渡辺松男研究12【愁嘆声】(14年2月)まとめ
『寒気氾濫』(1997年)44頁~
参加者:渡部慧子、鹿取未放、鈴木良明(紙上参加)
レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取 未放
108 上州は黄のからっ風父の耳母の耳砂塵のなかにあらわる
(意見)
上州のからっ風は、昔から定番である。その風が砂塵を巻き上げると、黄の紗がかかったようになって、視界が遮られる。どこに誰が居るのかを声や音で確認するほかはない。そういう中で、ともに何かの作業をしていたのだろう、父と母の耳が見えてきて、少し安堵したのである。(鈴木)
(発言)
★鈴木さんの解釈、何かの作業をしていたのだろうまではいいけど、父と母の耳が見えてき
てはいきなりの感があります。この間に何かの思いが欲しい。(慧子)
★そうですか、私は鈴木さんの解釈よく分かります。視界が狭い中で見えなかった父母の姿
が耳から見えてきた、何か懐かしい気分がします。作者のお母さんは作者23歳の時に亡
くなっていますけれど、思い出の中の話とすれば耳が印象的だし、作者の実生活と関連付
ける必要も無い。この歌は書いてある通りに読めばいいと思います。(鹿取)
『寒気氾濫』(1997年)44頁~
参加者:渡部慧子、鹿取未放、鈴木良明(紙上参加)
レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取 未放
108 上州は黄のからっ風父の耳母の耳砂塵のなかにあらわる
(意見)
上州のからっ風は、昔から定番である。その風が砂塵を巻き上げると、黄の紗がかかったようになって、視界が遮られる。どこに誰が居るのかを声や音で確認するほかはない。そういう中で、ともに何かの作業をしていたのだろう、父と母の耳が見えてきて、少し安堵したのである。(鈴木)
(発言)
★鈴木さんの解釈、何かの作業をしていたのだろうまではいいけど、父と母の耳が見えてき
てはいきなりの感があります。この間に何かの思いが欲しい。(慧子)
★そうですか、私は鈴木さんの解釈よく分かります。視界が狭い中で見えなかった父母の姿
が耳から見えてきた、何か懐かしい気分がします。作者のお母さんは作者23歳の時に亡
くなっていますけれど、思い出の中の話とすれば耳が印象的だし、作者の実生活と関連付
ける必要も無い。この歌は書いてある通りに読めばいいと思います。(鹿取)