タクシーの運転手

　Hさんは最近、大阪市内のタクシー運転手になった。

　私 「運転手になってどれくらいになるのん？」
　客H「今日でちょうど一週間」
　私 「誰か、芸能人を乗せた事があるか？」
　客H「芸能人というより、読売テレビの女子アナの虎谷温子を乗せたわ」
　私 「虎谷温子？知らんわ。何に出てるのん？」
　客H「朝の情報番組のスマタン」
　私 「あ～、スマカタンかいな」
　客H「スカタンと違う！スマタンや」
　私 「スカタン言うて、済マタン！」
　客H「わざとスカタン言うて…」
　私 「それはそうとタクシーは色々な客がいてるけど、お客さんと会話はするのん？」
　客「喋るお客さんと喋れへんお客がいてるわ」
　私 「どんな人が喋れへんのん？」
　客「若い人はあんまり喋れへんなあ。だいたい年配の客は喋るわ」
　私 「どんな話をするのん？」
　客「天気とか社会問題、芸能ニュース、ギャンブルとか経済とかゴルフの話とか、色々とネタを仕込んどかなアカンねん」
　私 「タクシーの運転手も俺らと一緒で接客業やから話題作りが大変やなあ」
　客「政治はあんまり喋られへんわ」
　私 「俺は店で言うで」
　客「考えが違うからと、気まずなれへんか？」
　私 「気まずくはなれへんわ。おセイジを言うんやから」
　客「政治と違(ﾁｺﾞ)てお世辞かいな。政治は右派とか左派があるから場合によったら雰囲気が悪なるで」
　私 「どっちも右派やったら、ウハウハになるな」
　客「政治とか社会問題は人それぞれ考え方や立場があるから話題にする時は慎重になるわ」
　私 「話題も色々やけどお客さんも色々やろね」
　客「酔っ払いとか上司と部下とかアベックとか」
　私 「アベックやったらキスする客もいてるん違うのん？」
　客「そうやねん。運転手がいてるのんを忘れて、ブチューとしてるわ」
　私 「カーセックスは？」
　客「さすがにそれは無いわ」
　私 「俺は渋滞で進めへん時、空を飛べると便利やろな思てタクの運転手に言うた事があったわ」
　客「その運転手、どない答えたん？」
　私 「飛んだらイイんですけど、空を飛ぶとメーターが上がらないんですよ、て言うたわ」
　客「ホンマやなあ。メーターが上がらんかったら商売が上がったりやなあ」

 

　一句：タク運ちゃん　世間と景気の　情報通
　謎かけ：タクシーとかけて、洋菓子店と解く。どちらも売上は(景気・ケーキ)次第です

野球少年

　高校生まで野球をしていたというD君は野球に関してはものすごく詳しい。

　客D「俺、野球少年やってん」
　私 「へえ、それで野球に関しては何でも詳しいんやなあ」
　客D「野球だけでなく、各球団の応援歌もよう知ってるねん」
　私 「俺は阪神ファンやから六甲おろししか知らんわ。よその球団のんまで覚えてないわ」
　客D「応援歌だけでなく野球アニメとか、とにかく野球に関する歌やったら大体知ってるわ」
　私 「あっ、思い出した。俺も六甲おろし以外の野球に関する歌、知ってるわ」
　客D「へえ、どんな歌？」
　私 「♪や～きゅうぅす～るなら、こういうぐわいにしやしゃんせ～」
　客D「それは野球拳。宴会芸やん」

 

