり、
これを含むボディワックスが重宝されているようである。
ハンドクリームのように使用しても、
冷え性やしもやけに対する予防策として、
非常に使い勝手のいい成分である。
この成分を含むクリームを塗ると、
体表の水分と反応して発熱し、
4から6度ほど表面温度を上昇させる。
このため、
常温の中で使用すると反対に、
熱中症の危険性が伴うので注意が必要である。

果実と言えば食べる物と思っている私なので、
もちろん食べてみようと思って味を調べてみたが、
食用とされた歴史がほとんど無いそうである。
数少ない証言を聞いてみて、
自分でも少しかじってみたところ、
味はひどい物であった。
苦辛いとでも表現すればいいのであろうか、
強い苦味を感じた後に舌をさすようなピリピリした刺激があり、
すぐに吐き出してしまった。
この様に食用にはまったく向かないが、
現地では黒焼きにして、
苦味による気付け薬としての民間療法があるそうである。
私は目が覚めるどころか、
その日は後口のために眠れなかったのである。

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オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝132

2010-10-17 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝132」

バンディット・ビーンズ

マメ目マメ科のツル性植物の一種である。
原種が発見されたのは30年位前といわれており、
南米大陸の最奥地で旅行者によって発見されたそうである。
しかしこの発見に関しては、
最初の発見者の名を学名に入れようとする関係で、
現在係争中である。
発見者として名乗りを上げている人たちは様々で、
上記の旅行者の他、
植物学者や一儲けをたくらむやから達がわんさか名乗りをあげて、
まだまだ事態に収拾がつく様子は無いそうである。

そんな人間の争いとはまったく無関係に、
このマメはいつの間にか世界の比較的温暖な地域に、
生息域を広げているようである。
うかつにもこの豆を持ち帰った人たちが、
ためしに自分の畑に植えたのがきっかけと思われる。
この様な自体が世界で同時多発的に起こっており、
どこが最初の原因かはわからなくなってしまっているのである。

一応食用となるこの豆であるが、
その蔓の性質によって近隣の物には手当たりしだい巻き付き、
巻きつくものは自然物人工物をまったく問わない。
この豆の厄介な所は、
その蔓の量の多さにあるのである。
普通植物は一番頂点の芽が生長力が最も強く、
どんどん伸びていく物だが、
この豆は頂芽と同等の生長力をもつ芽が10本同時に発生し、
いっせいに伸びていくのである。
こうして生長した蔓は巻きついたものを覆い隠し、
耐久力のない物はその重みで押しつぶしてしまうのである。
巻きついたものが植物なら重みに耐えたとしても、
日光をさえぎり根元の養分を横取りし、
脇芽から吸収根をだして巻き付いた植物体から直接、
水分を奪うようになるのである。
名前の由来はこのあたりから来ているようである。

この様に繁殖力・成長力共に旺盛な植物だが、
一定の大きさになると、
自らの蔓の重みと圧力・影のせいで自滅してしまうのである。
巻き付く相手がおおよそ5m位の高さの植物なら、
相手を枯らしてしまっても、
蔓同士が巻き付き合って木のようになってしばらくは生きるが、
生長せずにはいられないので、
いずれは自滅するのである。

一応食用になると言ったが、
食用栽培に向かないわけはその実の小ささと、
収穫量の少なさが顕著であるためである。
収穫作業の効率から2m程度までしか草丈を伸ばす事は出来ず、
そこまで大きくして収量の確保を試みても、
10本の蔓から取れる豆の量は、
1kg程度である。
今後栽培法が改良・確立されれば収量が増える可能性はあるが、
その前に侵略的特定外来生物に指定される可能性のほうが、
非常に高いと思われる。

さて、
そうなって手に入らなくなる前に、
食べておこうと思い探してみたが、
一般にはまったく流通していない様子であった。
先に述べた情報は、
20年位前の南米の農業技術研究所の試験発表からのもので、
現在はどこにも売っていないようである。
そこで仕方がないので、
現地に直接食べに行ったのである。

食味としては食感はどこにでもある豆類のそれであったが、
特有の青臭みがあり、
それが加熱しても抜けない所が特徴である。
あくまでたとえであるが、
生のグリーンピースの味が茹でても残るような感じであった。
好き嫌いをいうのは好きではないが、
いまいちであった。
とほほである。

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ORKの口伝131「ミチゴメ」

2010-10-09 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝131」

ミチゴメ

インディカ種の古代米の一種である。
比較的乾燥に強く、
陸稲的な性質をもっているため、
インド周辺の乾燥地帯で古くから栽培されてきたのである。

この種の特徴は、
日本の古代米「黒米」「赤米」同様に、
色のついた種子を実らせる事にあるのである。
種子の色は赤色から青色の間で変化するのであるが、
酸性で赤色の種子が、
アルカリ性で青色の種子が実るのである。
しかし、
もともと酸性土壌を大変好む植物であるから、
収穫される物はほとんど赤色になってしまい、
青色の種子は非常に希少価値が高くなるのである。
土壌改良材などを施して必死に土作りをしたとしても、
アルカリ土壌ではほとんど育たないのである。
アルカリ土壌での安定した栽培技術の確立が、
この種の主な研究テーマとされている。

