かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 1の38

2020-06-11 17:24:17 | 短歌の鑑賞
    改訂版渡辺松男研究4【地下に還せり】(13年4月実施)
      『寒気氾濫』(1997年)12~
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、鹿取未放
       司会と記録:鹿取 未放(再構成版)

              
38 水楢の裂けたる幹に手を当てて芽吹きの遅きことを愛せり

 ★評者は水楢という種類の樹が芽吹きが遅いというようにおっしゃったが、目の
  前の個体が裂けている、つまりこの樹だけが傷を負っているので芽吹きが遅い
  というんじゃないかなあ。だから樹に手を当てておまえ、ちょっと遅れをとっ
  ているぞ、がんばれよ、っていう感じ。(鹿取)
 ★私もそう思った。(崎尾)
 ★水楢という樹はみんな裂けているんですか?(鈴木)
 ★だいたい裂けています。(慧子)
 ★でも裂けているのが常態ならわざわざ裂けたるとは言わないのでは。(鈴木)


          (後日意見)(2020年5月)
 水楢を植物図鑑などで調べると、どんぐりのなる樹のひとつで、ごつごつした幹だけれど、樹皮が裂けるのが常態だというようなことは書かれていない。慧子さんの意見のように裂けることも多いのかもしれないが、ここでは他の樹と違って幹が裂けた樹があり、その樹だけちょっと芽吹きが遅れている、というように解釈しておきたい。(鹿取)

コメント
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