関東で相次ぐ地震は「首都直下地震の予兆」と専門家 北海道は3.11超えリスクも
名古屋大学地震火山研究センターの山岡耕春教授はそう指摘する。群発地震とは、ある地域で小さな地震が一定期間集中して起こることをいう。北アルプスの地域は東から太平洋プレートが、南からフィリピン海プレートが動いてきて、その力がぶつかる場所だ。ひずみが生じやすく、たびたび地震が起きる。
「北アルプスは今も山が隆起している。今後も小規模な地震が続くが、中にはマグニチュード(M)5.5~5.9程度の中規模な地震が起こる。家の倒壊の心配はないが、落石や土砂崩れに気をつける必要がある」
東日本大震災によってひずみが解消された場所もある。一方で、日本にある4枚のプレート(太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレート)のバランスが崩れて、新たなひずみがたまってきているという指摘もある。北アルプスの群発地震は、そのサインと見るべきだということだ。 専門家が注目する地震をまとめた。関心が集まるのは首都圏。ランキングには茨城県と千葉県の自治体が多数入っている。ランキングにはないが、東京湾でも小さな地震が複数発生している。
「茨城県南部、千葉県、東京湾の地震は、首都直下地震の予兆と見たほうが良い」
こう語るのは立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)だ。首都圏は北米プレートの下に太平洋プレート、その下にフィリピン海プレートが入り込む場所だ。
「東京湾の入り口あたりでフィリピン海プレートが北米プレートの下に潜り込んでいる。ここで北米プレートが跳ね上がれば、津波を伴う大地震が起きる。埋め立て地や地下街は危険だ。この地震は1923年の関東大震災と同じで、東京だけではなく、横浜や房総半島の南まで甚大な被害を出すだろう」
また、三つのプレートの間や内部で巨大地震を起こす可能性がある。そうなれば、プレート間のバランスが崩れ、大地震が連発して首都を襲うこともある。
ランキングには、西日本の自治体はほとんど入らなかった。だが、高橋特任教授は「南海トラフ地震の兆候はある」と指摘する。注目するのはフィリピン海プレート沿いの地震や火山活動だ。和歌山県の西にある紀伊水道、大分県の東にある豊後水道、宮崎県の東にある日向灘で地震が目立っているという。ランキングに入った十島村(鹿児島県)もプレートが原因だと見る。桜島(鹿児島県)や阿蘇山(熊本県)などでも火山活動が活発だ。
さらに、奄美大島(鹿児島県)、沖縄本島、宮古島、石垣島(以上沖縄県)でも地震が目立っているという。近年の研究では琉球海溝で巨大地震が起こり、大津波が島を襲ったことがわかってきている。海底で巨大な地滑りが起きたという指摘もある。
「政府は伊豆半島(静岡県)の西側から四国までを南海トラフ地震としているが、首都圏の地震と同じフィリピン海プレートによる地震なので、区別しないほうがいい。首都圏から沖縄まで連動する大地震『スーパー南海地震』が起こる可能性もある」(高橋特任教授)
北海道や東北地方でもリスクはある。ランキングでは石巻市(宮城県)が9位、根室市(北海道)が36位と上位に入っている。この地域で懸念されているのは、北海道や東北地方北部を震源とする巨大地震だ。
北海道沖の千島海溝でM9.3、東北沖の日本海溝でM9.1が想定されている。これはM9の東日本大震災を超える規模だ。津波も30メートル近いものが各地で想定されている。内閣府は「発生が切迫している」と警戒する。名古屋大の山岡教授はこう語る。
「この地域では500年に1回、M9クラスが起きている。注意が必要だ。東北な地震が起こる懸念も残っている。引き続き警戒をしておくべきだ」