旭川市の建築探訪は10月の2日間で廻りました 雲もあったが両日ともまぶしいくらいの好天であった。
「㈱西倉倉庫」 旭川と道北の建築探訪NO22
所在地:旭川市5条通13丁目右10
建設年:昭和3(1928)年
旭川市内に石造りの倉庫群があるのはここだけ。
倉庫のNOは1~6まであり、1と2は同じ倉庫で左右に分かれている
また4と6は背中合わせに建っているので片側からだけだとどちらかしか見れない
5は道路向かいに単独で建っている。
ほぼ同時期に建てられ、妻側上部に屋号の「二」がある
2号は政府指定の低温倉庫として建てられ、駐車禁止の看板がある。
角地に建つNOの無い倉庫は個性的で瓦葺の寄棟屋根とアーチ型窓を持つ。
木造の事務所棟も味があり、硬い倉庫群に柔らかさを与えているようだ。
2023年10月撮影
「高砂酒造」 旭川と道北の建築探訪NO9
所在地:旭川市宮下通17丁目
建設年:明治40年代・昭和4(1929)年
高砂酒造は、以前は創業者の名前をつけて明治32年に「小檜山酒造店」として醸造工場を始めた。
この時は市内で4番目の酒造会社であった。
宮下通を挟み両側に工場群が出来上がり、今や現存する数少ない建物になった。
建物は現在の売店や並ぶ蔵などが明治40年代の建物で
以前は連なる平屋と土蔵2棟があったが現在は解体された。
売店と2階建て住宅部分は1階で仕込み水が飲める 過去の酒類、ポスターなどが
あり一見の価値があると思う。
またここまでの通路は明治時代から変わっていないとのこと。
蔵の部分は休憩所になっている
道路向かいの事務所、作業所が昭和4年のRC造りである。
これは市内でも時代的に貴重なRC造りの建物で
正面に三角形のペディメントがあり屋号が記されている。
奥の線路側にはレンガ造りの瓶詰工場が現存している。
2023年10月撮影
「F氏邸」
所在地:旭川市宮下通
建設年:昭和5(1930)年
令和3年「旭川の歴史的建物の保存を考える会」が建築賞に選んだのが
こちらの住宅。
酒造業者の社長の自邸として、上川神社の旧敷地内に建築されたとのこと。
現在も建設当時の状態をほぼ保っている
あいにくと撮影時は逆光のため外壁の状態はわからないが
しっかりとし建物に見えた。
また2階窓や玄関廻りの意匠も素敵なものがある。
このような建物(住居)が大きな通りに面して建っているのは珍しいのではないか?
作家の三浦綾子さんのデビュー作「氷点」の主人公の家のモデルになったことでも知られ、朝日新聞の連載第一回には、その外観が挿絵として描かれているそうだ。
2023年10月撮影
「旭川バプテスト教会」旧新町幼稚園
所在地:旭川市8条通西1丁目1-11
建設年:()年
別の目的地付近をストリートビューで見ている時に
偶然に目についた。
果たして行ってみると、いい味わいの建物である
正面側は逆光で撮りづらかった。
すぐ隣には牧師館もある。
印象的な形の窓が連続するさま、横側の壁の窓などが見た目の特徴であった。
そこに表示看板を補修している人がいたので声をかけてみたら
教会の関係者とのこと(男性)
外観の撮影許可をいただきながら、少し会話させていただく。
築70年は経っているとのこと
教会として建てられ、次に「新町幼稚園」そして現在の「旭川バプテスト教会」へ変わっていったことを聞いた。
古い建物なので特に屋根の修理は大変だったらしい。
こちらは話を聞かせていただきありがたいが
先方も撮ってくれてありがとうと言ってくれた。
とても嬉しいね。
こちらは「牧師館」
2023年10月撮影
「明治屋」 旭川と道北の建築探訪NO11
所在地:旭川市1条通5丁目
建設年:昭和26(1951)年
札幌軟石、美瑛軟石の二種類が使われている珍しい建物。
それは倉庫として建てたものを戦後に解体し、その一部を使用して
