古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第四十四章 新池を開く 其の十六

2015年08月26日 07時57分44秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「新池普請ニ付、百姓迷い方願一札控」第三頁、上の十一、十二行

 

解読 一、池地之内、西大船谷阿ら希

    組山壱ヶ所有之、右山植杉

読み 一つ、池地の内、西大船谷、あらけ

    組山一ヶ所これ有り、右山植え杉

 

解説 「一」・・・一つ書きの二番目。 「池地之内」・・・新池用地のうち。 「西大船谷」・・・地名です。右に書いたはじめの四筆の部分。 「阿ら希」・・・地名で「あらけ」。「希」は変体仮名の「け」。現在は「荒計」と書いている様です。「阿」も読みにくいが、「希」の崩し方も難しい。 「組山」・・・組所有の山林。 「有之」・・・これも読むのは困難です。「有」の字は縦に長くなっています。 「右山植杉」・・・右の山に植林している杉の木。「木偏」に「久」は、「杉」の俗字です。


第四十四章 新池を開く 其の十五

2015年08月25日 07時44分35秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「新池普請ニ付、百姓迷い方願一札控」第三頁、上の九~十行

 

解読 候事。阿らぎ谷之内、旱損

    之節右池水取かけ申筈。

読み (少ク)候こと。あらぎ谷の内、旱損『かんそん』

    の節、右池水取りかけ申す筈。

 

解説 池より下(しも)の水田の用水が少ないこと。 「阿らぎ谷之内」・・・地名で「あらぎ谷」の内。あらぎ谷は「大船」を含むこの谷の名称です。「阿」は変体仮名の「あ」。「内」が読みにくい。 「旱損」・・・日照り続きの際の損害。 「之節」・・・の時。「節」も特徴があり、読むのは困難です。 「右池水」・・・ここはなんとか解ります。 「取かけ申筈」・・・池の水を取り、田にかける計画である。

 


第四十四章 新池を開く 其の十四

2015年08月24日 08時16分54秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「新池普請ニ付、百姓迷い方願一札控」第三頁、上の七~八行目

 

解読 勢ヲ留他村江水引取

    池与り下モ田地用水少ク

読み (水)勢を留め、他村へ水引き取り

    池より下『しも』田地用水少なく

 

解説 「勢」・・・前行からの続きで「水勢」。 「水勢ヲ留」・・・水の流れの勢いを止め。 「他村江」・・・他村へ。この場合は、田並上村から、田並浦へ。 「水引取」・・・用水を引き取り。 「池与り下モ」・・・池よりしも。池の下流の事。「下」・「上」などの言葉は色々読み方が有るので、この様に送り仮名をつける場合があります。「上ミ」・・・かみ。「下タ」・・・した。など。 「田地用水」・・・水田の潅漑用水。「用」の崩し方に注目する。


第四十四章 新池を開く 其の十三

2015年08月23日 06時18分46秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「新池普請ニ付、百姓迷い方願一札控」第三頁、上の五~六行目

 

解読 是又地替り相立可申候。

    一、池堤御普請谷常水

読み 是また地替り相立ち申すべく候。

    一つ、池堤御普請谷常水(勢)

 

解説 「是又地替り」・・・是また地替わり。田地を交換する事。 「相立可申候」・・・成立すると存じます。「候」という字がよく見えませんが、「申」の下の「候」は有る様にも無い様にも見えますが、有るものとして読んでおきます。 六行目、一つ書きから始まります。 「池堤御普請」・・・新池の堤防の工事。「普請」は少し読みにくいが、前からの続きで読みます。 「谷常水勢」・・・谷の平常の水流の勢い。


第四十四章 新池を開く 其の十二

2015年08月22日 07時33分28秒 | 古文書の初歩

 

 

 

 

 

 

「新池普請ニ付、百姓迷い方願一札控」第三頁、上の三~四行目

 

解読 荒地、近年之内地普請可致

    よし、田人々申出候との義ニ付

読み 荒れ地、近年の内地普請致すべき

    由、田人々々申し出候との義に付き

 

解説 「荒地」・・・荒れて耕作していない農地。「地」は何度も出ますが、読むのは難しい。 「近年之内」・・・これは割りと読みやすい。「内」が難解です。 「地普請」・・・土地の工事。荒れ地を耕作出来る様にする工事の事。これは教えて貰わねば読めません。 次も難解です。「可致」・・・致すべき。 「よし」・・・何故かヒラカナで書いていますが、「由」・・・との事。 「田人々」・・・田人、田人。「々」は繰り返しで、耕作者がそれぞれ。この頁の一行目は、長い「く」の形でした。 次も難解ですが、「申出」の「出」の右に「候」が有ります。 最後は「義に付」。この文章は、崩し方にくせがあります。