もうひとつの特徴として、
乾燥調整して籾殻を取り除いた玄米状のものは、
蓄光性を持ち夜間は蛍光色の光を放つのである。
光の色のベースはうす黄緑蛍光色であるが、
そこにもとの米の色が混ざりえもいわれぬ不思議な色合いとなる。
この様な特徴的な米が古代から栽培されてきたのは、
夜間外出時の帰り道を示す道標として利用されてきた、
という学説が今現在は主流となっているのである。
しかし、
この学説を裏付けるための実証試験が行われているが、
2cmの幅に0.5cmの厚みで道しるべとしておき続けても、
大体3時間以内に野生生物に食べつくされてしまい、
まったく道しるべとしては役に立たないそうである。
このため動物をよける物質をミチゴメに加えて、
道に撒いていたと推測されている。
古代に存在した野生動物が忌避する物質の特定が、
この学説が定説となるための壁のようである。

さて、
穀物として人間にとっての関心ごとは、
なんといっても収量と食味だと思われるのだが、
この種はそのどちらもいまいちである。
そのため栽培されてきた地域での人気もいまひとつで、
植物学者の研究対象として依頼されない限り、
農家もあまり作りたがらない代物であった。
この様に農家が進んで作りたがらなかったこの種は、
種自体が希少になっていたのであるが、
先に述べたとおり蓄光性を持っている事が幸いしたのである。
蓄光塗料の原料としての生き残りが模索されており、
徐々に栽培面積が回復しているようである。

いまいちと言われている食味のほうだが、
私も一応食べてみたのである。
まずは普通に炊いて食べてみたのであるが、
インディカ種の古代米だけあって、
粘りが少なくパラリとした炊き上がりとなった。
セオリーどおりにチャーハンに仕上げてみたが、
非常に美味しい仕上がりであった。
次はカレーと合わせて食べてみたが、
こちらもまったく不味であると言う事は無く、
美味しくいただく事が出来たのである。
現地とさほど変わらない調理法で食べたのに、
食味の評価にこの様に差が出るのは不思議な事である。

私が推測するに、
水との相性の問題なのではないかと思われる。
現地の水で炊飯するとその水の成分が原因となり、
不味に炊き上がってしまうのではないであろうか?
今回調理したのは私の自宅であるが、
たまたま相性が良かったと思われる。
後日現地に向かい、
水質調査をした上で同じ調理法をつかい、
食味審査をする必要がある。
水の相性が原因であるならば、
その後相性の良い水質を特定しさえすれば、
よい商業作物となるのではないかと思われるのである。

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ORKの口伝130

2010-10-04 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝130」

ミミカブ

砂地に好んで繁殖する海草の一種である。
海底から上に出ている部分は10cm程度までにしかならず、
大量に繁殖している海底は、
さながら緑の絨毯が敷き詰められたように見えるのである。

この海草の特徴は、
草体全体から分泌される大量の粘り成分ムチンにある。
ムチンはオクラや納豆やウナギ等にも見られる、
一般的な粘性物質だが、
このミミカブから分泌される物は周辺の物質を吸着する力が、
他のものよりも大変強いのである。
この強い吸着力と保水力を武器として、
水中の養分をまとめて肥料として利用しているため、
繁殖力がその他の海草とは比べ物にはならないのである。

また、
この強い吸着力のため、
水中の汚染物質をまとめて沈殿させる目的も、
近年注目を浴びている利用法のひとつである。
汚染物質が沈殿した後、
水中のバクテリアの餌となり分解されるため、
周辺の水質が劇的に改善されるという研究結果が出ている。
この効果が特に顕著に現れるのは、
河口から流れ込む水質を改善する事による、
赤潮の予防策としての活用である。
人間の生活排水による、
海水の富栄養化によって起こる赤潮にたいしては、
非常に効果的な予防策として利用が進められているのである。

この海草の名前の由来は、
食用にした時のその食感にあるのである。
まるで異性の耳たぶを甘噛みしているような、
柔らかでありながら芯が硬いような、
微妙で官能的な歯ざわりをしているのである。
しかし味らしい特徴的な味はなく、
今述べたとおりの食感のみを楽しむ海草である。
生の物を食べるとほんのりと塩味がして、
海の香りを堪能する事が出来る。
乾物としても売られており、
海に近い所でなくとも容易に手に入れる事は出来るのである。
噛むと最初は気持ちのいい食感を楽しんだ後、
すぐにムチンのぬるぬるがやってきて、
口の中全体がヌルヌルにつつまれるのである。

食用にされる物はほぼ全て養殖ものである、
先に述べたように海中の汚染物質を吸着しているので、
天然物は取り除きようの無い臭みを伴うのである。
海辺で浄水装置でろ過された海水を使い、
洗浄された砂を敷いたプールでの養殖が盛んに行われており、
市場に出回るのはこちらである。
ろ過された海水に、
成長に必要とされる養分を溶かし込んでおけば、
後は気をつけるのは水温のみである。
水温変化にも比較的強く、
5℃位まで下がらなければ枯れてしまう事はなく、
大変養殖しやすい海草である。

