かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 108

2020-10-08 17:22:36 | 短歌の鑑賞
     渡辺松男研究12【愁嘆声】(14年2月)まとめ
        『寒気氾濫』(1997年)44頁~
        参加者:渡部慧子、鹿取未放、鈴木良明(紙上参加)
        レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取 未放
       

108 上州は黄のからっ風父の耳母の耳砂塵のなかにあらわる

           (意見)
 上州のからっ風は、昔から定番である。その風が砂塵を巻き上げると、黄の紗がかかったようになって、視界が遮られる。どこに誰が居るのかを声や音で確認するほかはない。そういう中で、ともに何かの作業をしていたのだろう、父と母の耳が見えてきて、少し安堵したのである。(鈴木)


       (発言)
★鈴木さんの解釈、何かの作業をしていたのだろうまではいいけど、父と母の耳が見えてき
 てはいきなりの感があります。この間に何かの思いが欲しい。(慧子)
★そうですか、私は鈴木さんの解釈よく分かります。視界が狭い中で見えなかった父母の姿
 が耳から見えてきた、何か懐かしい気分がします。作者のお母さんは作者23歳の時に亡
 くなっていますけれど、思い出の中の話とすれば耳が印象的だし、作者の実生活と関連付
 ける必要も無い。この歌は書いてある通りに読めばいいと思います。(鹿取)

コメント
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