未知の南海トラフ地震 7世紀と9世紀の津波跡 静岡県で発見
今後30年以内に70〜80%の高い確率で起こりうる南海トラフ地震について、産業総合研究所と静岡県立磐田南高校のチームは、震源域の東側にあたる静岡県西部で、7世紀末と9世紀末に未知の南海トラフ地震が発生していたことを裏付ける津波の痕跡を発見した。
南海地震と東海地震とは
南海トラフで過去に起こった大地震を知るためには、これまで古文書など歴史記録にもとづいて調査が行われてきたが、現存する史料には時代や地域ごとに質や量の面で差があり、解明されていない空白の期間がある。
また、一言で南海トラフ地震といっても、その震源域や揺れの範囲はさまざまに異なるため、かつては紀伊半島の東と西で、東海地震と南海地震というふうに分けて考えていたが、現在はフィリピン海プレートが日本列島の下に沈み込む南海トラフ全体を1つの領域としてとらえる考え方が主流になっている。
こうしたなか、産総研の藤原治副研究部門長と磐田南高校の青島晃教諭のチームは、静岡県西部を流れる太田川で、河川の拡幅工事によって出現した長さ1キロ、深さ4メートルに及ぶ地層断面に着目し、津波堆積物の調査を実施。