#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

「教科書検定意見撤回を求める県民大会」

2007-09-17 | BOOKS&MOVIES
国会議員共同声明へ「撤回が県民総意」

沖縄戦「集団自決」への日本軍の強制などの記述を削除・修正した教科書検定意見について
今沖縄県では、9月29日の県民大会に向けて大きなうねりをみせているが、

沖縄が生んだ「精神の詩人」山之口貘さんを、
娘の山之口泉さんが追想した文章に胸を打たれたので、
そのまま抜粋したいと思う。

     ●

父は確かに沖縄県に生まれたのだが、
私が育つ頃、沖縄は、ただのオキナワであった。
私が学校で社会科の時間に習った一都一道二府四十二県の中に、
沖縄は、含まれていなかったのである。
まるで外国便のようにして沖縄から届く航空便の差出人の住所は、
なるほど、如何にも不安定で、宙ぶらりんの沖縄そのままの姿をさらしているように見えた。

が、父は、自分が沖縄に便りをする時、全く素知らぬ顔で、
沖縄県…と、宛先を書き出すのだ。
そう書くことが、まるで何かになるように。
だから私も、未だ存命だった祖父母に年賀状を書く時に、見よう見まねで、
たどたどしく、おきなわけんやえやまぐん…と宛名書きをしたのである。
そんな県などどこにもないと、学校の授業では教えられながら。

(中略)

父の死後、八年たって、オキナワは、沖縄県に戻った。
私の子供たちは、皆、沖縄を沖縄県と呼ぶのを当たり前のこととして育っていく。
沖縄が、日本の県ではなく、さりとて、アメリカの州なんかでもなかった、
あの空白の時間を、彼らは知らない。そして、それに先立つ戦争を。
それらをいやというほど知り尽くしている人々の数は、次第次第に減っている。
父の友人達の多くは、すでに旅立ってしまった。
今にすっかりいなくなってしまうだろう。

新聞やテレビやラジオは、何食わぬ風に沖縄を沖縄県と呼んでいる。
今となっては、父のあのやり場のない憤りも悲しみも、世界の片隅にそんなものがあったことさえ、
誰も気づきはしない。全ては包まれ押しやられ、
やがて新しい時代の波がそれらをすっぽり呑みつくしてしまうに違いない。
まるで、一匹のねずみのように。

けれど、少なくと今は未だ、私は忘れることができないでいる。
母国のない宙ぶらりんの沖縄に向かって、故郷を失くした宙ぶらりんの父が頑なに書き続けた、
沖縄県の県の字を。「沖縄は日本だ」と、死ぬまで繰り返し続けた、
断固たる沖縄訛りの声音と共に。

    ●

戦後35年。沖縄県としてはまだそれだけの歳月しか経っていない事実。
たかが35年で風化させてしまえるのか、戦争の事実を。
ここはしっかりと国を相手に戦うしかない。


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会話/山之口貘

2007-09-17 | BOOKS&MOVIES
お国は?と女が言った。
さて、僕の国はどこなんだか、とにかく僕は煙草に火をつけるんだが、
刺青と蛇皮線などの連想を染めて、
図案のような風俗をしているあの僕の国か!
ずっとむかふ

ずっとむかふとは?と女が言った。
それはずっとむかふ、日本列島の南端の一寸手前なんだが、
頭上に豚をのせる女がいるとか素足で歩くとかいふような、
憂鬱な方角を習慣しているあの僕の国か!
南方

南方とは?と女が言った。
南方は南方、濃藍の海に住んでいるあの常夏の地帯、
竜舌蘭と梯梧と阿旦とパパイヤなどの植物たちが、
白い季節を被って寄り添ふているんだが、
あれは日本人ではないとか日本語は通じるかなどと
談し合ひしながら、世間との既成概念達が気流するあの僕の国か!
亜熱帯

アネッツタイ!と女が言った
亜熱帯なんだが、僕の女よ、目の前に見える亜熱帯が見えないのか!
この僕のように、日本語の通じる日本人たちが、すなわち亜熱帯に生まれた僕らなんだと
僕はおもふんだが、酋長だの土人だの唐手だの泡盛だのの同義語でも眺めるかのように、
世間の偏見達が眺めるあの僕の国か!
赤道直下のあの近所
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敬老の日と「でいご」

2007-09-17 | MUSIC
jimamaのライブが桜坂劇場であり、
足を運んだ。

2ndアルバム「裸足(からびさー)」発売記念の
ワンマンライブで、敬老の日にも近い…ということで
多数のおじいおばあも招待されていた。

うちなーんちゅらしく彼女もまた、
おじいおばあと素敵な幼少時代を過ごした。
その思いが「でいご」に収められている。

5歳の彼女にとっての宝物。
おじいと過ごした散歩道、そして赤い花。

5歳の女の子が大人になって、
その時の思いを胸に、素敵な曲を書いた。

それだけでも、ボクは胸が熱くなる。

5歳の女の子にとっても、愛の深さはちゃんと伝わるんだ。
そんな事実が彼女の歌声からダイレクトに伝わってくる。


 時は流れゆき あなたは星になって
 夜空に浮かぶ群れ星 私を見守る…


おじいちゃん子、おばあちゃん子の子供は
感受性が豊かで、とても優しい…なんて話を聞くけど

「やなわらばー」しかり「jimama」しかり
歌い手として生まれてきた人たちは、気持ちがとても細やかだ。

特に沖縄生まれの歌い手は
気持ちがまっすぐだ…と、目頭を押さえる。




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風便り/jimama

2007-09-17 | MUSIC
突然届いたあなたの便り 「新しい命が生まれました」
まるで自分の事のようで 嬉しくて会いたくなったの
あの頃 誰が先に嫁ぐとか 答えなき未来を夢見てたね
無邪気でいた 青い時代を 今も 憶えていますか?

急ぐ足音 時の早さに 流されそうになるけど
「どんなときも 自分らしくいよう」と 約束してサヨナラしたよね
懐かしい過ぎた記憶は 色褪せること無いから
会えばすぐにわかるくらい そのままのあなたでいてね

はにかみ屋で優しい性格も 右肩下がりな癖の文字も
同じままでいるみたいね それだけで安心だから
あれからどれくらいたったんだろう いつの間に互いに大人になり
ふざけあった 青い時代は遠く 離れていくんだね

いつも何かに 急きたてられて 日々を暮らしているけど
些細なことで 笑いあえた 淡く光る思い出忘れないように
懐かしい日々は戻らぬ事をわかっているけど
その心に 青いカケラは 今も残っていますか?

そしてわたしは 同じ景色に ひとりのままでいるけど
この心に 青いカケラは ずっと残っているから
今も残っているから

jimama 公式サイト
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