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20120117ORKの口伝141シルコバ

2012-01-17 | フィクション
20120117ORKの口伝141「シルコバ」

この文章はすべてフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝141」

シルコバ

 熱帯性常緑低木の一種で、
現地名は「ホワワ・ムニャ・ユルネム」と呼ばれている。
鬱蒼と茂るジャングルの中でも、
ほんの少しの陽の光で生き延びることができる種で、
気温が合えば大体どこにでも生えることができるようである。

 この植物の葉からは、
精神疾患治療薬として使われる成分が抽出出来るため、
現在は世界の広い場所で計画的に栽培されている。
 特に熱帯地方のジャングルを伐採せずに、
大木の根元でも栽培できるところから、
熱帯地方の産業として注目されるところである。

 この植物から取れる成分は「ユルマッタリノール」と呼ばれ、
その効能は精神と肉体を弛緩させ、
強いリラックス状態にさせるのである。
肉体と精神が強い緊張状態に陥るタイプの疾患には、
大変顕著な効果を発する薬品であるそうだ。
 この薬を処方するときは0.1mgを一単位として、
一日の使用限度は5単位までと厳しく制限されている。
それを超えて常用すると依存症状が現れ、
そのうち弛緩作用のせいで無気力状態に陥ることもある、
諸刃の剣とも言える薬である。
 しかし大体薬というものは、
何がしかの副作用を持っているものであるため、
使い方を謝らなければ問題は無いと思われる。

 この作用と使い方によって現れる依存性から、
医療用以外の製品にリラクゼーション機能目的で入れるにも、
厳しい使用量制限が課せられる。
 しかしそのような気分を落ち着ける物があるとわかれば、
非合法なビジネスが現れるのは世の常なのであろうか、
一時期麻薬の一つとして流通し始めたこともあったようである。
だが広く普及することは出来なかった。
 何故普及しなかったのであろうか?
答えはこの薬の成分である「ユルマッタリノール」が持つ、
極めて強い芳香に原因があるのでる。
その強い香りが邪魔をして、
麻薬取締犬の嗅覚から逃げることが全く出来ず、
全て検疫や税関などの他国への侵入経路で押収されてしまい、
ビジネスとして割りに合わなかったからだそうである。
 こうして世界に広まることのなかったこの薬、
そしてその原因となった強い香りは、
日本の甘味であるお汁粉と酷似しているため、
この様な名前で呼ばれることとなったのだそうである。
その為大麻などが合法である国では、
おしることは甘味の方ではなくこの薬を指すことになる。

 さてこのシルコバだが、
葉っぱそのものではこの様な香りがすることはない。
葉っぱをムシって手のひらでポンと叩くと、
細胞が潰れて成分が染み出しほのかに甘い香りがただよい、
ささやかながらリラックス効果が期待できるのである。
 原産地では昔から狩りや労働の合間の気晴らしに使われ、
休憩時の楽しみの一つとしてありがたがられていたそうだ。
普段から使っていて依存症にならないのかと思ったが、
0.1mgを精製するのに必要な葉の量は1kgと大量で、
気晴らしに二三枚潰した所でなりようがないようである。
 体を痛める暑さと仕事の合間のリラックスには、
アルコールよりも簡単に手に入るこの葉っぱは、
大変ありがたい自然の恵みなのであろうなと思う。

 私も現地に足を運びこの葉っぱを試してみた、
大変穏やかな気持になり心地よい眠気に襲われた。
ジャングルの中でこれを試すのは危険そうだなと思い、
ガイドに聞いてみたところ、
迂闊な者はやはりそのまま眠ってしまい、
獣に襲われて命を落すことが昔からままあったそうである。
家まで帰るか複数人で交代しながら使うのが普通だそうだ。
 自然の中でリラックスするのは命がけのようで、
リラックスの考えからは程遠く思われる。

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この文章はすべてフィクションです
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