この建物を作ったからのようだ。
1階下部と玄関廻りに石の違いが出ている
整然と並ぶ縦長窓が石造りの建物のアクセントになっている
窓枠は代えたものだろう。
大通りに面しているので大きくは無いが目立つ建物だ。
2023年10月撮影
「タカラ市場」 旭川と道北の建築探訪NO12
所在地:旭川市1条通5丁目76
建設年:昭和6(1931)年
その昔は数十件もの件数があった市場の数少ない貴重な現役である。
大通側から見ると左右とも新しくサイディングなどに変わっているが、中央部分にわずかにかつての外壁が見える。
また中央の入り口は通り抜けになっており
裏側の通りから見ると片側はまだ窓枠以外は以前のままのようだった。
2階以上は住居で玄関が別にあったが、そこは使われていないように見えた。
2023年10月撮影
「道北バスの洋館」
所在地:旭川市2条通4丁目1
建設年:()年
この洋館もストリートビューで見つけたもの
スーパーの向かいでもあり地元の人は建物のことは認知しているだろう。
大きく角度のある切妻、玄関のアーチ、縦長の上げ下げ窓、下見板張りなど
印象的な個所が多い建物だ。
敷地は「道北バス」のもののようだが、それ以外は一切わからない
2023年10月撮影
「旧西家邸」 旭川と道北の建築探訪NO4
所在地:旭川市4条通3丁目1694
建設年:大正13(1924)年
以前は北側に大きな庭園があったようだが、現在は駐車場になった
それでも切妻屋根の和風建築建物自体が旭川市内でも現存する代表的なものであり
角地にあり蔵もある造りは昔から有名なものだろう。
駐車場(以前は庭園)に向かい縁側があるので当時は庭を眺めながらの暮らしは
心も満たされただろう。
2023年10月撮影
「日本醤油工業」旧笠原酒造 旭川と道北の建築探訪NO29
所在地:旭川市曙1条1丁目2-302
建設年:明治23~40(1890~1907)年
明治23年に建築されたときは酒造倉庫だったが、昭和19年に醤油製造業となった。
倉庫など多くの棟があるが通りに面している木造建築の事務所棟と
大きな切妻屋根の売店が連なる姿がいい。
売店では「キッコーニホン」ブランドの醤油ほか多くの商品を販売しているので
お土産に良いのでは。
2023年10月撮影
「Y氏邸」 旭川と道北の建築探訪NO28
所在地:旭川市曙
建設年:昭和12(1937)年
住宅街にある個人住宅は撮影がしづらい
この住宅は「旭川と道北の建築探訪」に掲載されており
庭から邸内まで写真が掲載されているので施主さんは寛容な方なのだろう。
正面から見る洋風の造りに1階にある丸窓などが印象的
中庭は広く、外からは見えないが庭から見る邸は奥行きがある
また邸内にはペチカがあるとのこと。
2023年10月撮影
「旭川道銀ビル」
所在地:旭川市1条通9丁目92-1
建設年:昭和40(1965)年
北海道を代表する建築家、田上義也氏は
昭和26年に設立したばかりの北海道銀行初代頭取である島本氏に自邸に呼ばれた。
その邸は田上氏の代表作である北大の旧小熊教授邸であった。
小熊邸を購入しすっかりこの家が気に入った島本頭取はその後この家の増築、
東京の自宅、それに70を超える北海道銀行の支店や寮、保養所の建築を田上氏に依頼した。
田上氏の建築人生には戦後の空白期間があるが、その時に島本さんと出会ったことは
田上氏の人生において大きな意味があったのではないか。
この道銀旭川ビルは昭和40年に竣工している
その1年前に札幌市中央区に現存している北海道銀行本店ビルを設計、竣工した。
本店ビル並みに大きな旭川支店なのでおのずと似ているところがあるだろう
今回は時間が無かったが本店にある道銀カラーであるグリーンタイルの
階段があるか見てみたいものだ。
2023年10月撮影