かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  59

2020-10-16 18:38:40 | 短歌の鑑賞
ブログ版 清見糺鑑賞  9    かりん鎌倉なぎさの会

59 富む町も貧しき村も幾許のジャパンマネーをおとし見て過ぐ
                       「かりん」95年12月号
  
 「ポルトガルへ」という表題で載る八首中の一首。
 日本はバブルがはじけたとはいえ世界の中ではまだまだお金持ちの国である。そこでマナーの悪い日本人旅行客は大挙して外国のブランド店に押し寄せ、買いあさって顰蹙をかうことになる。しかし大方の日本人はジャパンマネーを落とすことに大なり小なり忸怩とした思いを抱きつつ世界を旅行しているのではないだろうか。私の乏しい経験でもどこの国へ行っても物乞いをしている人はいて、常に居心地の悪い、後ろめたい思いをする。でもわれわれが買い物をすることでこの人達は少しでも潤うのだと自分に言い訳をしているのである。


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