　一句：子の野球　本によりも　親熱い
　謎かけ：野球少年とかけて、サラリーマンの悲哀と解く。どちらも(白球・薄給)を追いかけます

チャーム

　チャーム(小皿に入ったお菓子)にチチボウロとマシュマロを出した。

　客T「このおつまみ、柔らかいから食べやすいわ」
　客M「チャームか？マスターはお客さんの事を思って歯に優しいお菓子を買ってるんやで」
　私 「歯に優しいのんを選んでるのと違うで。歯茎で食べられるのんを選んでるねん」
　客M「ホンマやなあ、歯の無いお客さんが多いからなア」
　私 「お客さんの状況を推しはかる これをセンタクて言うんや」
　客M「それ、選択と違(ﾁｺﾞ)て忖度(ｿﾝﾀｸ)やん」
　私 「ああ、ソンタクかいな。三つの内中から一つを選ぶのもソンタクて言うんやろ？」
　客M「それは三択やんか！」
　客T「ちなみに、おつまみの事を何でチャームて言うのん？」
　私 「ベルの代わりに用いる鐘の音のような音を出す装置や」
　客T「それはチャイム！さっきママが言うたチャームの事を聞いたんや」
　客M「ちゃんとした語源は分からんけど、チャームは業界用語やねん」
　私 「一説によると、お菓子みたいな乾きもの→乾いたもの→かわいいもの→チャームて言うらしいねん」
　客T「成る程なあ。大阪らしいダジャレが込められてるんや」

 

　一句：年配客　多いとチャームに　気を遣う　
　謎かけ：チャームとかけて、嫁さんの顔をチラッと見ると説く。どちらも(つまみ・妻見)です

老眼

　Sさんが先月、肺ガンの手術をしたとか。

　私 「しばらく見(ﾒ)ーへんかったけどどないしてたん？」
　客S「先月、肺ガンの手術をしてん」
　私 「へえ、そうやったんかいな。知らんかったわ。とにかく無事に復帰して良かったね」
　客S「俺は良かったけど、野際陽子は肺腺ガンで亡くなったなア」
　私 「ハリセンボン？」
　客S「どんな耳してんねん。ハリセンボンと違う！肺腺ガンや」
　私 「野際陽子言うたら確か、千葉真一の元嫁…」
　客S「そう、キイハタンターで売れたんや」
　私 「キイハンター？ああ、知ってるわ。和歌山のあるトコやろ？」
　客S「それは紀伊半島や。キイハンターは丹波哲郎などの国際警察の秘密捜査グループが平和を脅かす悪と戦うドラマや」
　私 「ああ、そうやったなあ。因みにタバコを吸えへんかっても肺ガンになるらしいね」
　客S「そう、酒を飲めへんかっても肝臓ガンになるしなあ」
　私 「俺、健康に注意してるのにガンやねん」
　客S「何のガンや？」
　私 「老ガン…」
　客S「それは年をとるに従って近くの物が見えにくなる目の老化や」

 

　一句：文字見えず　眼鏡に頼る　老後かな
　謎かけ：老眼とかけて、年末と解く。どちらも(年のせい・年の瀬)です

種明かしシリーズ138 割り箸のハンドパワー

　第138回目のマジックは『割り箸のハンドパワー』です。今回は割り箸を使ったマジックです。タネも仕掛けもない普通の割り箸をハンドパワーで動かします。居酒屋などでは必ずあるので飲み会などで披露すると参加者に喜ばれます。

 

