#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

東京アート探訪 その8

2007-04-03 | PHOTO
その「ノマディック美術館」で展開されていた展覧会が、
これまたスケールの大きな写真で知られる
カナダ出身のアーティストGregory Colbertの「ashes and snow」。

とても不思議な写真だ。

ゾウやワシやチーターやクジラが、おとなしく写真に収まっている。
アジア系の子どもたちや、アフリカ系の女性たちと静かに向き合い、
カメラに臆することなく、どっしりとした存在感で焼き付けられているのだ。

巨大な出力が天井から釣り下げられた展示スタイルにも、圧倒された。
とにかくデカイ。大迫力で、ゾウやクジラが目に飛び込んでくる。

それらの写真が撮影されたであろう、同じシチュエーションの映像が
場内で繰り返し上映されていた。

15年間にわたり、Gregory Colbertは
インド・エジプト・ミャンマー・トンガ・
スリランカ・ナミビア・ケニア・南極大陸・ボルネオ諸島を旅し、
人間と自然の融合を目指した芸術をカタチにすべく、制作活動を行った。

その美しさには、息を呑む。
完成度の高さゆえに、誤解されてしまう向きもあるだろうが、
その映像から、現代の歪みを感ぜずにはいられない。

このような仮想世界を構築し、提示することで
メッセージを送らなければバランスが取れない状態にまで、
人間社会は完全に歪んでしまった。

人間至上主義がもたらした西洋人の「懺悔」が凝縮されたアート。
「癒し」のいう名の、「免罪符」的映像のユートピア。

これもまた「不都合な真実」なのだろうか。

Gregory Colbert 「ashes and snow」
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東京アート探訪 その7

2007-04-03 | Photo-diary
そして、移動美術館「ノマディック美術館」。

建築家の坂茂(ばん・しげる)によって設計され、
ニューヨークではじめて組み上げられた建築物で、
152個の貨物コンテナと坂茂オリジナルの建材・紙管で成り立っている。

コンテナは移動先で借り受け、組み立てるので
コストが大幅に抑えられる…という、坂茂らしい画期的な構造体だ。

坂さんとは、面識がある。

実は、建築写真事務所でアシスタントをしていた時の
メインクライアントが坂茂建築設計だった。

当時から坂さんの建築は斬新で驚きがあった。
壁だけで成立する構造体の集合住宅や、柱を設けず開放部を正面に据えた別荘、
カーテンで空間を仕切った私邸など、
朝から夕方まで彼の建築物と対峙し、竣工写真を撮影した。

今から15年ほど前の話だ。

あれから比べると、坂さんはとてつもない建築家に前進していた。
紙管を使った建築物で、いち早く被災地に仮設住宅を建てたり、
アフリカに難民用のシェルターを設けたり…と、
建築家ができる社会貢献に対しても、早くから目を向けていた。

都知事候補の黒川紀章氏とは、全く違った「共生」のアプローチだろう。

今、こうして彼の建築物を眺めていると、
「こころざし」がどれだけ大事なのか…実感できる。

坂さんの建築に対するこだわり、真摯なまなざしは、
撮影立ち会いの合間も、ビシバシ!とこちらに響いていた。
構造体の説明をしながら、欲しい絵のアングルを指示する言葉に
孤高の声を感じていた。

…すごい人と関わっていたものだ(>_<)。





SHIGERU BAN Architects
Voluntary Architects' Network
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東京アート探訪 その6

2007-04-03 | Photo-diary
単身東京で頑張るイギリス人、Jaimeと合流。

彼との出会いは、沖縄。
ALTの教師としてイギリス北部からやって来たのは、確か5年前。
現代美術を大学で専攻していたせいか、何事にも好奇心も旺盛で、
日本語も素早く取得、書道もアートとして自分のモノにしてしまった。
また、カポエイラの造詣も深く、小柄ながらたくましい性格の持ち主だ。

まるで、レオナール・フジタのよう。

そんなJaimeが、東京へ行く決意をしたのが、10ヶ月前。
現代アートのメインストリームも体感できて、大好きなカポエイラも学べる…
住み慣れた沖縄から出るのは勇気の要る話だったが、それでも東京を選んだ。

「今でも東京は馴染めない。でも楽しいよ。」

Jaimeは、率直にそう話した。
異国の地で、異国の言葉を使い、異国の職で金を稼ぐ。
並大抵のことじゃない。

最近、イギリス人の女性英会話教師が殺害されたばかりだが、
安全な国NIPPONでも、万全じゃないだろう。

タフな精神力と、繊細な気配り。
レオナール・フジタじゃないが、
Jaimeにも、共通するものがあると思う。

ボクの大切な友だち。

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