明治24年(1891年)イギリスの宣教師ウォルター・ウェストンは、安曇村島々宿の旅館、清水屋の御主人の案内によって初めて徳本峠を越えました。
この後、上高地へ降り、上高地徳郷の小屋(明神館)へ泊り、 翌朝、梓川を渡り、徳郷の小屋(上高地牧場)配下の山に詳しい者、 奥原誠一と上条嘉門次の2人の案内で登山をすることとなります。
その後、ウェストンの著書により、上高地が、一般人に知られる事になり、これが日本近代登山発展の始まりとなります。
徳本峠の小屋はそんな歴史を感じさせる、質朴な感じの良いところでした。
このレポートでは南沢を詰めて、徳本峠に到る急登を詰め、峠につき、峠周辺を散策するところまでをレポートします。
ミヤママタタビ ↓
この標高ですのでミヤママタタビだろうと思いました。葉を噛んでみると、やはりその通りで、辛みがありません。
オタカラコウ ↓
南沢が随分細くなり、徳本峠に向かう峠沢の登山道に取付くあたりで、この花が咲いていました。このあたりから傾斜が急になり、ジグザグを切って登るようになります。
ちから水 ↓
ここでは小さな湯飲み茶わんが置いてありました。水を頂くと、冷たくて極上の味に思えました。
あとから聞いたことですが、ここのものは地表の流水ではなくて、湧き水だそうです。
センジュガンピ ↓
前に出たものとは違い、沢山の株が寄り集まって見事な群れ咲きとなっています。
コバノイチヤクソウ ↓
イチヤクソウ類では咲いた花をあまり見ていないのですが、今回は花に出会えました。
カニコウモリ ↓
地味ですが亜高山帯の常連の花です。
エンレイソウ ↓
エンレイソウは花が終わって、どこのものも皆、こんな姿になっていました。
サンカヨウ ↓
サンカヨウの実が、美味しそうですので、たびたび食しますが、どれもこれも大した味ではありません。
オトギリソウの仲間 ↓
今回は二種類のものを見たと思います。こちらは花が小さい種類でした。
ツルリンドウ ↓
久しぶりにツルリンドウの花を見た感じがします。
トリアシショウマか? ↓
似たようなものにヤマブキショウマがありますが、これはトリアシショウマだと思います。
オオバミゾホオズキ ↓
水湿地ですので、こういうものが出て来ます。
徳本峠小屋 ↓
待望の徳本峠に着きました。歩き始めて約八時間後のことでした。
空が雨空ですので、極上の展望と言われている景色は望むべくもありません。
かつてウェストンが日本を離れる時にこの峠から穂高の山を眺めて涙したと言われるその絶景には翌日も浴することが出来ませんでした。
この一日の歩行数 ↓
第一日目の歩行数は三万歩を超えました。今の小生にはこれは筋肉疲労となって翌日に持ち越し、痛手となります。
一旦、小屋に納まり、身辺整理してから、小屋周辺を散策することにします。
はぐれ猿 ↓
小屋から出てみると目の前に大猿がいます。どうやらこれは猿集団の権力闘争に敗れた旧ボス猿のようで、群れを引き連れてはいません。 この後小屋の屋根の上に乗り、歩いたので、小屋の人の知るところになり、下から追い立てられてしまいました。
キソチドリ ↓
峠から45秒と書かれた看板に従い、展望台に向かいます。峠の標高が2100メートルを超えていますので、亜高山帯の植物に取り囲まれています。まず最初に野生ランが目に入ってきました。
イワカガミ ↓
イワカガミはどれも花が終わっていました。
ギンリョウソウ ↓
高度が高いので、未だギンリョウソウが咲いています。
ネバリノギラン ↓
これも一株だけ見ました。
シラタマノキ ↓
念のために花をつぶしてみるとやはり、サロメチール臭がありました。
猿の親子 ↓
小屋の裏手の針葉樹の大木の枝の上に猿が二匹座っています。この後は雨が普通に降ってきましたので、この場所が本日の安息の地となったことでしょうね。
マイヅルソウ ↓
マイヅルソウはここではもう実になっています。
タケシマラン ↓
タケシマランもすでに実が色づいています。
小屋周辺を一回り見て、本格的に雨になりましたので小屋に納まります。
お昼頃に小屋についてしまったので、時間を持て余してしまい、結局昼寝タイムが長くなりました。