肝心の食べ方としては、
好みの調味料を加えて味を調えて食べるだけである。
ポピュラーな調味料としては、
三杯酢やバルサミコなど、
酸味の利いたあわせ調味料との相性がいいようである。
ミミカブ自体の味が淡白なために、
どの様な料理の具にしたとしても味を損なう事はないが、
食感がぬるぬるしてしまうため、
用途は限られてくる。
単体で食べるのではないのであれば、
スープの具材にするのが一般的である。
また、
時間をかけて煮込んでペースト状にすれば、
パンにジャムのように塗って食べる事もできるのである。

ちなみに私はわさび醤油で食べてみたのだが、
コリコリとした歯ざわりとヌルリとした舌ざわりが気持ちよく、
思わずご飯がすすんでしまったのである。

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ORKの口伝129

2010-08-18 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝129」

マッディ アシッド

一部の種のアヒルの糞からとる事が出来る、
酸性物質の名称である。
名前の由来はその性質から付けられた物であり、
どれほどろ過しても精製しても、
決して取れる事のない濁りから名づけられた物である。
漢字に直せば「濁酸」と表記される、
もとの名のように泥のように濁った液状物質である。
この物質は大変臭気が強く、
保存されている容器の蓋を開けるときは、
必ず換気扇の近くで開けないと危険である。
うっかり換気扇を回さずににおいをかいでしまうと、
失神する可能性が非常に高いのである。
もちろん、
換気扇からの排気にはきちんと浄化フィルターを通すのが、
肝心である。

この物質を含んだフンをするアヒルの品種は、
「クニマィウー」「ヤィサラキィ」の二品種である。
これらのアヒルはどちらも肉食嗜好が大変強く、
植物性のえさはあまり食べないのが、
ほかのアヒルとの顕著な違いである。
もともと食肉用として選抜された品種に、
肉の成長効率を上げるために肉食嗜好に調教したものである。
そしてこれをさらに何世代も繰り返し、
品種の特性として固定する事に成功したのである。
そしてこの二品種が出すフンの中にはいつの間にか、
新しい酸性物質が含まれるようになってしまったのである。

この様にマッディアシッドは、
完全に人間の手で作り出された物質である。
精製して抽出していない、
フンに含まれている状態であっても、
その臭いはその他の鳥類の出すフンの中でも格別である。

これらのアヒルの飼育業者は、
飼育場に入る時にはマスクをせずに入る事が出来ない位である。
これほどまでに臭い思いをしてまで、
なぜこのアヒルを飼うのだろうかと、
ギモンに思う方も多いと思われる。
そこはやはり、
メリットのほうが大きいからとしか言いようが無い。
この二品種は短期間で成長し、
食肉に加工できる筋肉の部分が非常に多いのである。
さらに、
フンの臭さを知っている者からすると信じられないが、
肉自体の味は非常に上品で淡白なのである。
淡白であるがゆえに、
肉自体のうまみを味わうタイプの調理法よりも、
味のしっかりしたソースで食すのがおいしい食べ方のようである。
臭いもしないため、
ゆでて和え物にしたりするのもいい食べ方のようである。

問題はフンである。
そのあまりの臭いのきつさに、
焼却以外の処分の方法がないのである。
鶏のフンならば、
鶏糞堆肥として当たり前のように利用されているが、
このフンは完熟させてもまだ強い臭気が残るのである。
試験的に利用してもらった農家からは、
「離れた畑からでも臭いがついて帰ってくる」
「袋詰めのものを開けると目にしみる」
「この堆肥をまいた日は食事が出来なかった」
などの苦情がよせられた。
このため有効だと思われていた農業利用の道は、
断念せざるを得なかったのである。
今現在の利用法は、
焼却熱による公共設備の暖房や給湯などであるが、
焼却場に運ぶルート上の住民への補償が何よりの問題であった。
今はルート上の住民に、
これらのアヒルの加工肉を定期的に配給する事で、
納得してもらっているようである。

ちなみに私もこのアヒルを飼ってみたことがある、
もちろん食肉用として。
しかし、
食用に適するまで育てる事が出来なかったのである。
あまりにも近所から苦情が出たためで、
泣く泣く飼育業者に引き取ってもらったのである。
もちろん、
しっかりと育ったやつを解体してもらい、
食べる事はできたのであるが。
味はうわさどおり上品にして淡白、
まったく無駄の無い肉の味であった。
その時はたまたま、
ラズベリーのソースがあったのでそれで食したが、
たぶんどの様なソースでも、
おいしく食べる事が出来るのではないだろうか。

しかし食べながら思ったが、
この肉が本当にあのフンを出していたアヒルの物とは、
とても信じらない。
おいしいものを食べようと思うと、
やはり何か代償が必要なのかもしれないと思ったのである。

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ORKの口伝128

2010-06-06 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝128」

コメヌカザメ

水深1000m前後に生息する深海ざめの一種である。
体長13m体重1100kgという個体が、
現在までに確認された最大のものであるが、
これ以上の大きさの固体がいるであろうと推測されている。
なぜならば、
採取された生体のデータからこの個体がまだ若い固体であり、
生まれて二三年程度の物とされたからである。