　Youtube＝https://youtu.be/fA1OL3yGICU

乳酸菌

　私は便秘症で以前は乳酸菌のサプリメントを飲んでいた。しかしそれも次第に効かなくなり最近は固形タイプの乳酸菌を食べている。

　客G「マスターは通じがあるか？」
　私 「俺は便秘症やから毎日乳酸菌を食べてるねん」
　客G「どんな乳酸菌を食べてるのん？」
　私 「R-1。ピン芸コンクールのR-1グランプリのR-1と違うで」
　客G「そんなん分かってるわい。R-1は明治ヨーグルトやろ」
　私 「R-1を食べてから、便秘は治ったわ」
　客G「乳酸菌やったら、雪印メグミルクのガセリ菌がエエで。俺、飲んでるねん」
　私 「どないエエのん？」
　客G「内臓脂肪を減らすねん。ガセリ菌飲んでから引き締まった気がするねん」
　私 「そのガセリの話、ガセネタと違うか」
　客G「いや、俺が体験してるやん。快調やで」
　私 「ガセリ菌は町内の一番偉い役員さんみたいなもんやな」
　客G「町内の一番偉い役員？」
　私 「町内会長…腸内快調！バンザーイ!」
　客G「喜んでる場合と違うで。マスターはお腹が出てるので内臓脂肪を減らすガセリ菌に変えた方がエエで」
　私 「佐々木蔵之介主演の超高速！参勤交代か？」
　客G「超高速！参勤交代？」
　私 「超高速！参勤交代は新しいスタイルの参勤交代。ニュー参勤交代…、乳酸菌交代」
　客G「またダジャレかいな」

 

　一句：便秘症　乳酸菌で　快腸や
　謎かけ：乳酸菌とかけて、ミスター・マリックと解く。どちらも(腸の能力・超能力)をを高めます

芸は身を助ける

　今日はアジア系の2人が来店。片言の日本語で料金システムを聞いてから入店。セットの付き出しと一品と注文のビールを出した。
　何処の国の人かが分からない2人は聞きなれない外国語で熱く語り合っていたので、話しかけようにも中々話しかけづらかった。
　早い時間は私一人で、おっさん相手ではつまらないのでは？と思いながら暫らく2人の様子を見ていた。
　1人が灰皿を要求してタバコを吸いだしたので、ライターのロゴを注意深く観察したらハングル文字だった。
　2人の話の中に入って喜んでもらえる何かが無いかなあと思い巡らせていると、ある事が脳裏に浮かんだ。
　それは5年前に韓国のテレビ局が来て、私のスナック芸を撮った時のビデオである。
　早速、ビデオを探して店のテレビで放映した。
　韓国語のナレーションが流れたので、それを見た彼らは驚きと感激の表情を見せた。
　彼らはナレーションの通訳をしてくれたり、私は収録時のエピソードを話したりしたので心が打ち解けた。
　放映後はテレビで演じたスナック芸をナマで見せて欲しいとのリクエストに応えた。
　そのスナック芸をスマホの動画に収めたり、私と一緒に写メを撮ったりと、楽しいひと時を提供できた。
　今日は諺の『芸は身を助ける』を体現した。
　KBSテレビ(韓国)⇒https://www.youtube.com/watch?v=3h1_E3nSR20

小説家

　深夜にロン毛で年配の一見さんが入店。

　私　　「初めてですね。仕事は何をしてはるの？」
　一見客「何と思う？当ててみて」
　私　　「ぱっと見ぃでは、絵描き(画家)かなあ」
　一見客「私の風貌を見て絵描きは時々言われるけど、違うで」
　私　　「ほんだら物書きかなあ」
　一見客「マスターは客商売で色々な人と接してるだけに、イイとこを突くね」
　私　　「毎日、日記を書いてるのでは？」
　一見客「面白い事を言うねえ。確かに毎日日記は書いてるけど、実は定年後の仕事に小説家を目指してるねん」
　私　　「なる程なあ。小説家に見えたわ。因みに趣味は？」
　一見客「人間ウォッチング」
　私　　「ああ、小説の登場人物を描くのに色々な人を観察するのは必要やなあ」
　一見客「そうやねん。電車なんかに乗ってても色んな人を観察してるねん」
　私　　「電車の中でも人間ウォッチング、出来るなあ」
　一見客「十人十色の人生があり、それぞれの行動や、何を考えてるのかを考えるだけでも面白いで」
　私　　「お客さんはよう喋るので、小説家の前に饒舌家(ｼﾞｮｳｾﾞﾂｶ)やなあ」
　一見客「それだけ言葉を知ってるて事や。小説家を目指すのには言葉を沢山知っとかんなアカンからなア」
　私　　「確かに！小説家を目指すだけに、ようノベル(述べる)わ」
※饒舌家＝よく喋る人
※ノベル(novel)＝小説
　一句：小説は　登場人物　鍵になる
　謎かけ：小説とかけて、真面目な旦那さんと解く。どちらも(過程・家庭)が大事です

