かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の短歌鑑賞 61,62

2020-08-12 19:54:49 | 短歌の鑑賞
 ブログ版渡辺松男研究 ⑦(まとめ)(13年7月)『寒気氾濫』(1997年)
  【八月十五日うつそみ、パーフェクト・エッグ】
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子

61 耳鳴りを空気の音とおもうときうつそみはああ穴だらけなり

 ★戦死した兵士などのイメージであろうか、穴だらけのうつしみという
  把握はおそろしいものがある。(鹿取)

62 乳白色の湯船に首を浮かばせて首はただよいゆくにもあらず

 ★「浮かばせて」の連想で「海にお船を浮かばせて行ってみたいなよその国」という
  歌を思い出した。船ならよその国に行けるが、湯船に首を浮かばせてみてもどこに
  もゆけないということか。それとも、ただ珍しい湯に浸かって浮かれている歌なのだ
  ろうか。しかし、もし胴体から切り離されて首だけが漂うことがあったら恐ろしい。戦国
  時代の敵の首をかくなどという話も思い出させる。(鹿取)


コメント
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