アコギおやじのあこぎな日々

初老の域に達したアコギおやじ。
日々のアコースティックな雑観

楽器の「格」

2009-06-03 | Weblog
 そのギターは、きょうは店頭に並んでなかった。




 月3回で通っているヴァイオリン教室。

 その隣は楽器店。


 レッスンが始まる前の数分間、楽器店に入って、しばしば楽器を見ていた。レッスンが始まるまでの暇つぶし。




 さまざまなギターが壁一面に陳列された店内。



 そのギターは、きらびやかなギターたちが誇らしげに並んだ壁の一番端っこ。ひっそりとスタンドに掛けられていた。








 試奏用。



 高価な楽器を購入してもらうための、きっかけづくり。それが役目だ。





 店の主役である商品たちと比べれば、明らかに存在感が薄い。


 華がない。もちろん、高級な装飾などまったくない。




 ただ、「品がある」と思っていた。




 試奏用だからこそ、店の人が丁寧に管理したのだろう。

 ボディの光沢は、丁寧な雑巾がけを何年も続けてようやく輝きを獲得した老舗旅館の廊下のような光。



 美しい。




 ずっと、気になっていた。



 いないと、つい探していた。






 初恋の始まり。





 「あそこに置いてあったタカミネ。カッタウェイのアコースティックの。もう、なくなっちゃいましたか?」

 きょう、勇気を出して、店員さんに尋ねた。


 初めての恋を告白をする少年のように、なんなんだか、えらく緊張していた。



 「いや」


 安堵した。


 店員さんは、店の奥からそのギターを出してきてくれた。





 「ください」



 買った。タカミネのアコギ。



 それなりに値引いてもらった。でも、女房にばれたらちょっと面倒なことになる値段。




 でも、店内の試奏なんて、一定程度の腕前がある人しかしない。

 そんな人たちに演奏されてきただけに「鳴り」がいい。




 単身のアパートに帰って、すぐにボディ内のプリントを確認。


 調べてみたら、主にヨーロッパで評価されている楽器らしい。



 タカミネって、いい仕事しているんだなぁ。


 イタリアのバッグ会社よりも低いものは、自国の評価だけなんだってさ。



 いい出合いに恵まれた。きょうもいい一日。
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