冷凍食品の再凍結は絶対NG。マズくなる上に、コワ~い理由も…
ずっと家にいると、意外と面倒なのが食事の用意。仕事をしながら三食自炊はさすがに厳しいですよね……。
そんなとき手軽で便利なのが「冷凍食品」。中華やイタリアン、パンやスイーツなど、幅広いジャンルのメニューをチンするだけで簡単に食べることができます。
忙しい人の味方になる冷凍食品ですが、適当に扱っていると「あれ、失敗?」なんて残念な状態になることも。そこで冷凍食品ジャーナリストの山本純子さんに、知っていると得する「冷凍食品の正しい扱い方」について伺いました。
◆再凍結は絶対NG! 買ったら家までしっかり凍結状態を保つべし!
まず、冷凍食品を扱う上で絶対的に重要なのが「コールドチェーン」を途切れさせないことだと山本さんは解説します。
山本さん(以下、山本)「一度解凍された冷凍食品を再凍結するのは厳禁。味や栄養が損なわれ、元の品質には戻りません。また、温度が上昇した状態になれば細菌数が上昇するリスクもありますので、売り場の冷凍庫からから家の冷凍庫に入れるまで、できるだけ低温を保ち『コールドチェーン』が途切れないようにしましょう」
山本さんおすすめの買い方は、レジに行く直前に手に取り、購入したらマイ保冷バッグに入れること。特に暑い季節は、保冷バッグの中に保冷剤やドライアイス、氷などを入れるようにしましょう。7月1日からプラスチック製買物袋の有料化が開始になることもあり、この機会にエコバッグと合わせて準備してみては?
◆買ったら3カ月以内に使う! スピーディーな出し入れを心掛けて
では次に、家の冷凍庫での保管の仕方。
山本「冷凍庫のドアを開けたときに温度の高い外気が入り込まないよう、庫内は冷凍食品や氷で隙間なく多めに詰めておきましょう。冷蔵庫とは逆で冷凍庫はぎっしり詰めた方がよく冷えます」
さらに、庫内の温度が下がると食材の鮮度が下がってしまうので、できるだけすばやく出し入れができるよう、庫内は種類や用途別に場所を決めておくのがコツなのだとか。
ちなみに、冷凍食品の賞味期限ってどのくらいなのでしょうか?
山本「食品や保存温度帯によって違いがありますが、一般的に『-18度以下の温度帯で保管して約1~2年※』と言われています。ただ、家庭の冷凍庫は扉の開け閉めが多いので、-18度以下を保てていない可能性が高いです。購入後は3カ月以内を目安にいただくと安心でしょう」
※日本の食品衛生法では、冷凍食品の保存温度は-15℃以下ですが、国際的な基準に合わせて業界自主基準を-18℃以下としています。
冷凍食品とはいえ、いつまでも食べられるものではないのですね……!(当たり前か)
続いて山本さんに「冷凍食品の失敗あるある」についても伺ってみました。「冷凍食品を調理したら出来栄えが思っていた状態と違う……」なんて経験はありませんか? ここからはQ&A方式でお届けします。
◆Q1. 冷凍うどんの一部が白く固くなってしまいました……
A1.「乾燥や酸化による品質低下です」(山本、以下同)
ところどころ白く固くなってしまった冷凍うどん。食べられないことはないものの、この状態では正直あまりおいしくない……。
山本「冷凍庫内の温度変化が頻繁(ひんぱん)に起こると、冷凍食品の水分が抜け、空気が入って酸化。いわゆる『冷凍焼け』の状態で、品質が低下してしまいます。氷が痩せて細くなっていくのと同じように、固体から気体になる昇華の現象が冷凍食品にも起こるのです」
保管のコツは「空気に触れないようしっかり密閉」、そしてなるべく早く食べることが、おいしくいただくポイントだそうです。
◆Q2. 冷凍野菜を使うと、シャキッとせず柔らかくなります。
A2.「加熱しすぎている可能性があります」
冷凍の野菜を使うと、なんとなくヘナヘナで柔らかすぎたり、水っぽくなったりしがちに。
山本「冷凍野菜の多くは下茹でをしてから急速凍結します。生鮮品の加熱を10としたら、冷凍野菜はすでに8くらいまで済んでいる状態。つまり、残り“2”の分だけ加熱すればいいのです」
加熱時間を短くすれば、ほうれん草もシャキッとするそう。短い時間で徐々に加熱していくと安心です。
◆Q3. 冷凍むきえびが霜だらけで、調理すると水っぽくなります。
A3.「霜ではなくわざとつけている氷の膜。水をかけて取り除きましょう」
冷凍魚介類をそのまま調理すると、水っぽくなりますよね。
山本「霜に見える氷は『グレーズ』といって、乾燥や酸化を防ぐためのもの。水やお湯をかけて取り除き、表面の水分をキッチンペーパーなどでしっかり拭いてから調理しましょう。このひと手間で、プリップリのえび料理ができますよ」
あの氷はわざとだったのですね! 今度からしっかり取ってプリプリのえびの食感を楽しみます……!
緊急事態宣言は解除されましたが、まだしばらく続きそうな「STAY HOME」の生活。本格的に暑い季節になる前に、まずは保冷バッグをゲットして、冷凍食品と上手に付き合うための準備をしておきましょう!