コブクロの蕾

　お客さんが長々とカラオケを唄った。
　
　私　「長い曲やなあ」
　客W「メドレーやから長いねん」
　私　「誰のメドレー？」
　客W「コブクロや」
　私　「テブクロ？寒いから要るよな」
　客W「誰がデブクロやねん、コブクロや！」
　私　「W君はコブクロというよりもコブトリやなあ」
　客W「小ブトリと違う、大ブトリや！ほっといてんか」
　私　「それで、ラストの曲は何？」
　客W「“蕾”や」
　私　「“蕾”か、エエやん。ツボミ(ツボに)はまったわ」
　ママ「もう一つやな。修行が足れへんな。マスターもまだ蕾やわ」
　客W「いや、マスターはとうにしぼんでるから“シボミ”やで」

　一句：蕾にも　いつかは来ます　しぼむ時

阿吽の呼吸

　私と同じ年の常連客とジョークを言い合っていたら、横から別のお客さんが話しかけてきた。

　お客「あんたら、面白いなあ。息がピッタリやなあ」
　私　「俺らは気があうんや。あうん(阿吽)の呼吸や」
　お客「あぁ、“山”と言えば“川”か？」
　私　「それは赤穂浪士の合言葉や。阿吽の呼吸とはちと違う」
　お客「例えば、どんなんや？」
　私　「ツーといえばカーや」
　お客「ああ、ハーといえばゲーか？」
　私　「誰がハゲやねん」

　一句：おっこるで～　ハゲを出すなよ　引き合いに

エロ詩吟

　今、エロ詩吟が面白いらしい。アベックのお客さんに尋ねてみた。

　私　　「エロ詩吟て知ってるか?」
　男性客「知ってるで。この間、初めて見たけどエッチなネタばっかりやなあ」
　女性客「私、純情やから(下ネタの)意味分からんわ」
　私　　「そうや、俺も分かれへん」
　男性客「何でやねん、エエおっさんが何をとぼけた事を言うてんねん」
　私　　「すまんのう。俺、エロ・ネタ作れるわ」
　女性客「どんなん？」
　私　　「あんたらの行動をそのまま書いたらエエねん」

　一句：吟じます　エロい生活　ネタにして

テレビ出演

　初めて来た女性のお客さんが私を見たことがあると言った。

　お客「ひょっとしたら、以前にNHKののど自慢に出てはれへんかった？」
　私　「ああ、堺市民会館とNHKホールに出たで」
　お客「やっぱり。似てると思てたわ。市民会館で優勝しはったね。見ましたよ」
　私　「あ、そう、見てたの？」
　お客「私の妹も予選に出たので見ました。あの時唄いはった“Jupiter”は難しいですね」
　私　「音域が広いからなあ」
　お客「低音がよう出てはったやん」
　私　「低能の魅力…」
　ママ「それ、低音の魅力、フランク永井やろ」
　私　「フランク永井、ブランク長かったなあ。ブランク永井や。復活せんと亡くなったわ」
　ママ「アンタもブランク長いし、復活は無いやん」
　お客「それと『なるトモ』も出てはったね」
　私　「そうやけど、『なるトモ』も見てたん？」
　お客「もうテレビには出はれへんの？」
　私　「次に出る時はこれでや」と両手首をくっつけて手錠をかけられた格好する。
　お客「よう言いはるわ」
　私　「タクシー強盗が多いやろ」
　ママ「そろそろテレビに出るなあ」

　一句：喜べぬ　テレビ出演　逮捕劇

朝青龍優勝！

　朝青龍は圧倒的不利の戦前の予想を覆して、白鵬との優勝決定戦の末に初場所を制した。八百長疑惑、サボリ疑惑、副業、悪態など、今までの相撲界の常識から外れた言動が目立つが、これでは文句が言えない。

　私 「朝青龍、予想を覆して優勝したなあ」
　客A「日本人の力士が不甲斐ない、腹が立つ！」
　私 「日本の国技やと思うから(日本人の不甲斐なさに)腹が立つねん」
　客A「モンゴル勢が多いし、モンゴルの国技と勘違いするなあ」
　客B「国技と言わんとスポーツて言うたらええねん」
　私 「いや、いっその事、コントて言うたらええねん。ほんだら腹も立たんわ」
　客B「コントやったら八百長やっても、悪役が活躍しても誰も文句言わんしなあ」
　私 「それに副業やってもええし、悪態が返ってプロレスみたいに盛り上げる事にもなる」
　客A「ハッスルなんかはプロレスと言うよりコントや。それでもお客さんが入るし」
　私 「ハッスルのファンは試合を見に行くと言うより、吉本新喜劇にでも行く感覚やで」

