団体戦は強いのが日本選手の特徴です。今回はフェンシング女子が初めての銅メダルを獲得しています。個々の選手の力は劣っていても団体ならこうしてメダルにも手が届くのが日本人の素晴らしいところだと思います。且つて陸上の100m×4のリレーで銀メダルを獲得した時も、バトンの渡し方の工夫がメダル獲得のポイントでした。個の力の差をこうした技とそれをものにする努力で世界と戦えることを、今回は女子のフェンシングがまたひとつ証明してくれました。
純粋にフィジカルがモノをいう陸上競技が始まると、日本選手は苦戦を強いられることになります。且つては我慢強い日本人はマラソンには強かったのですが、マラソンの高速化に伴い日本人はなかなか勝つことができなくなってしまいました。短距離では決勝進出ができれば良しという状況です。室伏選手がハンマー投げで金メダルを獲得したのは2004年のアテネ大会のことでした。今年は北口榛花選手のやり投げに期待が高まっていますが、純粋に個人の身体能力が問われる陸上競技では日本人選手はどうしても苦戦を強いられることになるのです。
ただ、これが団体競技になると話が変わって来ます。陸上ではリレー以外はほとんど個人種目なのですが、高さが圧倒的と言われているバスケットボールやバレーボールは団体競技なので、日本も何とか世界に対抗できる可能性があるのです。先日、圧倒的なアウェイの中でフランスを追い詰めた男子バスケットボールや身長差3cmのアルゼンチンを圧倒した男子バレーボール、予選リーグを全勝で1位通過した男子サッカー、2位通過した女子サッカー等、スピードとスキルで世界に挑む日本人選手には大いに期待をしていました。
ただ、男子サッカーはスペインに3-0で負け、男子バスケットボールもブラジル相手に完敗、男子バレーボールもアメリカ相手に3-1で敗れてしまいました。男子バレーボールはセット率でベスト8に入ることが出来ましたが、サッカーとバスケットは終戦となってしまいました。
バスケットはやはりフランス戦の惜敗が大きかったと思っています。加えて八村選手が故障で戦線離脱したことも大きなマイナス要因でした。NBAの選手は故障の規定が厳しく、止むを得ないのですし、これがアスリートファーストだと思います。反対に日本の柔道は故障明けの選手や古傷の癒えていない選手が何人かいました。力があっても試合中に故障が再発するリスクを取った選出でしたが、全て裏目に出てしまったようです。試合中の怪我は止む終えない不可抗力ですが、古傷の再発は予想できることなので、全く別物と考えています。
WBCで源田選手が骨折しながら出場し続けていたのは記憶に新しいと思います。源田選手の場合は守りの要で、怪我が小指ということもあり、プレーに大きな影響はないという判断で、WBCで日本は世界一になりましたが、源田選手はシーズンの前半を犠牲にしてしまうことになったのです。このようなことはアメリカでは考えられないことなのです。他の為に個を犠牲にするという考え方がそもそも薄いのです。所属チームのマイナスになるようなことは、各国を代表する選手であっても決して許さないのです。
この自己犠牲の精神が日本の団体戦の強さの源でもあるのですが、怪我をしている選手を使うのは、いくら本人が望んでも試合に出場させるべきではないと私は考えています。日本人は怪我を押して出場する選手にエールを送る傾向になりますが、アスリートファーストを第一に考えるのなら、怪我はしっかり治すことをファンも認める必要があるのです。
3-0でスペインに敗れた男子サッカーですが、ワールドカップでスペインに勝っているので、ここも何とかなるかもと思って見ていましたが、育成では世界最高峰にあるスペインの若い世代はやはりレベルが違いました。カンテラ出身のシャビやイニエスタが後に世界を席捲したように、今回のスペインンのU23にはそんな選手が何人かいました。そこに、欧州リーグを制したオーバーエイジの選手が加わったスペインの強さは別格でした。
試合を観ている限り、日本は東京オリンピックより選手の能力もチーム力も上がっていましたが、この試合に限っては運が無かったということでしょう。前半の細谷のゴールが本当に微妙なオフサイド判定で取り消され、シュートも2度3度とポストに阻まれていました。どれか1本でも入っていたら流れも変わっていたかもしれません。
日本は予選を無失点全勝で1位通過を決めましたが、準々決勝の相手はエジプトだと思っていたら、スペインが2位通過で来てしまったのも不運だったと思っています。スペインは決勝の相手はアルゼンチンと見ていて、決勝トーナメントはアルゼンチンの居ない山を選んだというメディアもあるようです。
ワールドカップでスペインとドイツに勝ったといっても、あくまでも予選リーグでの話。決勝トーナメントでスペインに勝つことは容易ではないのです。今大会のアルゼンチンも予選で1度負けていますが、優勝候補筆頭であることには変わりがないのです。それが強豪国の戦い方なのです。今回のメンバーからA代表へ呼ばれる選手もいるはずですから、2年後のワールドカップに期待しましょう。
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