プロローグから大活躍の合唱…
コロスと呼んだ方がしっくりくるかもしれません。
テナガとアシナガが登場する直前のコロスの
このフレーズがツボです。
このフレーズを聴くと、
諏訪に帰ってきたなーと思うのです。
「生きてきた」のイントネーション、
標準語ならミミドレド?と思いますが、
諏訪の言葉だと、『生き』だけが高くなります。
つまり、この楽譜通り。
諏訪弁だなあと、ツボるのです。
中村透さん
諏訪の方言、諏訪のイントネーション、
綿密に取材なさった上で
台本を書かれ、作曲をなさったと感じます。
コロスは諏訪の民として、
もちろん諏訪の言葉で歌います。
「ごしてぇ」のように、よその国の人が
先ず真っ先に覚えて使うであろう有名どころは
出雲から来たアシナガが
早速1幕で、たぶんわざと使っています。
テナガも終盤で諏訪の方言を使います。
むしろ、諏訪の言葉しか使っていません。
それは、たぶんネイティブとしてです。
ミナカタとテナガandアシナガが、
今や余所者ではなく諏訪の一員であることを
象徴しているような気がします。
そして、この時に流れる音楽は私に
凍った諏訪湖を見せてくれます。
人が乗れるほどに硬く厚く凍った湖、
白い風景。
パウダー状になった氷が巻き上がり……
耳が痛い。
音楽家だからこそ、
諏訪人だからこそ、
音を聞いただけで、
風景が見えるのでしょう。
痛い冷たさを感じるのでしょう。
作曲家の力で。
さて。
テナガとアシナガは、
写真のフレーズの2ページ後に(笑)初登場します。
出雲からミナカタ様を追いかけて、
諏訪の地に辿り着くのです。
テナガとしては、このフレーズを聞いて
諏訪にたどり着いたと感じるのですが、
舞台袖で私は
諏訪に帰ってきたと感じています。
諏訪のオペラ
素晴らしい作品です。
オペラ『御柱』
11月27日(日)2時開演
カノラホール