名前の由来は、
このサメからとる事の出来る脂肪分の特徴から、
名づけられたようである。
このサメの脂肪分は、
水分との親和性が大変高いのである。
そしてこの脂肪分を乾燥させた粉末状の物が、
米ぬかに酷似しているためこの様に名づけられたのである。
このサメの脂肪分を乾燥させた粉末に、
少量の水分を加えて混ぜると乳液状になり、
これを肌に塗る事によって、
保湿剤として古くから利用されているのである。
また肌を白く見せる事ができるため、
化粧の意味でも使われていたようである。

かつて、
深い海から魚を取ることができなかった時代には、
たまたま浜辺に打ち上げられたこのサメからしか、
脂肪分を採取する事が出来なかったため、
大変に貴重な品物であったようである。
この事は平安時代の文献にもかかれており、
現代語に訳された
「動物・植物化粧品原料大事典」にも記されているのである。
この様に貴重なものであったため、
もっぱら上級貴族にしか手に入らなかったようである。

現在、
深海からこのサメを取ってこようと思えば、
古代よりもずっと簡単に取ることが出来るであろうが、
それでもコストパフォーマンスを考えると、
非常に高価な品になる。
今では植物性油脂から、
類似の物質が精製できるようになっており、
保湿性も本物に劣る事は無い。
乳脂肪分からも精製できるようであるが、
独特の乳の香りが好みの分かれる所である。
この様に人工的に作る事が出来るようになっても、
本物にこだわりたい人はいる様であり、
最高級化粧品には本物のコメヌカザメの脂肪粉末が、
使われているようである。

ちなみに、
私もかつて結婚20周年の記念に妻にねだられて、
コメヌカザメの本物の脂肪粉末入り化粧品を買わされたが、
とんでもない値段であった。
200ml入りの乳液を買ったのであるが、
オプションなしの軽自動車が新車で買えるほどであったのである。
どんなに技術などが進歩したとしても、
深海から特定の魚を捕獲するのはやはり難しいのであろうか。
その後しばらくわたしは、
晩酌を楽しむ事が出来なかったのはいうまでもないことである。

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ORKの口伝127

2010-03-18 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝127」

ミラクルウォルナッツ

クルミの大型の一品種である。
大きさはオニグルミの1.2倍くらいであるが、
その中身の充実度はその他の栽培品種の追随を許さない。

まず、
クルミが持っている分厚いからの形状であるが、
クルミの果実特徴のしわがまったく無く、
非常に滑らかな球形をしているのである。
そして肝心の殻の中身であるが、
こちらもクルミ特有の込み入った形をしておらず、
いや、
していたのであろう痕跡である縞模様を持った、
こちらも非常に滑らかな球形をしているのである。
さながらまるで、
2ピースのゴルフボールの様である。

この充実した中身に比例して栄養価も高く、
特に油分は果実の中でもトップクラスの含有量である。
そしてその油分の豊富さから、
食用油の原料として重宝されているのである。
食用として利用されるこの果実の油であるが、
植物性油脂にしては揮発性が比較的高く、
燃料としても利用価値が高い。
古代夜の街道を歩くときに明かりがなくなったときは、
非常用として持ち歩いていたこのクルミを棒に固定し、
直接火をともして足元を照らしたそうである。

さて植物油原料としては利用価値の高いこのクルミだが、
食用としてはいまひとつのようである。
何よりもその油分の多さから、
食したときの口当たりが悪く、
さらに体格の良い大人でも3個も食べれば腹を壊す始末である。
また油分の多さと揮発性の高さのせいで、
調理中に果実自体が炎に包まれる事がままあるため、
食材としては大変危険な代物である。
ただこの調理中に燃え上がる事を面白がる集団がおり、
フライパンに10個のこの果実を入れ、
どれだけの高さまで炎が上がるかを競う大会があるそうである。
また、
腹を壊すという厄介な性質を逆に利用して、
便秘の最終手段として愛用されている。

ちなみに私もこの果実を食してみた。
決して燃え上がらないように、
低温でじっくりとローストして塩を一振りしてみた。
一個目は香ばしいナッツの香りと、
しっかりした油のうまみでこれは美味だとおもったが、
二個目になるともうすでに口の中は油ダマリと化しており、
歯も舌もヌルリヌルリとぬめって非常に不快。
三個目はもう口が拒否反応をしめしてしまい、
便秘治療の段階まではいたる事が出来なかったのである。
よほど脂っこいものが好きな方で無い限り、
市販の便秘治療薬を服用する事をお勧めするのである。

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ORKの口伝126

2010-03-13 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝126」

ルーチェ・セーメ

受粉専用として開発された、
オレンジの一品種である。
およそオレンジであるならば、
どのような品種とでも交配させる事が出来、
新品種の開発育種のためにはもはや必需品である。

まず第一にこの品種の特徴としては、
この品種を使い交配させ開発された品種は、
元の品種の特性をさらに強く引き出すのである。
果実が大振りであったものはさらに大振りに、
果肉の柔らかさが際立っていたものはさらに柔らかく食べやすく、
という風に変化するのである。

