気さく

　今日のお客さんは私と共通の知り合いのKさんの事を、気のおけない親しみやすい人だと褒めていた。

　お客「Kさんは気さくやね」
　私　「♪きさくは木を切る　ヘイヘイホ～　ヘイヘイホ～♪ 」
　お客「それ、(北島三郎の)与作や！」
　私　「与作は出来のええ曲やから佳作や。作曲の先生が亡くなったら遺作や」
　お客「マスター、もう一つやで。駄作や」

　一句：気のおけない　客と語れば　夜も長し

アンチ巨人

　今日のお客さんはアンチ巨人。巨人は阪神との13ゲーム差をひっくり返してリーグ優勝をした。彼は賭けに負けたのでより一層頭にきている。

　ママ「いよいよ日本シリーズやなあ。巨人どうやろなあ」
　客A「エライ目におうたらええねん」
　私　「なんやそれ、よっぽど頭にきてるんやなあ」
　客A「監督が監督だけに、腹立つ、のり(原辰徳)」
　ママ「でも原監督、頑張ってるやん」
　私　「頑張ってるのはフロント。豊富な資金で人を集めて、お金で勝ったみたいなもんや」
　客A「そう！四番打者、エース、抑えと一度にエエのんばっかりとって。勝って当然や」
　ママ「阪神も最近、その傾向があるで」
　客A「でも、あそこまでは(一度に3名ものスター選手を獲得)無いで」
　私　「阪神は資金力で負けた。世の中はお金を持ってるモンが勝ちや。資本主義社会やからな」

　一句：スポーツを　お金で勝ち負け　淋しいね

オレスカバンド

　オレスカバンド・・・今は亡き娘と同じ中学校の出身と聞き興味を持った。そして昨日、録画していたテレビのドキュメント『オレスカバンド・全米46都市.2万7000km～19歳の夏』を見た。
　オレスカバンドはスカロックバンドとして2003年に結成。2006年にメジャーデビュー、2007年に全米デビュー、初のアメリカ・ツアーも大成功を収めた。2008年にはハリウッド映画に主演するなど大活躍をしている。
　今回見たのは19歳の女の子6人のメンバーが、カリフォルニアから始まる2ヶ月間のアメリカ一周『'08ワープド・ツアー』の記録。
　このツアーは世界100組以上のバンドが参加、日本人は初めてでたったの一組だった。機材設営から宣伝活動、CDの販売、リハーサル無しの一発勝負など過酷なイベントだ。
　この間、バスで寝泊まりし、自炊しながらの移動。機材のトラブル、戸惑い、葛藤、苛立ち、ヤジ、涙、笑い、自分探し、出会い、友情、感動など様々な出来事が凝縮した旅だった。
　彼女達の大阪弁での会話や中学校が映し出された時は娘がオーバーラップし、私は終始目を潤ませながら画面に見入った。
　また見知らぬ外国での若さで体当たりする姿、魂のこもった演奏は私の心を揺さぶり、言葉が通じなくても人々の心が繋がる音楽の素晴しさを思い知らされた。
　そして最後に、音楽大好きの娘もギターを習得したい言っていただけに、サポートしてやれなかったことが心に残った。

　一句：若い娘(コ)の　ドラマに感動　目が潤む

ヘビメタ

　お客さんとテレビ・ドラマの『ROOKIES』の話から、一人の男性客H君が主題歌、GReeeeNの『キセキ』を唄う事になった。この曲は音程がとても高いので苦しそうだ。

　女性客「高いなあ」
　私　　「いや、高ないで。全部一緒、1曲100円や」
　女性客「私が言うてるのはキー(音程)の事やん」
　私　　「キーかいな。キーつけへんかったわ」
　女性客「マスターは唄える？」
　私　 「この曲は俺にはキツイわ。唄えたら“キセキ”や」
　女性客「と言うことは、H君、すごいやん」
　私　　「H君は昔ヘビメタのボーカルやっててん」
　女性客「それで、うまいんや」
　私　　「A子ちゃんも負けてないで」
　女性客「私、ヘビメタなんかやってないよ」
　私　　「ヘビーメタボやんか。めっちゃ肥えて…」

　一句：ヘビメタで　ハードに踊り　脱メタボ

因果な商売

　日曜日はたいてい妻と近くのイトーヨーカドーに行く。そして妻は店の一品材料と家の食材を買い、私は一品以外の店の仕入れをする。
　妻は品質、賞味期限、産地を念入りに吟味するので時間がかかる。私は待ち切れないので妻とは別行動だ。
　時々、仕入れの最中にお客さんと出会うことがある。そして必ず「ママは？」と尋ねられる。
　そんな時は大体、「居てへんね。お風呂に行ってから3年も帰ってけーへんねん」とギャグを言う。
　お客さんは「えらい長い風呂やなあ。めちゃめちゃふやけてるで」と返してくる。
　また、
　お客「可哀想に…」
　私「ホンマ、俺、独りは寂しいわ」
　お客「いや、ママが可哀想やて言うてん。よっぽど辛かったんやで」
　私「このハゲを見てみ。俺の方苦労してるんやで」
　お客「ママは痩せてガリガリやん。そっちの方が苦労してるように見えるで」
　など即興漫才をする。
　しかし、何度も同じギャグでは芸がないので最近は「ママは？」と尋ねられたら、「どこやろな。ママは彼氏と一緒やから、俺、気ぃつこうて別行動やねん」ととぼける。
　帰宅後、妻に「休みの日まで気ぃつこうてギャグを言わなあかん。因果な商売やなあ」と言うと「あんたは“地”やんか」と軽くいなされた。

