シートベルト

　今日の女性客R子ちゃんは、先日、シートベルトを掛けずに運転してる時に検問で止められたとか。

　R子「妊婦や言うたら助かったワ」
　私 「へえ、肥えてるから妊娠で通用するんやなあ。でもシートベルト掛けられるか？」
　R子「ベルトは何ぼでも伸びるから掛けられるよー。私、その時に妊娠6カ月やて言うてん」
　私 「R子ちゃんやったら12カ月て言うてもいけるで」
　R子「妊娠12カ月は無い！」

　一句：シートベルト　みんなを守る　命綱

知的に

　今日来たお客さんのメガネ姿を初めて見た。

　私　「目、悪なったん？」
　お客「いや、前から悪かってん。今まではコンタクトしててん」
　私　「今まで遊び人みたいやったけど、メガネかけたら知的に見えるわ」
　お客「そうか、嬉しいこと言うてくれるやん」
　私　「まるでドクターやな」
　お客「そんなん、初めて言われたわ」
　私　「言い間違(マチゴ)うた、ドク(毒)ダーや」

　一句：メガネかけ　知的に変身　あら、ちてき(素敵)

出世払い

　二人の男性客さんが来た。彼らは同じ会社の先輩と後輩。飲んで歌ってさてお勘定…

　後輩B「持ち合わせないわ。先輩、出しといて」
　先輩A「ほな、貸しとくわ。それで、いつ返してくれるねん？」
　後輩B「出世払いにしといて」
　私　 「という事は、払われへんて言うこと？」
　ママ 「出世、出来へんて事か？」
　先輩A「ほんだら不渡りになるがな」
　私　 「B君は奢ってもろては不渡り出してんねやろ。不渡り上手…いや、世渡り上手や」
　ママ 「B君はお金残すなあ」
　私　 「その代わり、友を減らすで」

　一句：いつになる？　アテにならない　出世払い

ニッポン男児

　若くして結婚をして十数年になるというお客さんが来た。考えは古そうだが、しっかりした好青年だ。

　私　「へえ、結婚して十数年以上になるの？浮気したことあるか？」
　お客「いや、したことは無いで。嫁さんイッポンや」
　私　「えらい！さすが昔気質(カタギ)のニッポン男児！」
　お客「僕は(嫁)イッポン男児や」
　私　「ウマイ！イッポン取られたな」

　一句：ニッポン男児　家族守ると　心意気

布製ガムテープ

　3週間ほど前、老車ベンツのグローブボックス(助手席の前部にある、一般的に車検証や取扱説明書等を入れるスペース)のフタのキャッチが壊れて閉まらなくなった。
　掛かりつけの車屋さんに問い合わせると修理代が車が車だけに1万円近くかかるとのこと。グローブボックスのフタで1万円は勿体ない。暫くはフタをガムテープで留めていたがティッシュボックスとかが入れられないので不便を感じた。
　「修理を出す前にいっぺん自分で直せるかやってみよ」とグローブボックスのフタをバラした。フタは二重になっていて外すとキャッチの取り付け部分が折れていた。瞬間接着剤で付けたが材質の相性が悪いのか上手くくっ付かない。
　そこでガムテープで留めたり棒状に丸めて内パネルと外パネルの間にピッチリかませてネジで両パネルを閉じた。試しにグローブボックスのフタの開閉を何度かしたら上手くイケた。
　そういえば先月、ガムテープで洗濯機の脱水不能を直したが、未だに機嫌よく洗濯物を脱水してくれている。貼ったり留めたり巻いたりと、ガムテープは私の生活シーンでの便利グッズだ。

　一句：嫁はんの　口にも貼りたい　ガムテープ

ノリノリの曲

　今日のお客さん達はテンポのいい曲で盛り上がっている。その流れを止めない様な曲をお客のOさんが探し始めた。

　客O「盛り上がる曲、何がエエ？」
　私　「アゲアゲは？」
　客O「ハゲ、ハゲ？マスターのテーマソングか？」
　私　「DJ-OZMAのアゲアゲや！」
　客O「DJ-OZMA？若すぎるわ。俺、唄われへん」
　私　「アンルイスの“あゝ無情”は？みんな、間奏の時に合いの手を入れてくれるで」
　客O「ちょっと古いなあ。合いの手が入る曲やったら“星降る街角”の方がエエわ」
　私　「よけい古いやん！」