藤井四段

　デビュー以来負け知らずの将棋の最年少棋士、藤井聡太四段が公式戦28連勝を果たし、30年ぶりに歴代1位の連勝記録に並んだ。

　私 「藤井聡太、28連勝したね」
　客K「すごいなあ、中学2年生やで」
　私 「俺、中学生の頃云うたら平々凡々と過ごしてたわ」
　客K「今でも平々凡々やん」
　私 「確かに…」
　客K「歴代1位の連勝記録に並んだけど、次に勝ったら単独首位やで」
　私 「次の対局で負けたら相手は称賛されるか叩かれるのか…。どっちかやね」
　客K「どっちにしても名前は残るで」
　私 「ホンマやなあ」
　客K「次に藤井聡太が勝ったら、お祭り騒ぎになるで」
　私 「新記録祝いに俺とこで飲み放題でもしよかな」
　客K「店のタイガースやから阪神の優勝やったら分かるけど、将棋はこの店には関係ない。誰も来(ｹ)ーへんで」
　私 「そうかいな。それはそうと30連勝したら国民栄誉賞モンやで」
　客K「ほんだら40連勝したら人間国宝やなあ」
　私 「人間国宝やったら俺と同じになるなあ」
　客K「マスターのんは“となりの人間国宝”。関西ローカルのテレビ局のおちゃらけやん」
　私 「おちゃらけで悪かったなあ」
　客K「因みに藤井聡太の活躍のおかげで、将棋のファンが増えたとか」
　私 「1番喜んでるのは将棋連盟やなあ」
　客K「ホンマやで」
　私 「それはそうと藤井壮太は14歳ながら落ち着いててプレッシャーに強いなあ」
　客K「俺と一緒やわ」
　私 「Kさんはプレッシャーに強いのんと違(ﾁｺﾞ)て、鈍感なだけやん」
　客K「それを言われると返す言葉が無いわ」

 

　一句：藤井四段　連勝記録が　気にかかる
　謎かけ：藤井四段とかけて、地震と解く。どちらも(天才・天災)です

九九

　お客のOさんが来た。

　私 「いらっしゃい。飲み物は何しましょ？」
　客O「ウイスキーがエエなあ」
　私 「ウイスキーは水割り？それともロック？」
　客O「ロック」
　私 「ロックか？ロック54」　
　客O「九九かいな。6の段でかましてきたな。六イチが6、六ニ…」
　私 「六ニが分からんのかいな。九九はロクニ出けへんねんなあ」
　客O「九九は長いこと使えへんから直ぐに出けへんねん。イチの段やったら直ぐに出てくるわ」
　私 「そんなん誰でも出来るわ。難しいのんはサンの段や」
　客O「何で三の段が難しいのん？」
　私 「やりくりサンダンて言うやん」
　客O「それは九九の三の段と違う。やりくり算段と言う慣用句や」
　私 「ああ、慣用句かいな。やりくり算段、カキ8年みたいな？」
　客O「それ、モモクリ三年カキ八年や。算段と違(ﾁｺﾞ)て三年や」
　私 「合(ｵ)うてると思たけど、間違(ﾏﾁｺﾞ)うてばっかりやなあ。サンネン無念」
　客O「残念無念やろ。とことんボケるなあ」
　私 「九九には四の段の36と八の段の72するわ」
　客O「何、それ？」
　私 「36はシク36、72はハック72。シク、ハックするわ」
　客O「マスターのボケに、こっちが四苦八苦するわ」

 

　一句：老いてなお　九九を唱えて　ボケ防止
　謎かけ：九九とかけまして、骨盤が広い女性と解く。どちらも(暗算・安産)が容易になります