　一句：客の顔　見れば出てくる　ついギャグが

ギャグの応酬

　大阪は昔から八百八橋といわれるくらい川が多く水の都と言われているが、今ではお笑いも大阪のシンボル。ギャグが出来なければ大阪人になれない。
　今日の年配のお客さんは生粋の大阪人、ヒトを笑わせるのが好きである。

　ママ「お久しぶり、元気やった？」
　客A「ゲンキやったけど、ゲンキン(現金)ないで」
　私　「ゲンキン(現金)ないけど、インキン(陰金)もってるのと違うの」
　客A「インキン(慇懃)無礼な！」
　ママ「笑えよ、笑うとこはココしかないで」
　客A「それはそうと、明日ゴルフに行くけど、晴れるかなあ？」
　私　「どうやろね、天気予報見てないわ」
　ママ「マスターの頭のテッペンは年中、晴れやけど…」
　客A「あれ、何やったかな。天気予報でよう出てくる言葉。ほれ、あれだす」
　私　「そうや、それだす！」
　客A「まだ何も名前言うてないやんか」
　私　「そうやったな。ほんだらアディダス！」
　客A「それ、スポーツ用品メーカーや。えーと、アデランス？」
　私　「ヒトの頭見て言わんといてんか」
　客A「あ、思い出したわ、アメダスや」
　ママ「雨のネタが出た事やし、ここらで水に流しましょ」
　※陰金＝またぐら・陰部に生じる、紅色の湿疹（シツシン）。

　一句：大阪は　水と笑いの　都なり

阪神・真弓新監督

　阪神は岡田監督の後任にOBの真弓明信氏が就任した。
　彼は1978年にクラウンから阪神に移籍。内外野のどこでも守れるユーティリティー・プレーヤーとしてレギュラーに定着。
　移籍1年目にサイクルヒットを、2年目には1番打者ながら29本塁打を放ち、「史上最強の一番打者」「脅威の核弾頭」と呼ばれるようになった。
　5年目の1983年には打率.353、23本塁打、77打点で首位打者のタイトルを獲得。7年目には打率.322、34本塁打、84打点と自己最高の成績を記録し阪神のリーグ優勝に寄与。
　1994年には代打でシーズン30打点という日本記録を樹立するなど、現役時代は勝負強さ、器用な守備と俊足を生かした走塁でチームに貢献していた。
　その幅広い経験を活かして今度は指揮者としてV奪回を狙って欲しい。

　一句：新監督　今度こそはと　夢託す

酔っ払い

　遅くまで営業しているので酔って寝るお客さんがいる。イビキをかく人、舟をこいでカツラが外れた人、入れ歯が外れた人、椅子から落ちた人、トイレで逆さになって寝たり、寝ぼけてトイレの扉を出口と間違えたり、と色々いる。
　店の外でも路上で寝て財布やカバンを盗られたり、電車の中で寝てしまい終着駅の和歌山まで行った話しも聞く。
　この前のお客さんは、友人に家の前まで送り届けてもらったが、かなり酔っていたので家の前で寝てしまったらしい。そしてそれを見た近所の人が倒れていると思い救急車を呼んだとか。
　今日のお客さんは酔っ払って閉店時に起こしてもなかなか起きない。連れのお客Aさんは帰るに帰れない。

　私 「こんだけ酔うてしもたら火事になっても起けへんやろなあ」
　客A「ほんま、危ないな」
　私 「アルコールたっぷりやからよう燃えるで」
　客A「ええ味もついてるかも知れんな」
　私 「焼き鳥は酒のアテになるけど、焼き人はアテにはならんわ」
　
　一句：酔って寝て　火事に気づかず　焼き人に

影武者

　インドのロケット打ち上げ成功の話題からミサイルの話になり、そこから北朝鮮の話が出た。そして金正日(キム・ジョンイル)総書記の“影武者”の話になった。

　客A「今の重病と言われてる金正日は影武者らしいで」
　私　「朝鮮人民軍影武者部隊というのがあって、金正日の影武者が数人いてるとか」
　客B「雑誌で読んだけど金正日は5年前に死亡してて、今のは影武者やと書いてた」
　ママ「今どき、影武者ていてんのかな？」
　私　「うん、いてるで。俺はハゲ武者や」
　客A・B「・・・」
　笑わせたつもりが無視された。
　ママ「ネタがネタだけにスベッたなあ」

　一句：ハゲネタで　滑って転べど　ケガは無し

酒飲み

　今日のお客さんが病院に行ったら「塩分を控えるように」と言われたので、塩分を控えたとか。

　私　「医者に言われたのは、それだけか？」
　お客「それと食事制限を言われたので、油っ濃いのをやめた」
　私　「そうそう、健康の為には医者の言う通りにせんなアカン」
　お客「次に煙草がアカンと言われたので煙草もやめた」
　私　「エライ！相当の決心やな。それでもお酒をやめやなアカンて言われたら？」
　お客「その時は人間をやめる」

　一句：酒飲みに　お酒を取ったら　抜け殻に