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なおしのお薦め本(22)老い方、六輔の。 a

 クリエイト速読スクール文演第1期生の小川なおしさんから、お薦め本が届いています。文字数(行数)がgooブログの1回の量を超えますので、2回に分けて投稿します。

 老い方、六輔の。

       永 六輔 構成=矢崎 泰久

    永六輔の長年の友人、矢崎泰久が「人生」「言葉」「旅」「医療」「孤独」について問いを出し、それに永さんが答えていくという本です。

 「永六輔? ああ知ってるよ」と思った方、私もそう思いました。むかし見たテレビのイメージで、永六輔という人を知っているつもりになっていたのです。でも、この本を読んでみたら、驚くことがたくさんありました。それで紹介したくなったわけです。

 まずは「人生」について。引用します。

 「心の余裕を取り戻すのは、実は、簡単なことですよ。たとえば、子どものころの夢って誰にでもあるでしょう? ……その夢を思い出してみるんです」

 「こんな話があります。ある七十歳のお年寄りですが、四歳の孫とお風呂に入っているとき、孫に『おじいちゃんは、大きくなったら、何になるの』と聞かれて、絶句したそうです。そして、しばらく考えたあとで、『仏様かなぁ』と、つぶやいたというんです。

 でも、そのおじいちゃんは、それきりにはしなかった。あとで、孫の言葉を何度も思い起こしては、子どものころの夢を自分で思い出してみたというのです。軍人さんとか、いろいろあった。軍人さんには、どうしたって、もうなれないけれど、夢の一つに空中サーカスをやりたいというのがあったのを、思い出したそうです。

 それで、おじいちゃんは、孫に、こう宣言したそうです。『おじいちゃんは、大きくなったら、空中サーカスをやるぞ!』

 「それで、おじいちゃんは、七十歳でも空中サーカスを教えてもらえるところを、いろいろ探しました。フランスとかスペインのサーカス学校にまであたってみたそうです。でも、やはりどこも、年齢制限などがあってダメ。

 でも、おじいちゃんは、あきらめませんでした。ついに、沖縄の石垣島にあるクラブメッド(地中海クラブ)のバカンス村に、空中ブランコの教室があることを探し当てたのです。しかも、七十歳の初心者でも、空中ブランコを教えてくれるというんです。

 おじいちゃんは、そこで空中ブランコの指導を受けて、みごとに孫の前で、宙に舞ってみせたそうです」

 「……これは、なにも定年後に限ったことじゃありません。現役のサラリーマンだって同じことです。いまはみんな、毎日の生活に追われて、目の前にあること、目の前に起こることにしか、興味を示さなくなっているでしょう。あまりにめまぐるしくいろいろなことが起きるから、それを処理するだけで精一杯。休む間もなく暮らしているでしょう。それじゃあ、ストレスがたまって大変ですよ。

 だから、こうして子どものころの夢を一つひとつ実現させていく。夢に向かって努力して、実現させるたびに、大きな達成感が生まれるはずです。そういう作業を始めれば、誰だって元気が湧いてくるんです」

 このおじいちゃんに見習いたいものです。

                         -続く-

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