　一句：ノリノリで　イケイケゴーゴー　大フィーバー

カー・マニア

　私の古い友人で車好きのT君が私のカー・マニアぶりを、彼が連れて来た友達S君に説明していた。

　客T「ここのマスター、昔、めっちゃカー・マニアやってんで」
　客S「へえ、どんな車、乗ってたん？」
　私 「だいぶ乗り換えたから一言で言われへんわ」
　客T「昔、フェアレディとかMGBなんかのスポーツカーも乗っててんで」
　客S「へえ、よっぽど車が好きやねんなあ」
　私 「若い頃は、給料のほとんどを車につぎ込んでたわ」
　客S「今、何の車に乗ってるの？」
　私 「ヒノクルマや」
　客S「えっ、日野の車か？」
　私 「違う、店が暇で暇で、借金だらけで…、家計が火の車や」
　客T「マスター、足腰が悪い言うてたからそのうち、車イスが愛車になったりして…」
　
　一句：カー・マニア　三度の飯より　車好き

ヒッチハイク

　若い頃、ヒッチハイクの外人を乗せた事があると、女性客が言った。
　
　A子「免許取りたての頃、ヒッチハイクの外人を乗せたわ」
　私　「言葉通じたんかいな？」
　A子「身振り手振りでなんとか…」
　私　「車を運転してて、身振り手振りは危ないで」
　A子「身振り手振りは相手や。行き先はキャンプ場やった」
　私　「キャンプ場いうたら辺ぴなトコと違うの、大丈夫やったか？」
　B子「私ら怖いわ」
　私　「ふつう、襲われると思うわなあ」
　A子「そんなもん、襲い返すわ」
　私　「どっちにしてもスル事は一緒や、男はトクやん」

　一句：倹約か　ヒッチハイクで　旅をする

初デート

　今日のお客さんが、好きな女性と初めてデートをした時に雨に見舞われた話をした。
　たまたまホテルの前を歩いていたのだが、彼が「入る？」と言ったら「いやらし～い！」と彼女に言われたとか。
　彼は「違うよ、傘に入る？て言うたんやで」ととっさに答えたが変な空気が漂い、後は駅まで送ってそこで別れてそれ以来連絡が無いとか。
　私は「いつもエッチなことばっかり考えてるから、勘違いをされるねん」と諭した。
　以前に彼の『脳内メーカー』をしたら脳内のほとんどが“H”で真ん中に一つだけ“愛”があった。
　『脳内メーカー』は遊び感覚の占いだが、彼に関してはピッタシカンカンだった。

　一句：初デート　誤解招いて　ミス招く

けったいな病院

　お客のM君は半年前に交通事故に遭い、リハビリで大阪市内の病院に長い間通院していたが、その通院も今日で終わったとか。

　客M「俺が通てた病院、けったいやったわ」
　私 「どない、けったいやったん？」
　客M「受付で『もう診療終わりました』言うたら『おめでとう、また来てね』て言われたわ」
　私 「へえ『また来てね』て、けったいな事言うなあ。誰が好き好んでまた病院行くねん」
　客M「ホンマやで、もう治ってるのに『まだ来(コ)んなアカン』て言うてたもんなあ」
　私 「患者と言うより、金づるのお客さんと思てんのと違うか」
　客M「ホンマ、けったいな病院やったわ。いつもくれる湿布薬は封が開いてたし」
　私 「なんや使いさしかいな。まあ人間も使い古しやから、それに合わせてくれたんかなあ」
　客M「なんでやねん！俺が古かろうが若かろうが、薬はサラをくれんなアカンがな」
　私 「サラそうやなあ」
　客M「最後要らん言うたら、封を開けてない湿布薬6袋とチューブ入りの塗り薬3個くれたわ」
　私 「それ、くれたんと違うで。医者は保険請求するから売上になるんや」
　客M「それと、看護婦(2人)より事務員(4人)の方が多かったわ」
　私 「診療より、きっと保険請求に力を入れてるんやで」
　客M「リハビリの時、マッサージしながら居眠りしてるマッサージ師もおったし…」
　私 「最悪やなあ。そんな病院、二度と行きたないわなあ」

　一句：もう二度と　けったいな病院　行きたくない