第二の特徴は、
突然変異の起こる確率が非常に高いことである。
元々が酸味が強く生食にはあまり向かなかった品種が、
交配させる事によって格段に糖度が向上し、
すっかり違う品種になったりする事があるのである。
ただこの性質のせいで、
元の品種がもっていたよい所を全て悪いほうに変える事もある。
しかしこの様な悲惨な結果に終わった交配は、
現在一件しか確認されていない。
その残念な結果となった品種は、
「マル・デ・ダメダーニャ」と名づけられ販売されている。
しかし食品としてはまるで駄目な品種だが、
非常に病気に強い品種になったために、
観賞用の庭木としてそこそこ人気があるそうである。

その他の子孫たちについても紹介する。
まずその果実のオレンジの鮮やかさではその他の追随を許さない、
「セーラ・ネッビャ」
この品種は実をつける数も多く、
観賞用として非常に見栄えがよい。
しかし味は全体的に水っぽい。

次は糖度が高く中身の小袋が柔らかく生食に適した、
「フリギデュム・フォンス」
味が良く食べやすいため人気の高い品種である。
ただ外皮も中身も全体的に色が淡いため、
オレンジらしくないというのが難点か?

次は非常に果実が大きく多収な品種である、
「ヘルプスト・リーベ」
陶土は平均的であるがその実の大きさゆえに、
果汁が多く取れるのでジュースの原料用品種として重宝される。
また外皮も多く取れるので、
こちらもマーマレードの原料として量が確保しやすいため、
人気があるのである。
難点としてあげられる事は、
その実の大きさと量の多さゆえに木が風で折れやすいことである。

最後に非常に小ぶりな果実がかわいらしい、
「夕玉かずら」
この品種は非常に特徴的で、
外皮ごと食べる事が出来る珍しいものである。
オレンジだが温州みかんより小ぶりで、
金柑を一回り大きくしたくらいでまん丸な果実である。

この様にさまざまな特徴を持った品種が作られているが、
園芸に興味がある方たちは自分で育種に挑戦しては面白いのでは?
国によって変わると思われるが、
法的に問題がないのであるならば、
色々な品種と交配させ自分だけの品種を作ると、
世界に一本だけの自分の為だけのオレンジの出来上がりである。
ちなみに私は庭先に「夕玉かずら」を植えているが、
散歩から帰ってきたときなどの季節のおやつとして、
非常に美味しくいただいているのである。

ーーーーー
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ORKの口伝125

2010-03-07 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝125」

ミタマクイ

体長4cm前後の小型のサソリの一種、
森林性で湿度の高い場所を好む。
体色は暗緑色をしており、
じっとしていると苔むした小石の様である。

このサソリの特徴はその獲物の食べ方にあるのである。
毒をもったサソリであるが、
その毒性自体は大変弱く獲物の局部を麻痺させる程度である。
だがしかし、
非常に集団性が高く群れをなして獲物に襲い掛かるため、
標的にされた獲物が生き残ることはまず無いのである。
そしてこのサソリが恐ろしいのはここからである、
標的にした獲物を麻痺させるのであるが、
決して頭部等の生命活動の要である器官には毒を注入しない、
生かして生命活動が活発なまま食料とするのである。
このとき獲物は麻痺していない頭部を必死に動かすので、
まるで魂を齧られている様に見える所から、
この名がつけられたそうである。

獲物を捕らえるときは群れで円を描くように陣取り、
待ち伏せするのであるが、
このとき必ず頭を内側に向けて整列する。
この円の内側に入った標的めがけ、
まず円の内側に入るときに踏みつけられた一匹が反射的に攻撃、
それに驚いてあわてた獲物に向かって次々と、
その他の個体が攻撃を加えるのである。

この様に聞けば恐ろしい生物のように思われるが、
それは同程度の体の大きさの生物に限っての話である。
このサソリが標的とする生物は、
せいぜい自らの体長の二倍程度の大きさである。
それ以上の大きさの生物にこのサソリの毒が注入されても、
それほど深刻な症状は引き起こされることは無い。
大型のねずみくらいになれば、
皮膚がかぶれる程度で済んでしまうのである。
もちろん人間の子供でもさして変わりないのである。
それに動きが俊敏ではないため、
ちくりとやられてもすかさず逃げれば、
群れの攻撃全てを食らうことはまずないのである。

これらのことから、
人間にとっては一度に多量に手に入る蛋白源として、
生息地では重宝されているのである。
子供でも簡単に取ることが出来るので、
夕食のおかずにこのサソリを指定されたとき、
調達してくるのは子供たちの役目である。
食べ方としては素揚げがもっともポピュラーで、
尚且つ一番おいしい食べ方の用である。
油で揚げてしまえば、
甲殻もからりと香ばしく仕上がり丸ごと食べることが出来る。
反対にやってはいけない調理法は、
茹でることである。
茹でると甲殻がぐにゃぐにゃになり噛み切ることが出来ず、
中身だけを搾り取って食べることになるのだが、
もともとあまり大きさが無いため、
食べるところがあまりにも少なくなってしまうのである。
ちなみに揚げると色合いが変わり、
暗緑色だったものが鮮やかな黄緑色になる。
まるで合成着色料を使って色付けした駄菓子の様になる為、
子供たちにはおやつとしても人気が高いのである。

