旭川市は人口北海道第二位の都市であり道央から道北地区への重要な場所にある
古くからの個人住宅などに多くの見るべき建物がある
または古くは第七師団が常備軍として設置され、それらの遺構も多い。
「福吉カフェ 旭橋本店」旧北島製粉所 旭川と道北の建築探訪NO26
所在地:旭川市常盤通2丁目1970-1
建設年:大正13(1924)年
道央道の旭川鷹栖で高速を降りて、旭川市の代表的な橋「旭橋」を渡ると
左側に廻りに合わない古い建物がある。
現在は「福吉カフェ旭橋店」として営業しているが、元は製粉所であった。
両側の石の部分は美瑛軟石を使用 当時は周りにたくさん建物があったとみえて、うだつが目立つ建物であり先端の部分は一般会社としては珍しい。
ちなみに福吉カフェは旭川の会社であり、札幌でも古い馬小屋を改造してカフェを展開している
また「旭橋を語る会」の事務局もあるという。
「旭川の歴史的建物の保存を考える会」による建築賞として平成14年に表彰された。
2023年10月撮影
「福吉カフェ 旭橋本店並びの建物」
「福吉カフェ」からより「旭橋」に近い場所にある
特異なデザインが目を惹いた。
横の外壁が剥がれて木が見えている 解体しないと危険かも?
「旧宮北秀吉邸」 旭川と道北の建築探訪NO27
所在地:旭川市9条通10丁目
建設年:大正4(1915)年ころ
木材業を営む宮北秀吉氏が自宅と事務所をかねて建てたもの
上記の福吉カフェよりも、さらに周りに異彩を放っている建物だ。
正面両サイドに密接した建物が現在は無いのでよく見ることが出来る
現在は旭川市教育委員会が倉庫として使用している。
正面玄関は向かって右側にある
自宅と事務所を兼ねていたので玄関が二つあるのだと思う。
建物は倉庫によくみられる木骨石造りで石には美瑛産の軟石を使用
屋根はマンサード屋根に見えるがこれが素敵である。
裏手に廻ると、以前は他の建物が繋がっていたのがわかる。
2023年10月撮影
「旧吉池病院」 旭川と道北の建築探訪NO21
所在地:旭川市6条通10丁目54-2
建設年:昭和2(1927)年
この建物の全容を、まともに見るのなら完全に木々の葉が落ちる晩秋から
冬がいいだろうと思ったが
針葉樹もあり冬でも見づらいらしい。
これからの紅葉シーズンにはどのような木々になるのだろうか。
医院の後に住まれた桑島氏は医学博士で国立療養所道北病院院長をされた方
同じ医者の繋がりでこの住宅を購入したのだろうか。
その後は無人の時間が長いようで建物の痛みが進んでいそうだ
奥に見える2階部分には縦長の上げ下げ窓を用い、木製の柵もお洒落なものを使用している。
木製の塀が続く光景はタイムスリップでもしたかのような
懐かしさをおぼえる。
2023年10月撮影
「旧小笠原法律事務所」 旭川と道北の建築探訪NO20
所在地:旭川市5条通11丁目1725-8
建設年:大正初期・昭和29(1954)年
連なる2棟は別の時期に建てられ、向かって左が大正初期に
右が昭和29年に増築されたもので設計は田上義也氏である。
小笠原六郎氏は富良野市出身で旭川市で法律事務所を開設
弁護士であり、旭川弁護士会会長、日弁連副会長を歴任された。
昭和35年旭川市功労者、昭和53年に勲三等瑞宝章を受章している。
田上氏との関係は不明。
大正期の建物はマンサード屋根が印象的
昭和期の増築部分に新たに玄関を設け、その上部に田上氏お得意のパーゴラが現存している。
田上氏建築の師匠であるフランク・ロイド・ライトが大正10年に建築した自由学園を
一部彷彿させるような外観に見えた。
2023年10月撮影
「㈱旭川キーセンター」
旧小笠原法律事務所の向かいにある店舗
小さく可愛らしい建物だったのでつい撮影した
会社は40年以上続いているそうだが、建築年ほか不明。
「旧旭川酒造組合事務所」 旭川と道北の建築探訪NO19
所在地:旭川市5条通11丁目761
建設年:昭和6(1931)年
旭川酒造組合の寄合所として建てられ、戦後の昭和21年には米国民間調査部に撤収された。
その後は旭川市立図書館、北海道ドレスメーカー女学院旭川分校、旭川調理師専門学校として使用した。
建物の用途により幾度の改修がされているが
外観のデザインは竣工当時の状態を保つよう補修されている。
1階がドイツ下見板張り、2階がモルタル
縦長の上げ下げ窓が連続し特徴のある外観となっている。
現在は「ラシックヘアー」(美容院)が営業しており
内部も歴史的センスのある素敵なお店との評判がある。
平成22年に「旭川の歴史的建物の保存を考える会」より建築賞を表彰された
2023年10月撮影
「松岡家住宅」 旭川と道北の建築探訪NO23
所在地:旭川市6条通13丁目58-3
建設年:大正14、昭和12(1925,1937)年
角地にあり地域のランドマークになっている大きな建物と敷地を持つ。
入母屋造の和館に,切妻造の洋館が接続する
他に蔵と会社事務所が連なる。
和館は人目を惹く見事な造りで堂々としている
洋館は段状のコーニスで囲まれたドイツ壁が印象的
事務所はスクラッチタイルが特徴的で縦長の上げ下げ窓が歴史を物語る。
創業者の松岡源之助氏は自ら斧を持って山林に入り木を伐りだし
会社を設立 やがて”日本の松岡木材”と言われるまでになった。
上記の小笠原氏同様に旭川市の功労者に昭和13年表彰された
住宅は登録有形文化財に指定されている。
2023年10月撮影
「おかだ紅雪庭」
所在地:旭川市5条通16丁目1099
建設年:昭和8(1933)年
「一般財団法人旧岡田邸200年財団」より抜粋
”昭和8年(1933年)
清酒北の誉創設者岡田重次郎宅として建築された和の要素を取り入れた洋館造り。
重次郎は北の誉ご三家(野口、西尾、岡田)の一人で明治40年には、酒造工場を造り、野口合資会社設立
昭和11年に岡田重次郎社長の丸ヨ岡田商店に衣がえ
岡田邸は、重次郎、正平、正雄と三代に渡り住み。
重次郎氏は商工会議所会頭、パルプ工場誘致、北海ホテル社長、北海道酒造組合連合会長を歴任。
正雄氏も北の誉社長、会長、アサヒビル社長と、道内経済界をリードした。
明治大正昭和と、北海道、旭川において貢献した岡田家の邸宅である。”
岡田氏は旭川市の功労者にも昭和13年に表彰されている。
小樽市の「北の誉」の流れをくむ創業者の邸宅として有名な住宅であり皇族も宿泊された由緒あるお屋敷。
豪華な和洋折衷の建物で「見積もりの無い建て方」とまで言われた。
岡田家が転居の後、資産家が買収したが使用されずじまいだったので
市民による保存活動により「一般社団法人旧岡田邸200年財団」が建物を買収し今日に至る。
外壁は白地のモルタルと下見板張りであったがライトブルーの
綺麗な外観に変わっている。
現在は「おかだ紅雪庭」として蕎麦、料理店として利用が出来る
紅葉時には撮影会があるので参加するのも良いだろう
(2023年は10月29日)
紅葉時には例えようのない素晴らしいお屋敷になるだろう。
2023年10月撮影