　一句：国技館　両国花月に　名を変えよ

雲泥の差

まんが悪い時は重なるものである。
先週の日曜日は妻の誕生日。仕入れの後に足を伸ばしてご馳走を食べに行こうと思っていたが、車がバッテリー上がりで動かず。
JAF入会していないので、知り合いに頼みケーブルを繫いで充電しようと思った。しかし、バッテリーはトランクの中で立体駐車場の車は前向きなのでケーブルが届かない。
高島屋の往復はタクシーで行き、自宅から徒歩7分位のヨーカドーは歩きだ。仕入れの後、誕生日祝いにリーガロイヤル・ホテルの25階のレストランに行ったらラスト・オーダーが9時だからと断られた。仕方なく近くの居酒屋で用を済ませた。
「こんな誕生日、初めてや！」と妻は私に当たるし、車の対処法が気になるし、雨の中、重い仕入れの袋を持って歩いたりと、踏んだり蹴ったりの日曜日だった。
金曜日に車屋を呼んで新しいバッテリーを代えてもらった。
今日は2週間ぶりに車を動かした。墓参り、ホームセンター、ミドリ電化、ヨーカドー、レストランと、あちこち走り回り色々と用事をこなせた。先週とは雲泥の差の日曜日になった。

一句：カーライフ　あるとないでは　雲泥の差

アラカン

　今日のお客さんは50代後半だけど、ハイカラな言葉を知っている。
　
　客K「去年はアラフォーがよう言われたけど、今年はアラカンがよう言われる様になってる」
　私　「アツカン？寒い時は熱燗できゅーと一杯…」
　客K「熱燗と違うがな、アラカンや」　
　私　「ああ、アラカンか。嵐勘十郎の事か？」
　客K「そんな古い俳優、誰も知らんで」
　私　「誰も知らん？古い俳優やてKさん知ってるやん」
　客K「嵐勘(アラカン)は鞍馬天狗で、子役の杉作が美空ひばりやった。東映の時代劇や」
　私　「なんや、俺より詳しいやん。それに美空ひばりが子役いうたら相当に古いで」
　客K「古い映画の話はさておいて、アラカンはアラウンド還暦を縮めて言うんや」
　私　「Kさんやったら、アラ、チカンて言われたりして…」
　客K「何で俺が痴漢やね」
　私　「女、お嫌いですか？」
　客K「す、好きです」
　私　「ほら、みてみい。この女好きが」
　客K「女好きやいうても、痴漢はせーへんわ」
　私　「“Kさんの女好き＝痴漢”に置換(チカン)したんや」
※ハイカラ＝趣向が新しく気がきいていること。また、その人。

　一句：アラカンの　新語教える　ハイカラさん

じん麻疹

　お客のAさんが今日の一品のいり卵の中に入っている小エビを残した。

　私　「エビ、嫌いか？」
　客A「エビ食べたらじん麻疹出来るねん」
　客B「私、豚肉であたったことがあるわ」
　客A「俺、肉やったら牛肉であたった」
　私　「俺、イレブンピーエム(11PM)であたったわ」
　客A「イレブン・・・セブンイレブン？」
　私　「違う、イレブンピーエムや」
　客B「ああ、イレブンピーエムか。なんで11PMであたっったん？」
　私　「♪サバサバ、サバサバ～」
　客A「なんや、サバにあたったんかいな」
　私　「そうや、昔、サバ寿司食うてあたってん」
　客B「11PMはシャバシャバ、シャバシャバやで。(ギャグが)寒いわ」
　私　「♪サブサブ、サブサブ～」
　客B「マスターのしょうもないギャグで寒イボが出るわ」
　私　「俺のギャクにあたったかな？」
※11PMは1965年11月から24年5ヶ月続いた日本初の深夜のワイドショー番組でオープニングのテーマソングで♪シャバシャバ、シャバシャバと流していた。

　一句：へぼギャグで　拒絶反応　じん麻疹

お返し

　1ヶ月ぶりにお客のY子ちゃんが来た。

　私　「久しぶりやなあ。暫く見んかったけど、どうしてたん？」
　客Y「私、死んどった」
　私　「えっ、殺虫剤、まかれたんか?」
　客Y「そう、ゴキブリと間違われて…、なんでやねん！本当は風邪でひいててん」
　私　「そうか、今、流行ってるからな」
　客Y「マスターも気ぃつけや」
　私　「ありがとう、優しいなあY子ちゃんは」
　客Y「いや、頭が寒そうやから…」
　私　「そうや、ハゲが寒うて…、なんでやねん！きっちり返すなあ、Y子ちゃんは」

　一句：お返しは　相手の弱点　ギャグにして

丑年

　今日来たお客さん、60歳になり還暦を迎えたが元気だ。時々、朝の5時まで飲んで1時間程の睡眠だけで会社に行く。

　私　「この間の土曜日、朝まで飲んでたけど会社大丈夫やったか？」
　お客「あ～、いけたで。昼休みに30分ほど昼寝したけどな」
　私　「元気やなあ。丑年やから牛丼でも食べてパワーつけてるんか？」
　お客「そうや、還暦やけどモウれつに頑張るで～」
　私　「それでも日曜日はバタン、キューやろ」
　お客「日曜日の昼は競馬、競艇、パチンコで、夜は付き合いで飲みに行き忙しかったわ」
　私　「牛だけにスケジュールがギュウギュウやなあ。“飲む、打つ、かう”を実践してるがな」
　お客「いや、俺はアッチの方はダメやから女は買いに行かんで」
　私　「Ｔさんは干支がウシやろ。ウシは英語でCOW。そやから、飲む、打つ、COWやん」
　お客「また、マスターに一本とられたなあ」
　私　「ウ・シ・シ」

　一句：丑年は　牛丼食べて　モウれつに