かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  57

2020-10-14 19:36:57 | 短歌の鑑賞
ブログ版 清見糺鑑賞  9    かりん鎌倉なぎさの会

57 ドライブインの白きあさがお高ければ紅毛人をすこしにくめり
                      「うしの会」95年6月号

 ドライブイン〈みもざ〉の陶のあさがおの高ければ紅毛人を憎めり
 のかたちで初案がフロッピーに残っている。前後の歌から推し量ると場所はコルドバ。初案を見ると〈みもざ〉というドライブインで休憩をしてトイレに行ったら日本のものと比べて小便器の位置が高かった。そこでいわれのない劣等感がちらりと心をかすめたのだろう。「チクショー、西洋人め!」との思いが下句となっている。いかにも毛むくじゃらで体躯の大きそうな「紅毛人」という言い回しもその辺りのこころの機微に由来している。
 ただ、改作のみ読むと便器のこととは解釈しにくく、白いあさがおの花と思うと全体の意味が取れなくなる。「陶の」は残して「陶のあさがお」とすればよかったのではないか。

コメント
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