私も揚げたてを食べたのだけれども、
そのときの味付けは塩だった。
シンプルな味付けが香ばしさを引き立て、
大変美味であった。
もう少し違う味付けを楽しみたいのならば、
揚げたものにソースをかけるより、
下ごしらえの段階で、
しっかりと味付けするのがよいのではないだろうか?。
湿らせてしまうと甲殻が、
グニャグニャとなってしまうと思われるのである。
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ORKの口伝124

2010-01-17 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝124」

ダマスカスオイスター

日本では言わずと知れた冬の味覚、
世界で広く好まれている貝類カキの一種である。
この種の何よりの特徴は、
海水中の鉄分をその他のカキ類よりも、
より多く吸収し殻にしてしまうことである。

名前の由来は、
その殻の切れ味の鋭さから来た物である。
共生細菌の作用により、
吸収された海水中の鉄分は硫化鉄の形態に科学的に変化し、
殻として固定されるのである。
その時殻の縁は激しい海流で研ぎ澄まされ、
非常に鋭い切れ味を帯びる。
またその殻の縁が年輪のように何重にも重なり、
不規則に波打った美しい模様を形成する。
この模様と切れ味が、
古来より有名な刃物の産地及びその製造技法になぞらえて、
この名が付けられたのである。

先ほども述べたように、
このカキは非常に激しい潮の流れを好む為、
現在も養殖技術は確立されておらず、
一般の人が手に入れることはまず無い。
しかし、
手に入らなくても全く困ることは無いのである。
なぜならばこのカキは、
非常に不味いのである。
なんといってもこのカキの特徴である鉄分吸着能力の、
一番の要である共生細菌による作用のせいで、
硫黄臭いのである。
よく卵の腐った匂いに例えられるあの臭いが、
食べた瞬間口の中から鼻腔内に充満し、
非常に苦痛である。
この臭いは生食の時だけではなく、
火を通した時も変わらない為、
どのような調理法もまったくの徒労に終わる。
食用としてはまるで価値のないカキである。

ただし、
その他の分野からの注目度は非常に高い。
海水から鉄を生産できる可能性があるのである。
現在確認されているこの細菌が共生する生物は、
このダマスカスオイスターと、
スケーリーフットと呼ばれる巻貝の一種だけである。
しかしこの先この細菌が共生でき、
尚且つ人間が簡単に養殖できる生物が発見されれば、
鉄資源についてはこの先枯渇の心配がなくなると推測される。
またこのような人間に都合のいい生物が発見されない時の為に、
同時並行的にダマスカスオイスターの養殖も試みられている。

このカキの養殖において一番の困難は、
その生息に適した激しい海流を常時発生させることである。
人工的に発生させるには、
非常に大きなエネルギーが必要なのは言うまでも無く、
コスト面とエコロジーの面で問題が多い。
かといって自然の激しい海流を利用して、
このカキの養殖を行うのもまた至難の業である。
このように問題は山のように多いが、
今後の資源生産に希望を持てる研究と思われるのである。

ちなみにこのカキを食べてみたが、
否!
これは人間の食料にあらずである。
たとえるならば、
口の中に広がる硫黄温泉の数百倍の硫黄臭が強烈過ぎるので、
全く誰にもお勧めできないのである。
とほほである。
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ORKの口伝123

2009-12-14 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝123」

タイタンダンゴムシの巨大化に関する報告

かつて紹介した巨大生物
タイタンダンゴムシが巨大化する原因について
ある一定の研究成果が出たそうなので
ここに報告する物である

タイタンダンゴムシ専門に研究している生物学者
ディカイ・イ・ムシスキーによる調査研究の結果
巨大化する原因として
種の遺伝的な特性ではなく、
腸内細菌および甲羅の表面に住む光合成細菌の作用が、
顕著であることが特定されたのである。
この腸内細菌は新発見である為、
ひとまず通称として
タイタニアフィルスa・bと名付けられている。

腸内に住むタイタニアフィルスaは、
食料として食べた落ち葉などの植物性腐食物を、
非常に高い効率で分解吸収を促す物質を作っているのである。
その物質も正式名がない為、
今のところタイタニウムと呼ばれている。
このタイタニウムの作用の為、
その他の植物性腐植物を食料とする生物とは、
一線を画す大きさとなるのである。

この巨大化にさらに追い討ちをかけるのが、
タイタニアフィルスbである。
この光合成細菌はタイタンダンゴムシの甲殻表面におり、
クロロフィルを介さない形態の光合成を行うのである。
この光合成で生成された糖が、
甲殻の上を細菌のコロニーがリレー中継し、
タイタンダンゴムシの甲殻の下の体表から吸収され、
活動エネルギーとして利用される。
このため、
食事で獲たエネルギーを全て体の成長に回すことが出来、
巨大化するのである。

ここで注目すべきは、
タイタニアフィルスbの方である。
この細菌のコロニーを移植した服を、
もし人間が利用出来るようになれば、
この先まだまだ増えるであろう人類の食糧事情を、
一気に解決することが出来るのではないだろうか。
ただし皮膚に細菌を中継させておく為には、
常にコロニーを移植した服しか着ることが出来ない上に、
洗えない。
そのうえ、
この細菌は他生物に養分を吸収してもらわなければ、
自分の合成した糖に雑菌が繁殖し死滅してしまう。
そのため人間の生命活動に利用する為には、
まだまだ研究の余地があるようである。
それならばaの方は利用できないのかと言うと、
こちらの方は人間の食性からいって利用は不可能である。
植物性腐植物のみ分解吸収を促す為、
それを食べることの無い人間は利用しようがないのである。

