アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

親の飲酒

2012-05-20 | Weblog


 裏磐梯の曽原湖の周囲を1周、自然観察しながらの散策に参加した。


 約2時間。小学3年生になった息子には、それほど負担になるコースではなかった。道路わきののり面に上って珍しい形の葉っぱを採ったり、がけ下で型のいいどんぐりを探したり。


 快晴に恵まれた。ブナ林の木漏れ日は、明るい緑色の葉っぱを透かしてマスカットの色。快適な森林浴だった。


 昨年夏の「父子2人東北キャンプ行脚」以来、息子と私の体力がバランスよくかみ合い、イベントを同等に楽しめるようになってきた。


 5月下旬でもまだ桜が咲く裏磐梯。まだ山肌には雪も点在する。ようやく芽吹き始めた裏磐梯の林の中で、息子はいろいろなを発見をした。スキーシーズンや紅葉シーズンしか知らなかった私も、裏磐梯の魅力を再発見。


 で、この日は、さらに大きな発見があった。


           ◇


 帰路の車中、「夕ご飯は何にする?」と妻。正午を過ぎたばかりだったが、主婦にとってみれば「常に付き纏われている悩ましい課題」だ。


 心地よい疲れを感じていた私は、運転席からバックミラーの中の妻に、「もんじゃ焼がいいな」。


 セットで頼む生ビールが目的である。それは、妻も息子も折り込み済み。加えて、3人とももんじゃ焼が好物だ。


 が、息子から意外な反応。「いや。家で食べるのがいい」。私の想定の範囲外だ。


           ◇


 「あれ? もんじゃ、好きだろう?」


 「もんじゃは好きだけど、いやなの」


 「どうして?」


 「もんじゃに行ったら、お父さんは絶対にビール飲むでしょ」


 「お父さんがビール飲んだら、ゲームできるじゃないか」。私がビールを飲むと、1杯につき1回、ショッピングセンターのゲームをするという契約が私と息子の間にある。


 このあたりが、私はズレていた。


 ここで、息子は想定の枠をさらに超える。


 「あのね、ビール飲むたびにぼくがゲームを催促してるのはね、本当はお父さんにビールを飲んでほしくないから言ってるんだ」


 (ええっ?)


 「お父さんは、本当はぼくにゲームをやめてほしいんでしょ。ぼくにゲームをやめさせるためなら、お父さんはビールを飲まなくなるでしょ」


           ◇


 親の酔っ払い姿が、よっぽど嫌なのだ。


 ビール飲む気マンマンだった私の心に、再び、ブナ林の中のマスカット色の木漏れ日が差し込んできた。


           ◇


 結局、夕ご飯は家で焼き魚とご飯。息子を寝かしつけて、現在、22時30分。「アサヒ・スーパーゼロ」を飲みながらこの原稿を書いている。


 息子は、私の飲酒を心から嫌がっていたのである。推測はしていた。が、避けてきた現実。


           ◇


 飲酒のための理由はいくらでも付けられる。が、きっとそのすべてが子どもの心には届かない。


 少なくとも、息子の前でビールを飲むのは、もう、つらい。


 幼い心の中で、深く慮り、かつ、遠く謀っていたのだから。


 今はまだ「親への希望」。「親への失望」にならないようにしなくては。
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