かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  357

2021-11-18 17:08:59 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究43(2016年10月実施)  『寒気氾濫』(1997年)
    【半眼】P146~
     参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆    司会と記録:鹿取 未放


357 春一番に揉まれ揉まれてきらめけり樹々には素肌あるものなれば

      (レポート)
 梅の花の香りとともに空気も緩んでくるころ、南からの強い風が吹く。冬の間厳しい姿をしていた樹々も樹皮の下には生木がある。春一番にもまれ生気を吹きかえすようにきらめいている。そんな歓びをうたったのだろう。(真帆)


      (当日意見)
★春一番の頃って木がよく乾いていて光るんです。(慧子)
★「樹皮の下には生木がある」とレポートにはあるけど、これは樹皮のことを言っているんでしょ
  う。皮を剥いて現れるんではなくて、皮の表面がすべすべしている。(鈴木)
★素肌ってどの部分を指しているんでしょうね。前の月、その前の月にも松男さんのエッセーを引
 用したのですが、351番歌「行く雲の高さへ欅芽吹かんと一所不動の地力をしぼる」にも
 書いたのですが、そのエッセーでは、木の大部分は死んでいて、木の表面にほんのうっすらと生
 の部分があるっていうようなことを言っています。そこから考えると一皮剥いた部分が煌めいて
 いるとは考えにくいのですが、表面はごつごつしていて素肌っていう感じではないし困るのです
 が、どこかで私の認識が間違っているのでしょうか。(鹿取)
★若木と老いた木は違います。また、確かに年輪があって木の内側ほど古いんだけどそこを死ん
 でいるとは言えないんじゃない。古くなって分厚くなっている。木の表面はごつごつしているか
 もしれないけど新しいわけです。一皮剥くとか剥かないとかは関係ない。また、あんまり細かく
 分析していっても仕方がない。全体としてみてゆけばいい。(鈴木)
★ごつごつしていようが、そのゴツゴツごと、生命感に満ちあふれている、と言うことでしょうかね。
(鹿取)

コメント
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