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港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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旅の友・ポップス編 (224) 『モーニン』

2017-09-20 15:04:39 | 旅の友・ポップス編

『モーニン』 サラ・ヴォーン
”Moanin' ” Sarah Vaughan  【YOUTUBEより】


ジャズメッセンジャーズのピアニスト、ボビー・ティモンズが1958年に作曲したブルー・ノート・ジャズです。
一人が歌の一節を唄い大勢がそのあとに付けて唄うというコール・アンド・レスポンスのスタイルで書かれており
サラ・ヴォーンがこれをファンキー・ジャズに仕上げています。
ライヴ・ステージなら ”Every Mornin' finds me moanin'” と唄ったら観客が ”Moanin'” と続くのでしょうね。
タイトルの”Moanin'”は「うめく」とか「嘆く」という動詞で、”Morning”(朝)ではありません。
”Moanin'”は人種差別に苦しむ黒人たちのうめきや嘆きを象徴しているといえます。
白人に虐げられた黒人たちの叫びこそがジャズの原点だと思います。

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旅の友・ポップス編 (223) 『アンナ』

2017-09-19 15:52:59 | 旅の友・ポップス編

『アンナ』 シルヴァーナ・マンガーノ
”Anna” Silvana Mangano  【YOUTUBEより】


1951年制作、イタリアン・リアリズムの先駆者の一人、アルベルト・ラトアーダ監督による同名のイタリア映画の
主題歌です。
アルベルト・ラトアーダは1949年の『ポー河の水車小屋』で農民と地主との紛争を背景に若者の悲劇を描いた
イタリアン・リアリズム初期の佳作を発表してその名を知られるようになりました。翌年にフェリーニとの共同監督で
『寄席の脚光』を手がけましたが、この『アンナ』では単調なメロドラマに終わりその後輝くことはありませんでした。
この映画は1948年の『にがい米』で準主役ながらもその容姿で一躍脚光を浴びたシルヴァーナ・マンガーノを
さらに売り出すために主演に仕立て上げたのですが、作品としては好評を得ることができませんでした。
主題歌は、ロマン・ヴァトロの作曲、フランシチェスコ・ジョルダーノの作詞で、ブラジル音楽「バイヨン」の
リズムを取り入れており、映画ではフロ・サンドンスが吹き替えで唄っていました。

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また、シルヴァーナ・マンガーノといえば『にがい米』のダンスシーンが極めつけですね。【YOUTUBEより】



(以下、個人的な備忘書き)
1950年前後のイタリア映画はロベルト・ロセリーニやヴィットリオ・デ・シーカを代表格とするイタリアン・リアリズム
の台頭よって優れた作品が数多く制作されてました。
『平和に生きる』 (1947年、ルイジ・ザンパ監督)
『荒野の抱擁』 (1947年、ジュゼッペ・デ・サンテス監督)
『揺れる大地』 (1948年、ルキノ・ヴィスコンティ監督)
『ポー河の水車小屋』 (1949年、アルベルト・ラトアーダ監督)
『にがい米』 (1949年、ジュゼッペ・デ・サンテス監督)
『白い国境線』 (1950年、ルイジ・ザンパ監督)
『越境者』 (1950年、ピエトロ・ジェルミ監督)
『2ペンスの希望』 (1952年、レナート・カステラーニ監督)
このあと、イタリアン・リアリズムはやがてネオ・ロマンティシズムあるいは知的リアリズムとしてフェデリコ・フェリーニ、
ミケランジェロ・アントニオーニ、ルキノ・ヴィスコンティ、ピエトロ・ジェルミ、ヴァレリオ・ズルリーニたちの世界へと
引き継がれていきます。


旅の友・ポップス編 (222) 『白い恋人たち』

2017-09-18 13:24:54 | 旅の友・ポップス編

『白い恋人たち』 フランシス・レイ楽団
”13 Jours en France” Francis Lai  【YOUTUBEより】


1967年制作、クロード・ルルーシュ監督によるグルノーブルで行われた第10回冬季オリンピック大会の
記録映画の主題歌です。
ドキュメンタリー界からフランソワ・レシャンバックが全面的に協力、アルペン三冠王のジャン・クロード・キリー
などの活躍を詩情豊か且つ鮮やかな映像美で仕上げています。
大ヒットした主題歌の『白い恋人たち』はフランシス・レイの作曲によるものです。

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2014-11-25 映画音楽史(293)『白い恋人たち』1968年公開


(季節外れで申し訳ありません)

旅の友・ポップス編 (221) 『ハーバーライト』

2017-09-17 13:28:58 | 旅の友・ポップス編

『ハーバーライト』 ビリー・ヴォーン楽団
”Harbor Lights” Billy Vaughn And His Orchestra 【YOUTUBEより】


1937年にジミー・ケネディとヒュー・ウイリアムスが共同で作詞作曲、ルディー・ヴァリーが唄ってヒットした曲で
1940年にはジョン・フォード監督によるアメリカ映画『果てなき船路』の主題歌となっています。
元歌は港の灯の中を彼女を乗せた船が出港。去り行く女性を見送る男性のセンチメンタルな別れ歌ですが
これをビリー・ヴォーンがロマンチックに演奏しています。
歌唱レコードとしては、ルディー・ヴァリーの他にもザ・プラターズ(1960年全米8位)やコニー・フランシスなどが
リリースされています。
映画の方はジョン・フォード監督としては珍しい海洋劇映画なのですが彼の作品としてはB級作でした。

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2013-12-19  映画音楽史(5)『果てなき船路』1949年公開


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台風18号が九州に上陸、西日本全域が暴風圏に入りそうです。
台風の進路に当たる地域にお住いの皆様、身の安全を確保したうえで
厳重な警戒をなされますように。

どうやら神戸も台風の通り道の中心になりそうです。
今(午後1:30)のところ薄日がさして風もそれほど強くない様子なのですが
急速に接近して風雨が激しくなるかもしれません。
家の中で通り過ぎるのを待つしかないようです。

皆様に被害がありませんように。

旅の友・ポップス編 (220) 『魅惑のワルツ』

2017-09-16 11:54:59 | 旅の友・ポップス編

『魅惑のワルツ』 アンリ・ルネ楽団
”Fascination” Henri Rene And His Orchestra 【YOUTUBEより】


1956年制作、ビリー・ワイルダー監督によるアメリカ映画『昼下りの情事』の主題歌です。
ワイルダーは『失われた週末』『サンセット大通り』などのシリアスな作品群を作っていましたが、脚本家の
I・A・L・ダイアモンドとコンビを組んでガラリと作風が変わってソフィスティケーション喜劇へと転じます。
コンビ第一作目となったロマンチックなラヴ・コメディ『昼下りの情事』ではダイアモンドの小洒落た
台詞が縦横にめぐらされて観客をさらに酔わせました。
主題歌の『魅惑のワルツ』は、ベルエポックの1904年にイタリア人のフェルモ・ダンテ・マルケッティが作曲した
『ジプシーのワルツ』が原曲で、後には幸せに愛しあう二人を唄ったシャンソンになりポーレット・ダルティが
レコーディンクしていますが、この曲を有名にしたのは何と言っても『昼下りの情事』でした。

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2014-03-14 映画音楽史(76)『昼下りの情事』1957年公開

それにしても、この映画の邦題はポルノ作品のようで、とてもじゃないが感心できません。
洒落た映画なのですからもう少し洒落た邦題にできなかったのでしょうか。