息子の小学校の朝の立哨、通称「旗当番」。今春で卒業するため、今朝が最後の当番だった。
交通量の多い交差点で子どもたちの安全を確保するのが役目だ。この時季はいつもなら早朝はまだ寒くてつらいのだが、今日は穏やかな日和に恵まれ、すこぶる気持ちのよい「旗当番」だった。
大きな声を張り上げて「おはようございます」とあいさつする男の子、もじもじしながら小さな声で「おはようございます」と言ってくれる女の子。
徒歩通勤のサラリーマンは、ちょっと照れながら「おはようございます」。夫婦で散歩中のお年寄りは「ご苦労さまです」。幼稚園の通園バスは通りがかりに車中の保母さんが黙礼してくれる。
旗当番の日は、朝から多くの人と声を掛け合う。
7時30くらいからの10分程がピーク時間帯。遅刻しそうで飛ばしている車も多いので緊張する時間帯だ。
遅刻しそうなOLさんは、子どもたちが横断中に停車した車の中で化粧している。子どもが渡り終えてから旗を降ろし、頭を下げると、きまりが悪いのか目をそらす。
息子が1年生だったころは、2カ月に1度のペースだったが、5年前の「あの日」を境に1カ月に1度のペースになった。
子どもたちが相次いで転校し、2011年の2学期には児童数が半分くらいになった。家庭も減ったわけだから旗当番の回数はおのずと増えた。
交差点を渡る子どもの数も減った。児童数減はもちろん、放射線への不安から親が車で送るケースが増えたからだ。
7時50分を過ぎると、交差点を渡る子どもはほとんどいなくなった。58分ごろ、1年生の女の子がランドセルを揺らして走っていった。
「福島の子どもたちが元気に育ちますように」
最後の一人を見送り、黄色い旗を降ろした。
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