だがしかし、
食事をしなくても養分を得る事が出来る可能性があるなら、
生命維持の為の負担が非常に軽減される。
将来食糧不足のため紛争が起こる可能性も減るだろう。
今後の研究の進捗に期待する次第である。

しかし私個人としては、
普通に食事を楽しめて尚且つ争いが無いことが、
嬉しいのである。
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ORKの口伝122

2009-11-22 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝122」

ニガップル

非常に苦味の強い特殊なリンゴの一種
木本製植物の生存限界の局地
標高の高い山や針葉樹林に混じって生えるのである

その植生はこれまた特殊で
雪が降るような低温状況でのみ開花・結実し
繁殖するのである
このような果実が凍結するような気温であっても
種子が発芽能力を維持できるのは
その果実に含まれている苦味成分
マールスンニンの作用によるものである
果実が熟する段階においてこの物質が増殖し
果実内の水分の代わりに充実し
凍結時に細胞の破壊を免れ
気候の変化をひたすらじっとまつのである

この寒さに耐え凌ぐ落果した果実のようすから
生育地では古代から忍耐の象徴として親しまれており
その地の子供が成人になる時に
人生の苦難に耐え抜くことが出来る事を祈り
記念に贈られるのである
またこのリンゴはマールスンニンの作用で腐敗もしにくく
およそ5ヶ月はそのまま机の上に飾って置けるので
根気のお守りとしても喜ばれるのである

しかし昨今
地球温暖化の進行により生殖地域が減っているのである
生育域の限界が北上しているのだが
極点に近くなればなるほど
地面の露出が少ない為必然的に繁殖できる面積が狭くなり
この植物も次第に減少しているのである
そのため
施設での栽培が研究されているのである
だがしかし
この植物の好む低温状況を作り出すためには
冷蔵技術が必要なのであるが
冷蔵設備の整備に関するコストと
このリンゴが育ってからの経済効果を鑑みたところ
全くもって採算が合わない為に
完全に種の保存の為の学術研究としてしか成り立たない
そうである

そこで次に取られた手段が品種改良であった
比較的暖地で栽培できる品種と交配を試み
大よそ15年係り作り出されたのが
wニガップルである
wはwarmのwである
現在生育地でお守りなどとして販売されているのは
この栽培品種である

さてどんなに特殊でもリンゴなので
もちろん食べられるのではあるが
決してお勧めは出来ないのである
これはフルーツではなく薬品である
身をもって知った者からの警告である
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ORKの口伝121

2009-11-12 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝121」

ツノマキトカゲ

体長20cm前後の草食のトカゲ
熱帯に生息し食料は植物なら好き嫌いなく食べる
その他のトカゲに比べると尾が非常に短く
敵に襲われた際のおとりに切り離す芸は使えない
そのため擬態能力が大変発達しているのである

名前の由来は鱗の形状から名付けられた
鱗一枚一枚が釣り針のように巻き上がっており
擬態を見破られ肉食動物に襲われた際の
最後の手段となっているのである
この鱗は敵に刺さると深く刺さりはがれるのであるが
返しの有る釣り針と同じ形状をしているため
一度刺さると非常に抜けにくく
刺さった肉食動物はしばらく苦しむことになるのである
苦しむだけならまだしも
口内に刺さってしまった場合自ら引き抜くことが出来ず
その後獲物を取れずに飢え死にまで追い込むことも
ママあるのである
このトゲは有毒ではないが
自然環境下であるため細菌などが返しの部分に繁殖しており
肉食動物に刺さった時
その固体が弱っていた場合刺さった場所が口内でなくとも
傷口から化膿が進み衰弱しその後死に至るのである

このように敵に対しての備えは万全であるが
この鱗の性質の為
このトカゲの野生種の存続も危ぶまれている
近年の環境変動の為生息域の植生が変化し
ツル性植物が増えすぎた為である
この巻き上がった鱗がツルに引っかかり
体の大部分の鱗がはがれてしまい再生が追いつかず
はがれた部分から寄生虫や細菌感染し死亡
それ故野生での個体数が激減しているのである

しかし
飼育下では反対に個体数が増加しているのである
餌は植物質であるなら
果実から根っこまでありとあらゆる部分を食べる
湿度にさえ気を付ければ気温の変化にもある程度強く
摂氏10度以下にならなければ死んでしまうことも無い
このためペットとしての需要が増え
爬虫類の入門用種として人気である
自然では刺さると危険な鱗であるが
きちんと消毒すれば化膿の危険性は回避できるため
人間が飼育するにはなんら問題も無いのである

ちなみに飼育下で簡単に繁殖できる為
一時食料としての利用が検討されたこともあるのだが
肉量が少なく
与えた餌の量に見合わない為このアイデアはお蔵入りとなった
トカゲからしてみれば
胸を撫で下ろす話である

飼育繁殖されたこのトカゲは合法的に食べられるので
個人的に買って食してみたが
無理に食べる必要は無かったのである
非常に淡白な味
言い換えればまるで旨味のない肉で食感もイマイチ
湿った紙をしがんでいるような感じである
お蔵入りになったのも納得である
トホホ
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ORKの口伝120

2009-10-30 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝120」

ゴズメズ

コスモスの一種で花の色が漆黒に染まる品種である
名前の由来は
そのあまりにも禍々しい黒色の花の色が不気味なため
地獄の獄卒の牛頭鬼馬頭鬼から名付けられたそうである
そのほかにも禍々しい物はあるのだが
母音がほぼ同じところからこの名に決定したようである

秋の盛り一面のコスモス畑は
季節の移り変わりとともに我々の眼を楽しませてくれる
だがしかし
そのコスモス畑が一面黒く染まっていくとしたら
どうだろうか
この植物はおなじコスモスの中でも群を抜いて
種子の発芽率が高く
また発芽までに要する期間も短いのである
そのため
その他のコスモスが発芽するまでに草丈が高くなり
日陰を作ってしまう
結果その他のコスモスは発芽しても
生育を阻害され満足に成長することが出来ず
年々種子を残す数が減り続け
やがてこのゴズメズだけが生き残っていくのである

よく植物公園などで秋にはコスモスの畑を見ることが出来るが
この二十年くらいの間で非常にこの植物が問題になっている
いちど物珍しさで蒔いてみたものの
次の年からどんどん生息範囲を拡大し
大よそ三年目にはコスモス畑は闇色に染まってしまうのである
しかもこの種はその他のコスモスよりも軽く出来ており
風に乗って周辺環境にどんどん進出していくため
非常に厄介な植物である
この植物はもともと突然変異種であったが
種子メーカーがその希少な花の色に目をつけ
品種として固定に成功した物であったが
このような事態になったために
現在は入手には公的機関の栽培許可が必要である

しかしこの厄介な植物にも
非常に人間にとっては有益な植物である
花弁に含まれるポリフェノール「ゴズメズキン」が
食物の動物性脂肪を吸着するのである
吸着された動物性脂肪は腸で吸収されにくい性質に変化し
そのまま便と共に体外に排出されるのである
最近見つかったこの効果により
厄介者扱いだったこの植物は
一躍人気の栽培種となったのである

この花を乾燥させたお茶は
「黒菊茶」と呼ばれ販売されているのであるが
その強い脂肪排出能力のため
人体に必要な量の脂肪の吸収が出来ない事例を鑑み
医薬品の扱いとなっているのである
しかし現在の人々の生活習慣からすると
この効果は大変有用であるのは間違いないのではないだろうか

私も一度試したのだが
脂肪分がそのまま排出されるためか
少々軟らかくなりすぎるきらいがある
普段からゆるい人はこのお茶の効果に頼るのは
出口の状態を悪くする可能性が高いのではないだろうか
なんにせよ
薬に頼りすぎるのは結局体のために
良くないのである
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ORKの口伝119

2009-10-17 | フィクション
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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝119」

エクレアオ

体長3mにも達する大型のクラゲの一種である
非常に温暖な海域を好み特に赤道上に多く分布する
体色が濃いオレンジから赤色で
このクラゲが大量に発生すると
赤道が物理的に赤く染まる大変驚異的な光景を見ることが出来る
この現象から一部の人たちは
赤道の語源はこのクラゲであるとの説を唱え
ゴシップ誌上を一時大いににぎわせたことがあったが
いうまでも無く嘘である
しかし一度世間に出た嘘は瞬く間に広まり
最近ではその尾ひれの付き方も尋常ではない
その中の一つに
赤道上に宇宙人がこのクラゲの幼生をまいた
などというオカルトの極みな話もあるそうである

食料としての利用もあるクラゲの中で
このクラゲの持つ特徴は実に珍しい
普通クラゲは味らしい味を持たず歯ごたえを楽しむ物だが
このクラゲは大変強い甘味を持っているのである
この甘味成分を特定し
合成甘味料として利用されているのがエクレアールである

この物質は精製糖の13倍程度の甘味を持つが
その分子構造が非常に複雑であるため
甘味は感じるが人体では消化吸収されにくい物質であるため
近年メタボリック症候群に苦しむ人たちにとって
非常に有用な甘味料である
しかし
減量中の人たちがこの甘味料の多用により
生命活動に必要な糖分を取ることが出来ずに
低血糖で倒れることがしばしば起こっている
食べても太りにくい物質は確かにありがたいものであるが
やはり極度の偏食は避けるのが肝要である

さて
私も食べてみたのだが
キュウリと酢の物にしてみるとあまりにも甘味が強く
正直気持ちが悪くなった
色々と調べてみたところこのクラゲの調理法としては
その甘味を最大限に生かして
コリコリとした歯ごたえのデザートとしての利用が主な様である
自分の早とちりを反省し
レシピの通りに牛乳の中に戻したクラゲを入れてみた
なるほど美味い
ミルク寒天の用であるがその歯ごたえはナタデココ以上
食べ応えのあるデザートであった
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